空港のチェックインカウンターや搭乗ゲートで、「規定サイズを数センチオーバーしていた」「重量が1キロ超えて高額な手数料を請求された」と慌てる利用者は後を絶ちません。全日本空輸(ANA)の手荷物ルールは、保安基準の強化や運航オペレーションのデジタル化に伴い、細かな改定が重ねられています。
とくに国内線と国際線における規定の差異、エコノミークラスとプレミアムクラスの許容量の違い、さらには超過料金を大幅に抑える事前手続きの存在は見逃せません。本稿では、空港で余計な出費やストレスを被らないために知っておくべきANA手荷物ルールの全容を分かりやすく解き明かします。
【2026年最新】ANA国内線・国際線手荷物ルールの基本と違い

ANAを利用する際、まず押さえておきたいのが国内線と国際線で適用されるルールの根本的な違いです。基本的な無料許容量は搭乗クラスや路線によって厳密に区分されています。
国内線普通席の場合、受託手荷物(預け荷物)は総重量20kgまで個数無制限で預けることが可能です。一方、国際線エコノミークラスでは「個数制(ピース制)」が採用されており、1個あたり23kg以下、かつ3辺の和が158cm以内の手荷物を2個まで無料で預けられます。国内線と同じ感覚で国際線に乗ろうとすると、個数や1個あたりの重量制限に引っかかるケースがあるため注意が必要です。
2026年現在の運航体制では、保安検査場での混雑緩和を目的にサイズ計測が厳密化されています。キャスターや持ち手部分を含めた外寸測定が徹底されている点にも留意しておきましょう。
機内持ち込みサイズの境界線|見落としがちな重量と液体物持ち込み制限
スムーズな搭乗に欠かせない機内持ち込み手荷物ですが、ANAでは「身の回り品(ハンドバッグやリュックなど)1個」と「手荷物1個」の合計2個、総重量10kg以内と規定されています。キャリーケース単体で10kgではなく、お土産やPCバッグも含めた合算値です。
機内持ち込み可能なサイズ規定は、搭乗する飛行機の座席数によって以下のように分かれます。
- 100席以上の航空機:3辺の合計が115cm以内(各辺55cm×40cm×25cm以内)
- 100席未満の小型機(プロペラ機や小型ジェット):3辺の合計が100cm以内(各辺45cm×35cm×20cm以内)
地方路線やアイランドホッピング路線では100席未満の機材が多く投入されており、羽田発着の幹線で持ち込めたスーツケースが乗継便で持ち込めないトラブルが頻発しています。
さらに国際線では、ANA手荷物液体物持ち込み規定に厳格なルールが存在します。100ml(g)を超える容器に入った液体物は機内への持ち込みが一切禁止されており、100ml以下の容器に入れた上で容量1リットル以下の再封可能な透明プラスチック袋(ジッパー付き袋)に収納しなければなりません。化粧水やジェル類、ペースト状の食品も液体物扱いとなるため、出発前の仕分けが必須です。
預け手荷物の重量・個数制限と超過料金を取られる意外な落とし穴
「手荷物預け入れで思わぬ追加料金を請求された」というケースの多くは、重量オーバーの計算ミスや個数オーバーに起因します。無料枠を超過した場合、ANA手荷物超過料金が適用されますが、この金額設定は決して安価ではありません。
国際線において無料手荷物枠を超えて追加で荷物を預ける場合、当日空港カウンターで手続きすると、路線エリアに応じて1個あたり1万円〜2万円以上の超過手数料が発生します。加えて、1個の重量が23kgを超えて32kg未満になった場合も、重量超過手数料が上乗せされます。
超過料金を回避する最大の防衛策は、出発前に自宅やホテルでラゲッジスケール(携帯式はかり)を用いて計測することです。スーツケースの自重だけで4〜5kgある場合、お土産や衣類を詰め込むと容易に23kgの壁を突破してしまいます。
プレミアムクラスと事前予約の裏技|手荷物枠をお得に拡張する方法
