2021年11月にNintendo Switch向けに発売された『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(以下、BDSP)。歴代屈指の名作と名高い『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(2006年発売)の初リメイク作品として、世界中のプレイヤーから凄まじい期待を集めていました。しかし、情報解禁の瞬間から発売後にかけてSNSやレビューサイトは荒れに荒れ、「ダイパリメイクはひどい」「期待外れ」といった厳しい声が噴出する異例の事態に発展しました。
発売から月日が経過した現在でも、ゲームファンの間ではリメイク作品の評価を語る際の筆頭事例として挙げられることが少なくありません。かつて熱狂したファンはなぜそこまで失望し、一部で「クソゲー」とまで呼ばれるに至ったのか。今回は、グラフィックの方針、開発体制、バグ騒動、そしてプラチナ要素の扱いなど、ポケモンBDSPがひどいと言われた真相を徹底的に解明します。
【炎上の真相】なぜポケモンダイパリメイクは「ひどい」と酷評されたのか?

『ポケットモンスター』シリーズのリメイクは、これまで常にハードウェアの進化を最大限に活かしたフルリニューアルが行われてきました。『ファイアレッド・リーフグリーン』『ハートゴールド・ソウルシルバー』、そして3DSで発売された『オメガルビー・アルファサファイア』はいずれも、当時の最新世代のグラフィックや新システム(メガシンカなど)を貪欲に取り込み、原作以上の体験を提供してきた実績があります。
そのため、Nintendo Switchという高性能ハードで登場するダイパリメイクに対しても、直近の『ソード・シールド』のような等身の高い3Dグラフィックや、広大なワイルドエリアのような新体験をファンは疑いなく期待していました。ところが、発表されたのはかつてのDS画面をそのまま立体化したようなデフォルメ調の画面でした。この「時代に見合った進化を望むファン」と「開発側が提示した仕様」の巨大なギャップこそが、ダイパリメイクの炎上理由における最大の火種となったのです。
グラフィック論争と開発元|2頭身化とILCA起用がファンを失望させた背景
初報PVが公開された際、最も物議を醸したのがダイパリメイクの2頭身グラフィックでした。フィールド上のキャラクターがコミカルなデフォルメ頭身で描かれており、直前の『ソード・シールド』のスタイリッシュな表現に慣れていたプレイヤーからは「まるでスマートフォンのゲームのようだ」「据え置き機のクオリティとは思えない」といった落胆の声が相次ぎました。
さらに注目されたのが開発体制です。本編シリーズを手掛けてきたゲームフリークではなく、株式会社ILCA(イルカ)が外部開発を担当したことが発表されました。ILCAは『Pokémon HOME』などの開発実績がある実力派スタジオですが、本編ナンバリングタイトルのメイン開発を外部委託するのはシリーズ史上初の試みでした。この異例の体制に対し、発売前からコミュニティ内では「本編チームが片手間に作ったのではないか」「外伝扱いなのではないか」といった不安と猜疑心が広がる結果となりました。
「忠実すぎる原作再現」の功罪|プラチナ要素の未収録とバグ・増殖問題
実際にゲームがリリースされると、事態はさらに悪化しました。批判の矛先となった主な要因は以下のポイントに集約されます。
第一に、原作比較における「忠実すぎる作り」とプラチナ要素の欠如です。ダイパファンにとって完成形と称されるマイナーチェンジ版『ポケットモンスター プラチナ』で追加された「やぶれたせかい」や大幅に改善されたシンオウ図鑑の仕様、ジムリーダーの再戦ギミックなどの大半が引き継がれませんでした。結果として、2006年の粗削りなダイヤモンド・パールをそのままなぞるだけのプレイフィールになり、新しさを感じにくい仕様となってしまいました。
第二に、発売初期を震撼させた深刻なバグと増殖問題です。発売直後のバージョンでは、壁抜けによる進行不能やフリーズが多発しただけでなく、メニューを重複表示させることで貴重なアイテムや伝説のポケモンを無限に複製できる増殖バグが発見されました。RTA(リアルタイムアタック)走者が数十分でクリアしてしまう様子がSNS上で拡散され、「なぜこれが任天堂品質で世に出たのか」「クソゲーではないか」という烙印を押される決定打となったのです。
