乗馬を趣味として本格的に楽しむための登竜門となるのが、乗馬ライセンス4級(全国乗馬倶楽部振興協会 技能認定4級)です。引き馬や基本的な常歩(なみあし)が中心だった5級から一歩進み、馬を自分でコントロールして軽速歩(けいそくほ)のリズムを保つ技術が大切です。外乗(ホーストレッキング)で颯爽と駆け抜けたい人にとっても、4級の取得はひとつの大きな目標となります。
一方で、操作の難易度が一段階上がることから「実技で落ちた」「何回レッスンを受ければ受かるのか」と不安を抱える受講者も少なくありません。審査基準や筆記試験の傾向、費用相場、短期合宿の評判まで、受講前に押さえておくべきポイントを整理しました。
【難易度と合格率】乗馬ライセンス4級の基礎知識と5級との決定的な違い

乗馬のライセンス制度は、公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会が認定する公的な技能認定です。5級が入門レベルの体験に近い位置づけであるのに対し、4級からは「馬を自力で意図通りに動かす基礎技術」が本格的に試されます。
気になる合格率は90%〜95%程度を推移しています。数字だけを見ると高い通過率ですが、これはクラブ側が「合格レベルに達した」と判断した段階で受験を推奨するケースが多いためです。決して無対策で誰でも受かるわけではなく、5級に比べると技術的なハードルは確実に上がります。
5級との最大の相違点は、軽速歩(ライジングトロット)の習熟度と経路(決められたコース)の走行です。指導員の合図に頼らず、自分で歩度(スピード)をコントロールし、正しい手前(馬の脚の運び)に合わせて立つ・座るの動作を継続できるかが評価の根幹となります。
合否を分ける審査基準|実技試験の軽速歩・誘導と筆記試験の傾向
試験は「実技試験」と「筆記試験」の2本立てで実施されます。それぞれの審査基準と出題傾向を正確に把握しておくことが合格への近道です。
実技試験の審査基準では、馬場内での安全な発進・停止はもちろん、以下の項目が厳格にチェックされます。
・部班運動および単独での軽速歩:リズムを崩さずに軽速歩を維持できるか。
・斜めに手前を変える・輪乗り:決められた地点(マーカー)で正確に方向転換や円運動(直径20m程度)ができるか。
・正しい姿勢と扶助(合図):脚(きゃく)や手綱を使った指示が適切に出ており、騎乗姿勢が安定しているか。
・軽速歩の手前の確認と修正:斜めに手前を変えた際、内方脚に合わせた正しい立ち座りへ素早く切り替えられるか。
一方の筆記試験(乗馬技能認定4級 筆記問題)は、30問程度の正誤式(○×形式)が主流です。馬の生態や習性、馬具の名称・取り扱い、安全管理、手前合わせの理論などが問われます。過去問や公式教則本を一読しておけば十分に満点を狙える内容ですが、「左手前・右手前の定義」や「馬体の名称」で混同しやすいため油断は禁物です。
不合格になる人の共通点とは?実技で「落ちた理由」ワースト3
高い合格率を誇る4級ですが、毎年一定数の受験者が不合格の判定を受けています。現場の指導員や実際の受験者の声から見えてくる、実技で落ちた理由の代表例は次の3点に集約されます。
1. 軽速歩の手前が合っていない(または気づけない)
斜めに手前を変えた後、手前が逆のまま走り続けてしまうミスが最も目立ちます。座った瞬間に馬の外側の前肢を確認し、リズムを合わせ直す修正技術が身についていないと減点対象になります。
2. 緊張で身体が固まり、馬の動きを止めてしまう
検定時の緊張から手綱を強く引っ張りすぎてしまい、馬が常歩に落ちたり停止してしまうケースです。随伴(馬の揺れに体を合わせること)ができず、バタバタと鞍に打ちつけられる姿勢になると推進の合図が伝わりません。
3. 経路の誘導ミス・ショートカット
緊張のあまりマーカーの通過順序を間違えたり、輪乗りの円が歪んで極端に小さくなったりするケースです。馬に主導権を握られ、内側にショートカットされると「誘導不足」とみなされます。
