サクッとしたトーストの香ばしさと、中から溢れるプリプリとしたエビの濃厚な旨味。長崎を訪れた多くの観光客が一口食べて虜になるご当地グルメが「ハトシ」です。長崎新地中華街での食べ歩きグルメとして親しまれているだけでなく、長崎の伝統的なもてなしの宴席料理にルーツを持つ、非常に奥深い歴史を秘めています。
テレビやSNSで紹介される機会も増え、「長崎ハトシとはどんな料理なのか」「自宅でも再現できるのか」と興味を持つ人が後を絶ちません。今回は、ハトシの基礎知識や発祥の由来から、名店情報、気になるカロリー、家庭で手軽に作れる人気レシピまで、その魅力を余すところなくお届けします。
【基本解説】長崎の郷土料理「ハトシ」とは?エビと食パンが織りなす絶品グルメ

長崎ハトシとは、味付けしたエビのすり身を食パンで挟み、油でキツネ色に揚げた長崎の郷土料理です。高温の油で短時間カラッと揚げることで、外側のパンは驚くほど軽やかなサクサク食感に仕上がり、内側にはしっとり蒸し上がったエビの豊かな風味と弾力が閉じ込められます。
パンが油を吸いすぎないよう職人の火加減で絶妙に揚げられており、一口かじれば香ばしさとエビのジューシーな肉汁が口いっぱいに広がります。エビのすり身単体のほか、豚ひき肉や白身魚のすり身、玉ねぎなどをブレンドしたバリエーションも存在し、長崎の家庭や料理店ごとに独自の工夫が凝らされています。
【歴史とルーツ】ハトシ発祥の由来|中国・広東の「蝦多士」から長崎卓袱料理へ
ハトシ発祥の由来は、明治時代初期に中国(清国)の広東地方から長崎へ伝わったことに始まります。もともとイギリス統治下にあった香港などを経由して中国に広まった西洋のトースト文化と、中華圏のエビ料理が融合して生まれた料理でした。
料理名のハトシは、漢字で「蝦多士」と書きます。「蝦(ハー)」はエビを意味し、「多士(トーシー)」は英語のトースト(Toast)の広東語当て字です。これらが組み合わさった「ハートーシー」という広東語の呼び名が、長崎の地で「ハトシ」へと変化して定着しました。
長崎に伝わったハトシは、和・華・蘭(日本・中国・オランダ)の文化が融合した名物コース料理「長崎卓袱料理」の代表的な揚げ物(揚物)として組み込まれ、格式高いもてなしの席で愛され続けてきた歴史を持ちます。
【進化系スタイル】食べ歩きでブレイクした「ハトシロール」と山根商店の革新
卓袱料理の高級な一品だったハトシを、誰もが気軽にワンハンドで楽しめる大衆グルメへと進化させたのが「ハトシロール」です。従来の四角や三角に挟んで揚げるスタイルとは異なり、薄くスライスした食パンですり身を棒状にくるりと巻き上げて揚げています。
このハトシロールの元祖として知られるのが、長崎市出島町に拠点を置く「山根商店」です。手を汚さずに片手でサクサク食べられる形状を考案したことで、長崎のイベント屋台や観光地で大ヒットを記録しました。現在ではプレーンなエビ味だけでなく、チーズ入りやカレー風味など多彩なフレーバーが展開され、現代の長崎名物として確固たる地位を築いています。
【現地で食べるならここ】長崎新地中華街で味わうハトシの名店ガイド
長崎新地中華街や市内中心部には、揚げたての絶品ハトシを提供する名店が軒を連ねています。訪れたらぜひ立ち寄りたい代表店を紹介します。
・蘇州林(そしゅうりん)
長崎新地中華街を代表する人気店。店頭のテイクアウトコーナーで販売されているエビハトシは、大ぶりでプリッとしたエビの存在感が際立ち、観光客の食べ歩き定番として常に賑わいを見せています。
・江山楼(こうざんろう)
ちゃんぽんの名店としても名高い中華料理店。コース料理や単品で提供されるハトシは、上品なすり身の味付けと美しいきつね色の揚げ上がりが特徴で、本格中華の技術が光る伝統の味を堪能できます。
・山根商店直営・提携販売所
長崎市内の主要な観光物産館や長崎駅構内、長崎空港などで揚げたてのハトシロールを提供しており、移動の合間にも手軽に本場の熱々を味わえます。
【自宅で手軽に再現】フライパンで揚げるハトシの簡単作り方&失敗しないコツ
「本場の味を自宅でも楽しみたい」という方のために、身近な材料とフライパンで作れるハトシの簡単レシピを紹介します。少ない油で揚げ焼きにするため、後片付けも手軽です。
