1995年のスーパーファミコン版発売以来、映画的演出と底知れぬ心理的恐怖でプレイヤーを震撼させ続けてきたサバイバルホラーの金字塔『クロックタワー』。巨大なハサミを鳴らしながら執拗に追ってくる怪異「シザーマン」の恐怖は、ゲーム史に残るトラウマとして今なお語り継がれています。
近年ではグラフィックや操作性を現代向けに最適化した復刻版『クロックタワー・リワインド』の登場により、往年のファンのみならず新規ゲーマーの間でもストーリーの真相やバロウズ家の狂気に対する考察が再燃しています。本記事では、本作の核心であるシザーマンの正体、養母メアリーの最期、全エンディングの分岐条件から続編への繋がりまで、余すところなく解説します。
【惨劇の真相】バロウズ邸で起きた事件とストーリーの全貌

物語は、孤児院で暮らしていた少女ジェニファー・シンプソンが、友人であるローラ、アン、ロッテの3人と共に、裕福な資産家バロウズ邸へ養子として引き取られる場面から幕を開けます。
案内役を務めた養母メアリーが館の奥へ姿を消した後、響き渡る悲鳴とともに親友たちは姿を消し、ジェニファーは館内を彷徨うことになります。そこで目撃したのは、巨大なハサミを両手で構え、奇怪な足音を立てて迫り来る不気味な小男「シザーマン」の姿でした。
屋敷を探索する中で明かされるのは、この養子縁組そのものが仕組まれた儀式だったという事実です。バロウズ邸は単なる豪邸ではなく、忌まわしい儀式と悪魔崇拝のために設計された巨大な罠であり、ジェニファーたちは邪悪な存在への「生贄」として呼び寄せられていたのです。
【シザーマンの正体】巨大ハサミの怪異と「ダン・バロウズ」の狂気
プレイヤーを絶望の淵に叩き落とすシザーマンの正体は、バロウズ夫妻の間に生まれた双子の兄ボビィ・バロウズ(9歳)です。常人離れした怪力と歪んだ精神を持ち、顔には奇怪な仮面のような無機質さを漂わせています。
しかし、バロウズ家の狂気はボビィ一人にとどまりません。屋敷の地下奥深くに広がる儀式用の洞窟には、ボビィの双子の弟であるダン・バロウズが潜んでいます。ダンは人間とは到底思えない巨大な肉塊のような異形の姿をしており、地下の秘密空間で生肉を貪り食いながら急激な異常成長を遂げていました。
ジェニファーが地下でダンと対峙した際、松明の火を放つことでダンは火だるまとなり悶絶。追ってきたボビィもまた、時計塔の頂上にある巨大な機械仕掛けや落下事故によって命を落とします。ハサミを持つ小男の影に隠されていたのは、悪魔の儀式によって産み落とされた「双子の怪物」という身の毛もよだつ真実でした。
【黒幕の目的と秘密】養母メアリーの結末とバロウズ家に潜む悪魔崇拝
この凄惨な事件の糸を引いていた真の黒幕は、優しい養母を装っていたメアリー・バロウズです。彼女は狂信的な悪魔崇拝者であり、悪魔の力を宿した双子(ボビィとダン)を産み育て、彼らに捧げる生き血と肉を調達するために孤児たちを館へ誘い込みました。
一方、メアリーの夫であるサイモン・バロウズは、妻の凶行と狂気に耐えかねて悪魔崇拝を止めようとしたものの、メアリーによって屋敷の隠し部屋に監禁。ジェニファーが発見したときには、既に餓死して白骨死体となっていました。サイモンが壁や手記に残したメッセージは、ジェニファーが館の仕掛けを解き、脱出するための決定的な手がかりとなります。
すべての企みが露見したメアリーは、物語の終盤で時計塔の最上階までジェニファーを追い詰めます。しかし、ジェニファーの抵抗や時計塔のスイッチ、あるいは復讐に燃えるカラスたちの襲撃を受け、高所からの転落や機械への巻き込みによって非業の死を遂げることになります。
【全エンディング分岐一覧】最善のSエンド条件から全滅バッドエンドまで
本作のマルチエンディングシステムは、A〜Hの8段階(実質的には最高評価のSを含めた9種類)に分かれており、プレイヤーの行動やフラグ管理によってジェニファーの運命が大きく変化します。
| ランク | 結末の概要 | 主な到達条件 |
|---|---|---|
| S | 親友(アンまたはローラ)と共に脱出成功。真のグッドエンド。 | サイモンの遺体発見、カラスの救出、友人の生存フラグ管理、時計塔の正しい操作。 |
