ストリートダンスの定番であり、三代目 J SOUL BROTHERSの代表曲『R.Y.U.S.E.I.』の爆発的ヒットによって日本中で社会現象となった「ランニングマン」。忘年会の一発芸やSNSのショート動画などで挑戦したものの、「ぎこちないロボットのようになってしまう」「足がもつれて前に進んでしまう」と頭を抱えた経験を持つ方は少なくありません。
その場を走っているように見せるランニングマンは、ヒップホップの基本ステップでありながら、実は体重移動とスライドのタイミングが極めて重要な高難度スキルです。本記事では、ダンス初心者でも今日からカッコよく踏めるようになる正しい足の動かし方や、プロが実践する上達のコツを論理的に解説します。
【ダンスの原点】三代目JSBからTikTokまで愛され続けるランニングマンの魅力
ランニングマンは、1980年代後半のヒップホップ黎明期(いわゆるニュージャックスウィング期)に誕生したとされるストリートダンスの基礎ステップです。ボビー・ブラウンをはじめとする当時のトップアーティストたちがMVで披露したことで世界中に広まり、ストリートダンスカルチャーの象徴として定着しました。
日本国内においてその存在を不動のものにしたのが、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEが2014年にリリースした『R.Y.U.S.E.I.』です。間奏でメンバー全員が息を揃えてステップを踏むフォーメーションダンスは強烈なインパクトを与え、世代を超えたムーブメントを巻き起こしました。2020年代後半の現在も、TikTokやInstagramのリール動画などSNSのダンスチャレンジにおいて外せない王道ステップとして輝き続けています。
【徹底解剖】ランニングマンが上手くできない決定的な理由とNGパターン
「動画を見ながら真似しているのに、なぜか不格好になってしまう」というダンス初心者が直面する壁には、明確な3つの原因が存在します。
第1の理由は、「後ろ足を後ろへスライドさせていないこと」です。ランニングマンをただの「その場足踏み」や「腿上げ」と勘違いしていると、足が床に引っかかり、滑らかに後ろへ流れません。あくまでも「地面を後ろに蹴り出して滑らせる摩擦のコントロール」が必要です。
第2の理由は、「上半身が直立して重心が安定していないこと」です。背筋をピンと伸ばしたままステップを踏むと、足の衝撃を吸収できずドタバタとした動きになります。胸を軽く落とし、骨盤をやや後傾させる基本姿勢が抜けているケースが目立ちます。
第3の理由は、「リズムがズレて1カウントで1歩しか動いていないこと」です。ランニングマンは「表拍(オンビート)」と「裏拍(アップ/アンド)」の組み合わせで成立しています。足の動かし方を分解して理解していないと、音楽のスピードに追いつけず混乱してしまいます。
【ステップ解説】初心者でもわかる正しい足の動かし方とスライドの仕組み
ランニングマンの構造は、極めてシンプルな2つのポジションの連続です。まずは音をかけずに、以下の手順をゆっくり確認しましょう。
ステップ1:準備(スタートポジション)
肩幅程度に足を開いてリラックスして立ちます。軽く膝を曲げ、みぞおちを少し引き込んで脱力します。
ステップ2:カウント「1(ワン)」で前足を上げ、軸足を後ろへスライド
右膝を直角(おへその高さ)まで引き上げると同時に、床についている左足を靴1足分後ろへ滑らせます。この瞬間、体重は左足にしっかりと乗せておきます。
ステップ3:カウント「&(エン)」で前足を下ろし、両足で着地
上げていた右足を前方(元の位置より半歩前)へ下ろし、左足をさらに後ろへ軽く滑らせて前後に開いたスタンスを取ります。このとき、前後の足へ均等に体重を分散させます。
ステップ4:カウント「2(ツー)」で逆足の引き上げとスライド
今度は後ろにある左膝をグッと前へ引き上げると同時に、前に出ている右足を後ろへスライドさせます。これを左右交互に繰り返すのがランニングマンの基本メカニズムです。
【劇的に上達】誰でも今すぐ上手く見える3つのコツとリズムの取り方
足の動かし方を覚えた後、一気にダンスのクオリティを引き上げるためのプロの極意を伝授します。
①「ダウン」のリズムを足の着地と同時にしっかり沈み込ませる
