イギリス発の大ヒット料理コンテスト番組『ブリティッシュ ベイクオフ(The Great British Bake Off)』。日本国内でも動画配信サービスやNHKでの放送を通じて根強いファンを獲得していますが、長年「英国のおばあちゃん」として親しまれた審査員メアリー・ベリー(Mary Berry)の降板は、今なお世界中のファンに語り継がれる大きな転換点でした。
番組の顔として愛されていた彼女が、なぜ突如としてテントを去ることになったのか。ファンの間で囁かれたポール・ハリウッドとの確執疑惑や、英メディア界を揺るがした放送局移籍劇の舞台裏、そして後任体制と彼女の最新動向まで、その真相を徹底的に掘り下げます。
【真相究明】メアリー・ベリー降板の決定打となった「チャンネル4移籍劇」

メアリー・ベリーが番組を離れるきっかけとなった最大の出来事は、2016年に起きた放映権を巡るテレビ局移籍騒動です。当時、番組を制作していた独立系プロダクション「ラヴ・プロダクションズ(Love Productions)」と、発足当初から放送を続けてきた公共放送「BBC」との間で契約更新交渉が決裂しました。
制作側が提示した高額な放映権料に対し、国民の受信料で運営されるBBCは予算の大幅増額に応じることができず、商業放送局である「チャンネル4(Channel 4)」が破格の金額で放映権を獲得。この商業主義的な移籍劇に対し、英国内では視聴者やメディアを巻き込んだ激しい議論が巻き起こりました。
この移籍発表の直後、メアリー・ベリーは正式に番組からの降板を発表。彼女は声明の中で「私を育ててくれたBBCへの忠誠を守るため」と明言し、商業局への移籍に伴う巨額の契約金オファーを固辞する道を選びました。
【BBCへの忠誠心】メアリーと司会コンビ(メル&スー)が下した苦渋の決断
メアリーの降板劇において見逃せないのが、番組の名物司会コンビであったメル・ギェドロイツとスー・パーキンス(メル&スー)の存在です。彼女たちもまた、移籍発表の当日にいち早く「スコーンのように生地を切り売りする商業主義には加担しない」と表明し、降板を発表しました。
メアリーにとって、BBCは自身のキャリアを黎明期から支え続けてくれた恩ある放送局でした。70代半ばで『ブリティッシュ ベイクオフ』の審査員に抜擢され、国民的スターとしての地位を再確立させてくれた恩義を、彼女は何よりも重んじたのです。
温かなユーモアで現場を包んでいたメル&スー、そして的確かつ愛情に満ちたメアリーの批評。3人が示した「番組の魂はBBCと共にある」という一貫した姿勢は、多くの英国民から深い敬意と賞賛を集めました。
【不仲説の検証】ポール・ハリウッドとの確執疑惑とそれぞれの道
主要メンバー4名のうち3名が降板を決めた中、唯一チャンネル4への残留を決めたのが、もう一人の審査員であるポール・ハリウッドでした。この決断により、タブロイド紙を中心に「メアリーとポールの確執」「裏切りによる不仲」といった噂が一気に過熱することになります。
しかし、当事者たちの証言を検証すると、私情による対立ではなく、プロフェッショナルとしてのスタンスの違いが浮き彫りになります。ポールはパン職人としてのキャリアを世界へ広げる野心を持ち、番組のフォーマットそのものを愛していたため残留を選びました。
メアリー自身も後年のインタビューで、ポールの残留決断を批判することなく「彼の選択を尊重する」と大人の対応を一貫して見せています。現場での熱い師弟のような絆は失われたわけではなく、歩むべきキャリアの優先順位が異なった結果の別離でした。
【新体制への移行】後任プルー・リース就任とシーズン7最終回が残したもの
BBCにおけるオリジナルキャストのラストステージとなったのが、『ブリティッシュ ベイクオフ シーズン7』の最終回です。視聴者数は英国だけで1400万人を超え、メアリー、ポール、メル、スーの4人が揃う最後の姿に、国中が涙と惜しみない拍手を送りました。
その後、チャンネル4版として再スタートを切った番組では、メアリーの後任審査員として著名な料理家・レストラン経営者のプルー・リース(Prue Leith)が就任。司会陣もコメディアンのノエル・フィールディングらに刷新されました。
当初は「メアリー抜きのベイクオフは成り立たない」と懸念する声も多く聞かれましたが、プルー・リースの洗練された鋭い指摘とカラフルなファッションが新たな魅力となり、新体制の番組も見事に定着を果たしています。
【伝説の料理家】メアリー・ベリーの輝かしい経歴と現在の活動
『ベイクオフ』を去った後も、メアリー・ベリーの料理界における存在感は衰えるどころか、ますます輝きを増しています。1935年生まれの彼女は、現在も英国を代表する料理研究家として精力的な活動を続けています。
彼女の経歴は極めて華やかで、フランスの名門ル・コルドン・ブルーで学んだ後、数々の家庭料理向けレシピ本を執筆。出版した料理本は70冊以上にのぼり、累計発行部数は世界中で数百万部を記録しています。
降板後もBBCで『Mary Berry Everyday』や『Mary Berry Cook Everyday』などの単独冠番組を次々と成功させ、2020年には料理界および慈善活動への多大な貢献が認められ、大英帝国勲章の最高位の一つである「デイム(Dame)」の称号を授与されました。年齢を重ねても変わらない気品と探求心は、今も世界中の人々にインスピレーションを与え続けています。
【2026年最新】日本で『ブリティッシュベイクオフ』を楽しむ配信状況
日本国内における『ブリティッシュ ベイクオフ』の視聴環境は、現在も主要なストリーミングサービスを中心に非常に充実しています。
初期のBBC時代(シーズン1〜7)をはじめ、プルー・リース加入後のチャンネル4版シーズンまで、NetflixやAmazon Prime Video、Huluなどで順次配信や見放題の展開が行われており、NHK Eテレでも不定期に日本語吹替版が放送されています。
メアリー・ベリーの温かい名審査を振り返りたいオールドファンはもちろん、初めて英国の本格ベイクカルチャーに触れる視聴者にとっても、彼女が築き上げた黄金期のシーズンは色褪せない名作として親しまれています。
【ブリティッシュベイクオフ メアリー 降板 理由】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:メアリー・ベリーが降板した一番の理由は何ですか?
A1:番組の放映権がBBCから商業放送局チャンネル4へ売却された際、長年自身を支えてくれたBBCへの忠誠心を守るため、高額契約のオファーを断って残留(=番組降板)を選択したことが直接の理由です。
Q2:ポール・ハリウッドとメアリーの間に不仲説はありましたか?
A2:ポールだけが移籍先に残留したことでメディアから確執が噂されましたが、実際には仕事に対する方針の違いであり、プライベートでの決定的な対立や不仲ではありませんでした。
Q3:メアリーの後任審査員は誰ですか?現在も番組は続いていますか?
A3:後任審査員には料理家のプルー・リース(Prue Leith)が就任しました。番組は現在も新キャストと共に高い人気を維持しながら放送が続けられています。
メアリー・ベリーが下した降板という決断は、単なるタレントの番組卒業ではなく、自らの信条と恩義を貫き通した誠実な選択でした。目先の利益よりも義理を重んじるその高潔な姿勢こそが、彼女が「国民的レジェンド」と称される所以です。
新体制となった『ブリティッシュ ベイクオフ』が新たなファンを魅了し続ける一方で、メアリーが番組に残した温かい精神は今も息づいています。彼女の素晴らしいキャリアと過去の名場面を、ぜひ配信や書籍を通じて再発見してみてください。