朝の情報番組で女性アナウンサーの脇に滲んだ汗ジミが、これほどまでに日本中を巻き込む一大ムーブメントに発展するとは、当時誰が予想したでしょうか。NHK『あさイチ』の生放送中、有働由美子アナウンサー(当時)が見せた毅然としたリアクションは、単なるハプニングの枠を超え、メディア史に残る「名場面」として今なお語り継がれています。
視聴者から届いた一本の辛辣な苦情FAXをきっかけに、彼女はなぜ自身の身体的特徴を隠すことなくオープンにしたのか。2026年を迎えた現在でも、夏場の身だしなみやコンプレックスとの向き合い方を語る上で欠かせない象徴的事例です。当時のスタジオの空気感から、相棒・井ノ原快彦の絶妙なフォロー、そして現在実践している具体的な対策まで、その全貌を深掘りします。
【発端のあさイチ】NHK生放送で起きた有働由美子の脇汗騒動とは

騒動が巻き起こったのは、2011年5月下旬に放送されたNHK『あさイチ』でした。初夏の陽気の中で本番に臨んだ有働アナが身につけていたのは、鮮やかな薄いブルー系の衣装。スタジオの強い照明や生放送特有の緊張感も重なり、番組が進むにつれて両脇の部分にくっきりと大きな汗ジミが浮かび上がってしまったのです。
当時のテレビ界において、アナウンサーの身だしなみや清潔感は極めて厳格に求められていました。特に受信料で運営されるNHKの看板アナウンサーとあって、画面越しの視覚的変化は瞬く間に視聴者の目を奪う事態となりました。
通常であればカメラの画角を変えたり、CMやVTRの合間に衣装を乾かしたりといった裏での隠蔽工作が図られるところですが、生放送のカメラは容赦なく彼女の姿を映し出し続けました。この予期せぬトラブルが、のちにテレビの常識を覆す契機となります。
視聴者からの苦情FAXに生放送で直面!井ノ原快彦と見せた「神対応」
事態が急展開したのは、番組後半の視聴者メッセージ紹介コーナーでした。スタッフから手渡されたペーパーの中に、視聴者からの手厳しいFAX苦情が含まれていたのです。そこには「有働アナの脇汗を見ていられない」「朝から不快だ、みっともない」といった、容赦のない言葉が並んでいました。
並のアナウンサーであれば動揺して言葉に詰まるか、プロデューサーの判断で握りつぶすような内容です。しかし有働アナは、そのFAXを躊躇することなく自らの声で読み上げました。さらに「お見苦しいものをお見せして本当に申し訳ありません」と深く頭を下げつつ、「でも、こればかりは体質で出てしまうんです!」と悲壮感を漂わせずにカラッとした笑顔で告白したのです。
この瞬間、抜群のコンビネーションを発揮したのが、当時共にキャスターを務めていた井ノ原快彦でした。彼は「脇汗かいたって人間なんだから当たり前じゃないですか」「一生懸命やってる証拠ですよ」と間髪入れずに自然体でフォロー。有働アナを孤立させることなく、スタジオ全体を温かい笑いと肯定的な空気に包み込みました。この一連の機転と誠実な姿勢こそが、視聴者から「伝説の神対応」と称賛される理由です。
なぜ衣装に汗ジミが?本人が告白した原因と脇汗パッドの限界
なぜあそこまで目立つ汗ジミができてしまったのか。その背景には、彼女が長年抱えてきた体質と衣装選びの事情がありました。後の本人コメントやインタビューによると、有働アナはもともと極度の汗っかきであり、緊張や気温の上昇によって一気に発汗量が増える体質だったといいます。
もちろん、生放送の本番前に対策を怠っていたわけではありませんでした。スタイリストと共に脇汗パッドを装着して本番に挑んでいたものの、生放送のプレッシャーと強いスタジオ照明による発汗量は、市販のパッドの吸収許容量を遥かに超えていたのです。パッドから溢れ出た汗が、汗ジミの目立ちやすい化学繊維の淡色衣装に急速に染み出してしまったのが真相でした。