ネットの反応と口コミ|賛否両論のリアルなプレイヤー評価
当時から現在に至るまで、ダイパリメイクのBDSP評価は極端に二分されています。ネット上の口コミやレビューサイトに寄せられた代表的な意見を整理すると、ファンの感情のコントラストが浮き彫りになります。
否定派の口コミでは、やはり「Switchの性能を活かした進化が見たかった」「HGSSやORASのような熱い追加シナリオ(エピソード デルタ等)がない」「戦闘テンポや捕獲率のバランスに原作の不親切さが残っている」という意見が大半を占めました。期待値が天井知らずだっただけに、落胆の反動も凄まじいものがありました。
一方で、肯定的な評価を下すユーザーも少なくありませんでした。「地下大洞窟(化石掘りや隠れ家)で様々なポケモンが序盤から捕まえられるのは楽しい」「連れ歩き機能が嬉しい」「四天王やシロナ戦がガチ対戦並みの育成・持ち物構成になっていて手応え抜群だった」など、骨太なバトル難易度や寄り道要素の楽しさを評価する声も根強く存在しています。
【現在】度重なるアプデ修正の成果と「今から買うべきか」の判断基準
発売初期に大荒れとなった本作ですが、現在のアプデ修正状況はどうなっているのでしょうか。開発元による迅速なパッチ配信が繰り返された結果、悪名高かった増殖バグや進行不能バグは完全に修正され、通信対戦施設「コロシアム」の実装など、ゲームとしての基本動作と安定性は完全に確立されています。
では、これからプレイしようと考えている方は買うべきか。判断の分かれ目は「何を求めているか」にあります。
もしあなたが「最新作(スカーレット・バイオレット等)のようなオープンワールドや美麗なグラフィック」を求めているなら、肩透かしを食らう可能性が高いでしょう。しかし、「DS時代の古き良きコマンドバトルの手応えを味わいたい」「シロナをはじめとする強敵との本格的なバトルに挑みたい」「Switchで手軽にシンオウ地方のストーリーを追体験したい」という目的であれば、十分に定価以上の価値を感じられる良作に仕上がっています。
【ポケモン ダイパリメイク ひどい】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ダイパリメイク(BDSP)は本当にクソゲーなんですか?
A1:ゲーム単体として見れば決して遊べないようなクソゲーではありません。バグが修正された現在では、四天王戦の高難易度バトルや地下大洞窟のやりこみなど魅力も多くあります。ただし、「完全新作級のグラフィック進化」や「プラチナの追加要素」を期待していた往年のファンからの落差が大きすぎたため、批判が過熱したというのが実態です。
Q2:初期に話題になったバグは今でも残っていますか?
A2:いいえ、残っていません。アイテム増殖やマップ抜けなどの致命的な不具合は、複数回にわたる公式アップデートによってすべて修正済みです。現在ソフトを購入して最新パッチを適用すれば、安心してプレイできます。
Q3:『ポケモンレジェンズ アルセウス』との違いは何ですか?
A3:BDSPが「原作のストーリーとシステムを忠実に再現したリメイク」であるのに対し、『Pokémon LEGENDS アルセウス』は過去のシンオウ地方(ヒスイ地方)を舞台にした「アクションと捕獲を中心とする完全新作」です。革新的なポケモン体験を求めるならアルセウス、クラシックなジム巡りとコマンドバトルを楽しみたいならBDSPが適しています。
ポケモンBDSPが巻き起こした一連の騒動は、「長年愛されてきた名作のリメイクにおいて、ファンは何を求めているのか」という大きな問いをゲーム業界に投げかけました。グラフィックの刷新なのか、完全な原作再現なのか、あるいはマイナーチェンジ版を含めた集大成なのか。プレイヤーそれぞれの期待が膨らみすぎたことが、この悲劇的な評価ギャップを生んだ本質と言えます。
その後、ゲームフリークは『Pokémon LEGENDS アルセウス』や『スカーレット・バイオレット』で見事な挑戦と革新を形にし、ファンの信頼を大きく取り戻しました。BDSPで得られた賛否両論の知見は、今後のリメイク展開や外伝プロジェクトにおいて間違いなく貴重な糧となっています。過剰なバッシングの時期を越えた今、本作が持つ「手堅い原作の面白さ」に改めて触れてみるのも一興と考えられます。