ヒップホップのグルーヴを生む最大の要点は、足が前後に開いて着地した瞬間(「&」のタイミング)に、しっかりと重心を下に沈める(ダウンする)ことです。頭の位置を一定に保つのではなく、着地の瞬間にグッと沈み、足を上げる瞬間に少し浮くメリハリが躍動感を生みます。
② スライドは「かかと」ではなく「母指球」を使う
足を後ろへ滑らせる際、足裏全体をベタッと床につけると摩擦が強すぎてスムーズに動きません。足指の付け根(母指球)あたりに体重を乗せ、かかとをほんの少し浮かせる感覚を持つと、驚くほど滑らかなスライドが可能になります。
③ 腕の振りを走る動作と連動させて上半身のブレを抑える
足の動きに意識が集中すると腕が棒立ちになりがちです。右膝が上がるときは左腕を前に、左膝が上がるときは右腕を前に出すという「通常のランニングと同じクロスの腕振り」を意識します。拳を握りすぎず、肘を後ろへ引くように振ると全体のシルエットが引き締まります。
【1日5分の練習方法】部屋の中で静かに上達できるステップアップメニュー
近所迷惑や騒音を気にせず、自宅のリビングで上達できるおすすめの自主トレメニューを紹介します。
まずは「靴下練習法」です。フローリングの上で靴下を履いて練習することで、床との摩擦が減り、足を引き抜く感覚とスライドの体重移動が簡単に掴めます。足をドタバタと叩きつけるのではなく「撫でる」感覚を身体に染み込ませましょう。
次に「スローテンポ(BPM80前後)での反復練習」です。いきなり原曲のスピード(BPM120〜130)で踊ろうとするとフォームが崩れます。ゆったりとしたヒップホップクラシックなどのスロービートに合わせて、1歩ずつの足の位置と重心を鏡で確認しながらじっくり踏み込みます。無駄な力が抜け、自然にステップが踏めるようになってから徐々に曲のテンポを上げていくのが最短の上達法です。
【カルチャー豆知識】ヒップホップの歴史と韓国の国民的人気バラエティ番組
「ランニングマン」というキーワードを検索すると、ダンスステップだけでなく韓国のコンテンツが数多くヒットします。これは、韓国の主要放送局SBSで2010年から放送されている超長寿バラエティ番組『Running Man(런닝맨)』の存在があるためです。
ユ・ジェソクをはじめとする人気タレントやK-POPアイドルが街中やランドマークを舞台に背中の名札を奪い合うこの番組は、アジア全域でメガヒットを記録。ダンスのステップ名と同じ名称ですが、エンタメ界においてもうひとつの巨大なカルチャーアイコンとして世界中に親しまれています。検索する際は、ストリートダンスの解説を探しているのか、韓国バラエティの情報を求めているのかを意識するとスムーズです。
【ランニングマン】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ダンス未経験の完全な初心者ですが、何日くらいで踊れるようになりますか?
A1:足の動かし方自体は、分解して練習すれば1日(30分〜1時間程度)で理解できます。音楽に合わせて自然にカッコよく踏めるようになるまでは、毎日5〜10分の練習を続けて1週間から2週間程度が目安です。
Q2:靴底が滑らないスニーカーだとランニングマンはやりにくいですか?
A2:グリップ力が強すぎるゴム底のシューズは、初心者のうちは床に足が引っかかり足首を痛める原因になります。ダンス練習には、靴底が適度に滑りやすいフラットなスニーカー(VANSやNIKEのクラシック系など)を選ぶか、室内では靴下から始めるのがベストです。
Q3:前後に進んでしまってその場に留まれません。どうすればいいですか?
A3:前へ進んでしまうのは、前に出した足に体重が乗りすぎている証拠です。足を上げたときの「後ろ足のスライド幅」と、足を下ろしたときの「前足の踏み込み幅」が均等になるよう、真ん中の重心(へその位置)をキープする意識を持ってください。
ランニングマンは、足の引き上げとスライドのタイミングさえ掴んでしまえば、誰でも見違えるようにカッコよく踊れるようになるステップです。一見すると難しそうに見えますが、動作をひとつずつ分解し、重心のコントロールとダウンのリズムを身体に覚えさせることが成功への近道となります。
基本のフォームが身につけば、回転を加えたり手の振りをアレンジしたりと、ダンスの表現力は一気に広がります。まずは靴下を履いてリビングで一歩を踏み出し、好きな音楽に合わせて身体を揺らす楽しさを実感してみましょう。