【材料(2人前・4個分)】
・食パン(8枚切りまたはサンドイッチ用):4枚
・むきエビ:150g
・玉ねぎ(みじん切り):1/8個分
・卵白:1/2個分
・片栗粉:小さじ1
・酒、ごま油:各小さじ1/2
・塩、こしょう:少々
・揚げ油:フライパン底から1cm程度
【作り方の手順】
1. むきエビは背ワタを取り、塩水で洗って水気を拭き取った後、包丁で粗く叩いて粘りを出します。
2. ボウルにエビ、玉ねぎ、卵白、片栗粉、調味料を入れ、粘りが出るまでよく練り合わせます。
3. 食パンの片面にすり身を平らに塗り、もう1枚のパンで挟んで軽く手で押さえます(耳は切り落とすと火通りが均一になります)。
4. フライパンに油を中火(160〜170度)で熱し、パンを入れます。パンが焦げやすいため、弱めの中火で片面約2分ずつ、きつね色になるまで両面を揚げ焼きにします。
5. 油をしっかり切り、対角線に包丁を入れて三角形にカットすれば完成です。
【栄養とカロリー】ハトシのカロリー目安と罪悪感を減らすヘルシー調理法
食パンを油で揚げる料理のため、気になるのがそのカロリーです。一般的なエビすり身のハトシ(1個あたり約50〜60g)のカロリーは、およそ150〜200kcalが目安となります。2個食べるとおにぎり2個分に匹敵するため、食べ過ぎには注意が必要です。
自宅でカロリーを抑えて楽しみたい場合は、油で揚げずに「オーブントースター」や「ノンフライヤー」を活用する調理法がおすすめです。パンの表面にハケでごく少量のオリーブオイルやごま油を塗り、トースターでじっくり焼くことで、油分を大幅にカットしながらサクッとした食感を再現できます。また、すり身に水切りした豆腐を混ぜ合わせることで、カロリーを抑えつつふんわり感をアップさせる工夫も効果的です。
【お取り寄せ通販】本場長崎のハトシを自宅で味わうおすすめギフト&選び方
長崎まで足を運ぶのが難しい場合でも、現在はお取り寄せ通販を利用して本場の味を自宅で楽しめます。各メーカーから冷凍状態で配送されるため、ストックグルメやお中元・お歳暮のギフトとしても重宝されています。
通販商品を選ぶ際は、「調理方法」を確認することがポイントです。自宅で油で揚げるタイプの生冷凍品は揚げたての極上サクサク感が味わえ、電子レンジやトースターで温めるだけの「調理済み冷凍タイプ」は、忙しい日の軽食やおつまみとして手軽に重宝します。山根商店のハトシロール詰め合わせや、中華街の老舗が手がける本格ハトシなど、食べ比べセットも人気を集めています。
【ハトシとは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ハトシと一般的なエビカツやエビトーストの違いは何ですか?
A1:エビカツはエビにパン粉を付けて揚げた洋食ですが、ハトシは食パンそのものでエビのすり身を挟んで揚げます。また、タイ料理の「カノムパンナアクン(エビトースト)」とも似ていますが、長崎のハトシは中国・広東料理の「蝦多士」をルーツとし、長崎独自の卓袱料理文化として洗練されてきた歴史的背景を持ちます。
Q2:冷めてしまったハトシを美味しく温め直す方法はありますか?
A2:電子レンジで軽く中心を温めた後(500Wで20〜30秒程度)、アルミホイルを敷いたオーブントースターで2〜3分ほど表面を焼くのがベストです。パンの余分な水分が飛び、揚げたてのようなサクサク感がしっかりと蘇ります。
Q3:エビ以外を使ったハトシもあるのでしょうか?
A3:はい、豚ひき肉やすり潰した魚肉(アジやイワシなど)を使用したハトシも長崎では広く親しまれています。特に豚肉のハトシはジューシーで食べ応えがあり、地元の中華料理店や精肉店でも人気の惣菜メニューとなっています。
エビの旨味とパンの香ばしさが絶妙に調和した長崎の郷土料理「ハトシ」。明治期に海を渡ってきた中国の食文化が、長崎の卓袱料理という特別な宴席文化のなかで磨かれ、今や現代の食べ歩きや家庭料理へと形を変えながら愛され続けています。
長崎への旅行で本場の揚げたてを頬張るのはもちろん、お取り寄せや自宅での手作りクッキングなど、ハトシを楽しむアプローチは多彩です。噛むたびに広がるサクッと心地よい音と贅沢なエビの風味を、ぜひ毎日の食卓や旅の思い出に取り入れてみてください。