| A | 友人は全員死亡するが、ジェニファー単独で生き残る。 | 屋敷の秘密を解き明かし、時計塔でメアリーを撃破して脱出。 |
| B | 脱出直前に生き残っていた友人が突き落とされ、ジェニファーのみ生存。 | 一部のフラグを満たさずに時計塔へ到達。 |
| C | エレベーター内でメアリーに襲われ刺殺される。 | サイモンの遺体を見ずにエレベーターを利用。 |
| D〜G | 車での脱出失敗、シザーマンの潜伏による後日殺害など多彩なバッドエンド。 | ガレージの車の鍵を入手して早期脱出を試みる等。 |
| H | ゲーム開始直後に車で逃走を図るも、バックミラーにハサミが映り絶望の暗転。 | 何も探索せず車のキーのみを使い即座に脱出。 |
最高評価であるSエンドの達成条件は極めてシビアです。中庭で罠にかかったカラスを助けておくこと、隠し部屋でサイモンの遺体と対面して悲劇の背景を知ること、そして友人の生存ルートを正確に維持しながら時計塔を起動させることが大切です。
『クロックタワー』がカルト的な支持を集める最大の要因は、一度見たら脳裏に焼き付くショッキングな友人たちの死亡演出にあります。
ステンドグラスを突き破って天井から吊り下げられた死体が落下してくる場面、浴室のシャワーカーテンを開けた瞬間に血まみれの遺体と対面する瞬間、中庭のプールから突如として水死体が浮かび上がる演出など、映画『サスペリア』をはじめとするイタリアン・ホラー映画へのリスペクトに満ちたジャンプスケアが満載です。
ジェニファーが生きて生還するためには、パニック時に無闇に走り回らず、ベッドの下、クローゼット、物置などの「隠れ場所」を冷静に確保しながら、シザーマンとの「RSTS(パニック回避)連打」を切り抜ける正確な立ち回りが不可欠となります。
【リマスター版&続編】『クロックタワー・リワインド』の変更点と『クロックタワー2』への繋がり
復刻版としてリリースされた『クロックタワー・リワインド』では、オリジナル版の持つ重厚なドット絵と不気味なサウンドスケープはそのままに、ミスをした瞬間に数秒前へ戻れる「巻き戻し機能」や、ダッシュ時の操作性改善、未公開アートギャラリーや新規オープニングアニメーションが実装され、現代のプレイヤーでも快適に物語の全貌を追体験できるようになりました。
そして物語は、PSで発売された正統続編『クロックタワー2』へと継承されます。惨劇を生き延びたジェニファーは精神的トラウマを抱えながら精神科医の保護下に入りますが、バロウズ邸事件の生き残りである謎の少年「エドワード」を巡り、再びシザーマンの恐怖がロンドン市街地を舞台に幕を開けます。初代で描かれたバロウズ家の血脈と悪魔の呪いは、1作で完結することなく次なる惨劇へと広がっていったのです。
【クロック タワー ネタバレ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:シザーマンは人間ですか?それとも幽霊や悪魔ですか?
A1:肉体としてはメアリーとサイモンの間に生まれた人間の子供(ボビィ)ですが、悪魔崇拝の儀式によって産み落とされたため、常人離れした怪力と不死身に近い耐久力を持っています。
Q2:友人を全員生存させてクリアすることは可能ですか?
A2:不可能です。本作のシステム上、誰か1人の友人を救出することはできても(Sエンド)、アン、ローラ、ロッテの3人全員を生かしたまま屋敷を脱出するルートは存在しません。
Q3:初代『クロックタワー』と『クロックタワー2』のストーリーは直接繋がっていますか?
A3:直接繋がっています。『2』はバロウズ邸事件から1年後が舞台となり、生き残ったジェニファーのその後の運命と、シザーマンの残党・血筋を巡る決着が描かれます。
『クロックタワー』が長年にわたり愛され続ける理由は、単なるビックリ要素に頼るのではなく、「戦う手段を持たない無力な少女」が「正体不明の殺人鬼」から逃げ惑うという、ホラーの本質を突いたゲームデザインにあります。
バロウズ家に秘められた忌まわしき悪魔崇拝、シザーマン兄弟の歪んだ出自、そして緻密に張り巡らされたマルチエンディングの分岐構造は、今プレイしても新鮮な驚きを与えてくれます。『リワインド』によってより触れやすくなったこの伝説的ホラーの全真相を、ぜひ自らの手で確かめてみてください。