【費用と期間】必要な騎乗回数の目安と乗馬クラブクレイン等のコース比較
ライセンス取得に要する費用と期間は、通うスクールの料金体系や本人の上達ペースによって変動します。
5級取得者が4級を目指す場合、必要な騎乗回数は30鞍〜40鞍前後が標準的な目安です。週1回(1日2鞍)のペースで通った場合、5級から4級までの期間目安は約3ヶ月〜5ヶ月となります。
取得費用の総額目安は以下の通りです。
・受験料・認定登録料:約15,000円〜20,000円(協会規定の申請料を含む)
・受講料・騎乗料(30〜40鞍分):約60,000円〜120,000円(クラブの会員種別による)
・装具レンタル代・保険料:約10,000円〜20,000円
・総額の目安:約8万円〜15万円
例えば、全国展開する乗馬クラブクレインのライセンス4級取得コースでは、会員向けにカリキュラムが体系化されており、専用の集中レッスンで無駄なくステップアップできる環境が整っています。ビジター受講が可能なクラブや、自馬レンタル制度のある施設など、通いやすさと総費用を比較して選ぶのが賢明です。
短期合宿の評判と独学のリアル|最短で確実に取得するためのロードマップ
「普段忙しくて毎週通えない」「一気に集中して取りたい」という層に選ばれているのが短期合宿プランです。
北海道や那須、御殿場などのリゾート型乗馬施設では、3泊4日〜5泊6日程度の集中合宿コースが用意されています。宿泊費、食事、レッスン代、受験料がパッケージ化されており、費用相場は12万円〜20万円前後です。
短期合宿の評判を分析すると、「毎日馬に乗り続けることで感覚を忘れずに一気に上達できた」「大自然の中での騎乗がモチベーションになった」という好意的な評価が目立ちます。一方で、「短期間で一気に筋肉痛になり、後半は体力勝負になった」という体験談もあるため、普段からの基礎体力づくりは欠かせません。
なお、乗馬ライセンス4級の完全独学取得は原則として不可能です。実技試験には認定指導員による審査と公認馬場の利用が必須となるため、必ず全国乗馬倶楽部振興協会の認定クラブを通じて受講・受験するルートを選択してください。
【乗馬ライセンス4級】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:5級を持っていなくても、いきなり4級から受験することはできますか?
A1:制度上、5級をスキップして4級から直接受験することは可能です。ただし、5級レベルの基礎(常歩、基本的な誘導、軽速歩の初歩)が完全に身についていることが前提となるため、乗馬未経験者がいきなり4級コースに入るのは現実的ではありません。まずは5級から段階を踏むか、事前のレベルチェックを受けるのが一般的です。
Q2:筆記試験の過去問はどこで手に入りますか?
A2:全国乗馬倶楽部振興協会の公式サイトや、所属する認定乗馬クラブで配布される教本・テキストに練習問題が掲載されています。市販の過去問題集として書店に並ぶことは稀ですが、クラブ側が提供する対策プリントを復習すれば確実に合格点をクリアできます。
Q3:4級を取得すると、どんなことができるようになりますか?
A3:観光牧場やトレッキング施設での「外乗コース」において、駆け足(駈歩)を含む上級者向けコースへの参加資格が得られるケースが増えます。また、自分で馬をコントロールして経路を走る面白さが格段に広がり、次のステップである「3級(駈歩の習得)」への明確な足がかりとなります。
乗馬ライセンス4級は、指示待ちの騎乗から「自立したライダー」へとステップアップするための決定的な分岐点です。手前合わせや歩度の維持など覚えるべき要点は増えますが、正しい姿勢と落ち着いた扶助を意識すれば、決して突破できない壁ではありません。
日常のクラブ通いでも短期合宿でも、愛馬との呼吸を合わせながら一鞍ごとの課題をクリアしていくプロセスこそが乗馬の醍醐味です。確かな技術を身につけ、広大なフィールドでの外乗や3級への挑戦を目指しましょう。