有働アナは後にエッセイなどで「パッドが汗で重くなってズレ落ちそうだった」「気管支喘息の治療薬などの影響もあった」とユーモアを交えながら赤裸々に明かしています。決して不注意ではなく、人知れず対策を講じた上でのハプニングだったことが伺えます。
ネットの反応と社会的反響|タブーを打ち破ったアナウンサーの覚悟
この生放送直後から、ネット上では爆発的な反響が巻き起こりました。当初は一部の心ない批判もありましたが、有働アナの堂々とした対応と井ノ原のフォローが知れ渡るにつれ、SNSや掲示板は「勇気をもらった」「自分も同じ悩みを持っていたから救われた」という絶賛の声で埋め尽くされました。
さらに『あさイチ』制作陣の凄みは、この騒動を単なる笑い話で終わらせなかった点にあります。騒動からわずか数週間後、番組内で「脇汗・ワキ汗対策」を真正面から取り上げる特集を急遽放送。多汗に悩む一般視聴者の声を取り上げ、専門医を招いて医学的なメカニズムや正しい対処法を解説したのです。
これまで女性が公の場で口にすることをためらっていた「脇汗」というデリケートな問題を、朝の国民的番組が堂々とポジティブな健康トピックへと昇華させた瞬間でした。恥部とされがちだった生理現象をオープンに語るカルチャーは、まさに彼女のあの一言から切り開かれたといっても過言ではありません。
【現在までの克服法】有働由美子が愛用する脇汗対策グッズと多汗症ケア
あさイチでの一件以降、有働アナは自身の体質とどのように向き合ってきたのでしょうか。フリー転身後も報道番組『news zero』やバラエティ番組で活躍を続ける中で、彼女の脇汗対策グッズ選びやボディケアは着実に進化を遂げています。
まず衣装面では、スタイリストと綿密に連携し、汗ジミが浮き出にくい黒や濃紺、あるいは柄物の生地を戦略的にチョイス。どうしても淡い色を着る必要がある場合は、吸汗速乾性に優れた特殊な高機能インナーを二重に着用するなどの工夫を重ねています。
さらに近年では、ボツリヌス毒素製剤(ボトックス)注射による重度原発性腋窩多汗症の保険適用治療や、外用薬の進化など、医療機関でのアプローチも広く認知されるようになりました。有働アナ自身も、医療用制汗剤や信頼できるデオドラント製品を生活に取り入れ、「体質だからと諦めず、最新のテクノロジーや医療に頼りながらうまく付き合う」という姿勢をメディアで発信し続けています。
【有働由美子の脇汗騒動】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:有働アナの脇汗騒動が起きたのはいつですか?
A1:NHK総合『あさイチ』のキャスターを務めていた2011年5月下旬の生放送中です。淡いブルーの衣装に汗ジミが目立ってしまったことで、リアルタイムで視聴者から苦情FAXが寄せられました。
Q2:井ノ原快彦さんはその時どのようなフォローをしたのですか?
A2:「脇汗をかくのは一生懸命やっている証拠」「人間なんだから汗をかくのは自然なこと」と即座に擁護し、スタジオの空気を一瞬でポジティブに変えました。この対応が視聴者から高く評価されました。
Q3:有働さんは病気や多汗症だったのでしょうか?
A3:本人は体質的な多汗であることを明かしています。また、当時使用していた薬の副作用による発汗も重なっていたと後に語っています。現在は適切なインナー選びや医療ケアを取り入れながら良好にコントロールしています。
女性キャスターにとって致命的なスキャンダルになりかねなかった脇汗の露出。しかし有働由美子は、苦情から逃げることなく堂々と受け止め、共感と連帯のメッセージへと変えてみせました。失敗や身体的コンプレックスをユーモアと誠実さで包み込み、誰にとっても身近な問題として提起した彼女の手腕は見事というほかありません。
完璧主義を演じることだけがプロフェッショナルの仕事ではない――そう教えてくれた有働アナの姿勢は、多様性と自己受容が重んじられる現代において、より一層の輝きを放ち続けています。