荷物が多くなる長期滞在や海外旅行において、追加料金を最小限に抑える賢い手段が2つあります。
1つ目は、ANA手荷物事前予約(有料事前追加手荷物)の活用です。国際線で手荷物が増えることが事前に分かっている場合、ANA公式サイトから出発予定時刻の24時間前までに手続きを済ませることで、空港カウンターで支払う当日料金よりも約20〜30%割安な割引運賃で預け入れ枠を事前購入できます。
2つ目は、国内線における上位クラスの利用です。ANAプレミアムクラスに搭乗する場合、無料預け手荷物の上限は通常席の20kgから最大40kgまで大幅に拡大されます。手荷物優先返却(Priorityタグ)の対象にもなるため、到着地で荷物を待つ時間も大幅に短縮されます。機内食やラウンジ利用の特典と合わせ、荷物量が多い旅行ではプレミアムクラスへのアップグレードが実質的なコストパフォーマンスを高める選択肢となります。
ゴルフバッグや大型荷物も安心!スマートな預け入れと自動手荷物預け機の使い方
旅行や遠征で需要の高いANAゴルフバッグ預け入れやスキー板、サーフボードなどのスポーツ用品は、規定サイズを超えていても一定の条件下で預け入れが可能です。
ゴルフバッグやスキー板などの特殊手荷物は、国内線では3辺の合計が292cm以内・重量20kg以内であれば普通席の無料枠内で預けることができます。ただし、航空機の貨物室スペースには限りがあるため、長尺物は事前の問い合わせや早めの預け入れが推奨されます。
主要空港(羽田・新千歳・伊丹・福岡・那覇など)を出発する際は、無人手荷物預け機「ANA BAGGAGE DROP」の利用が極めて効率的です。使い方は極めてシンプルです。
- 自動チェックイン機またはモバイル端末の搭乗券(2次元バーコード)をリーダーにかざす
- 手荷物のドアが開き、指定の位置にスーツケースを横向きに置く
- 画面の指示に従い、自動発行された手荷物タグをスーツケースの持ち手部分に貼り付ける
- 扉が閉まり、発行された手荷物引換証を受け取る
搭乗手続きを事前に済ませておけば、有人カウンターの長い列に並ぶことなく、数分で預け入れを完了させて保安検査場へ直行できます。
【ANAの手荷物】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:モバイルバッテリーや電子タバコは預け手荷物に入れられますか?
A1:いいえ、預け入れは禁止されています。リチウムイオン電池内蔵のモバイルバッテリーや電子タバコは、発火の危険性があるため必ず「機内持ち込み手荷物」として携帯してください。なお、持ち込めるバッテリーの容量(Wh)や個数にも制限があります。
Q2:ノートパソコンやタブレット端末は預け手荷物にできますか?
A2:原則として機内持ち込みが強く推奨されています。万が一預け手荷物に入れる場合は、完全に電源をオフ(スリープモード不可)にし、衝撃から守るために十分な緩衝材で保護する必要があります。破損時の補償対象外となるケースが多いため、手荷物として機内に持ち込むのが安全です。
Q3:ANAマイレージクラブの上級会員には手荷物の優遇特典がありますか?
A3:はい、ダイヤモンド・プラチナ・ブロンズサービスメンバーおよびスーパーフライヤーズ会員(SFC)には、搭乗クラスに応じた無料手荷物許容量の追加特典(国内線でプラス20kg、国際線でプラス1個など)や優先手荷物タグの付与が適用されます。
ANAの手荷物ルールは、安全運航と定時出発を守るための明確な基準に基づいて運用されています。超過料金の発生や保安検査での没収といったトラブルのほとんどは、事前の確認とパッキングの工夫次第で未然に防ぐことができます。
100席未満機材のサイズ規定や国際線の液体物制限を再確認し、荷物が増えそうな場合はWeb上での事前追加予約を抜かりなく行いましょう。余裕を持ったスマートな準備こそが、快適な空の旅を実現する第一歩です。