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クマ駆除拒否の裏側|猟友会が抱える理不尽な待遇と裁判の真相

白石 ひなた 白石 ひなた • 更新: • 公開: • 読了約 9 分
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市街地へのクマ出没が相次ぐ日本列島で、住民の安全を守る最後の防波堤となってきたのが猟友会です。しかし、命の危険を伴う現場でありながら、自治体からの要請に対する「出動拒否」や活動辞退の動きが各地で表面化し、大きな波紋を広げています。

地域住民の命を守るハンターたちが、なぜ自治体と対立し、現場を離れざるを得ないのか。その背景には、極端に低い報酬設定や過酷な責任の押し付け、そして銃撃判断を巡る司法リスクといった深刻な構造問題が存在します。2026年現在の最新動向を踏まえ、知られざる現場の実態を掘り下げます。

クマ駆除の出動拒否はなぜ起きたのか?砂川市裁判と「銃所持許可取り消し」の衝撃

猟友会

猟友会による出動拒否の動きが全国的な注目を集める最大の要因となったのが、北海道砂川市で発生した鳥獣被害対策実施隊員を巡る行政訴訟(いわゆる砂川市裁判)です。

2018年、砂川市と警察の立ち会いのもと、住宅街近くに出没したヒグマを駆除したハンターが、後に「背後の建物に向かって発砲した危険性がある」として、北海道公安委員会から猟銃所持許可の取り消し処分を受けました。現場の要請に従い、周囲の安全を確認して発砲したにもかかわらず、射殺後にすべての責任を射手個人に負わされたこの事案は、全国のハンターに凄まじい衝撃を与えました。

一審の札幌地裁では処分取り消しの勝訴判決が出たものの、二審の札幌高裁で逆転敗訴。その後、最高裁で審理が続くなど法的な解釈が揺れ動いた結果、「撃てば銃を奪われ、撃たなければ批判される」という極限状態に追い込まれた各支部の猟友会が、身を守るための正当防衛として自治体からの駆除要請を辞退する事態へと発展しました。

命がけで日当数千円?報酬の低さと有害鳥獣駆除を巡る自治体トラブル

猟友会と地方自治体の間で生じる軋轢は、司法リスクだけにとどまりません。現場の危険度に見合わない極端な低報酬問題も長年放置されてきた火種の一つです。

多くの自治体において、有害鳥獣駆除に伴う出動手当(日当)は1回あたり数千円から1万円程度に据え置かれてきました。一歩間違えれば命を落とす猛獣との対峙でありながら、使用するライフル弾やスラッグ弾の費用(1発数百円から千円超)、車両のガソリン代、愛犬の治療費などはすべてハンター側の自己負担となるケースが珍しくありません。

「自治体の安全管理責任を民間ボランティアに丸投げしている」という不満は根強く、クマの出没件数が急増した地域では、駆除契約の単価見直しや損害賠償保険の拡充を求めて猟友会側が交渉を申し入れたものの、予算不足を理由に拒否されて決裂する有害鳥獣駆除の自治体トラブルが頻発しています。

大日本猟友会の会員数推移と高齢化問題|崩壊寸前の防衛網

日本の野生動物対策を支えてきた人的基盤も、限界に達しています。一般社団法人大日本猟友会の統計によると、会員数は1970年代のピーク時(約53万人)から激減し、現在は10万人を割り込む水準で推移しています。

さらに深刻なのが担い手の年齢構成です。全国の銃猟免許保持者の60歳以上が占める割合は7割を超え、70代以上のベテランが第一線で重いライフルを担いで出動している地域が少なくありません。

狩猟免許を取得する若い世代や女性(いわゆる狩りガール)の新規参入は一部で見られるものの、その多くは罠猟(わな猟)免許の取得者です。市街地に侵入した大型猛獣を即座に制圧できる第一種銃猟免許の保持者は増えておらず、現場の世代交代は依然として進んでいないのが実情です。

世論の二分とネットの反応|理不尽な抗議に晒される現場

クマ駆除を巡る報道が過熱する中、インターネットやSNS上での評判や世論の反応も現場に重い影を落としています。

ネット上では「命を張って住民を守っているハンターへの理不尽な処分はおかしい」「日当10万円でも安いくらいだ」と猟友会を擁護・支持する声が圧倒的多数を占める一方、駆除が実行されるたびに関係自治体や猟友会支部へ「クマを殺すな」「山へ帰せ」といった感情的な抗議電話や誹謗中傷が殺到する事態が続いています。

危険な駆除作業を完遂しても感謝されるどころか、身元を特定されてネット上で晒されるリスクすらある環境が、若いハンターの意欲を削ぎ、ベテランの早期引退を加速させる一因となっています。

【2026年最新動向】法改正と緊急時発砲ルールの緩和はどう進んだか

度重なる出動拒否と人身被害の拡大を受け、国もようやく法整備へと舵を切りました。環境省はクマ類を国の管理計画に基づく「指定管理鳥獣」に追加し、捕獲事業に対する財政支援を強化しています。

2026年現在の大きな変化として、鳥獣保護管理法の改正による市街地での緊急発砲要件の明確化が挙げられます。従来は警察官職務執行法に基づく極めて限定的な場面でしか認められなかった市街地でのライフル銃等による発砲について、人命に危険が及ぶ切迫した状況下であれば、行政の指揮のもとで射手個人が罪に問われない仕組みの運用が本格化しました。

あわせて、一部の先進的自治体では猟友会への依存から脱却し、正規の公務員としてハンターを雇用する「自治体直営の鳥獣対策班」を常設する試みも広がりを見せています。

猟友会の入会方法と費用|一般人がハンターになるまでの現実

野生鳥獣の管理に関心を持ち、猟友会への加入を検討する一般人も増えています。活動に参加するまでの基本的な流れと初期費用は以下の通りです。

最初に、各都道府県が実施する狩猟免許試験(第一種銃猟または第二種銃猟、わな猟など)に合格する必要があります。その後、公安委員会による厳格な身辺調査や精神科医の診断書提出、講習を経て猟銃等所持許可を取得します。

猟友会への入会は、居住地域の支部(単位猟友会)を通じて行います。入会金および年会費は地域によって異なりますがおおむね1万円〜3万円程度です。ただし、銃本体の購入費用(10万〜50万円以上)、ガンロッカーの設置費用、射撃練習費用、狩猟税、保険料などを合算すると、初期費用だけで30万〜60万円程度の自己負担が発生します。単なる趣味の範疇を超えた金銭的・時間的コストが必要となるのが現実です。

【猟友会】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:猟友会は公的な組織なのですか?それとも民間団体ですか?
A1:猟友会は公的機関ではなく、民間の任意団体(一般社団法人)です。警察や自治体から要請を受けて出動する有害鳥獣駆除は、自治体と猟友会(または隊員個人)が委託契約を結んで実施しているものであり、ハンターは警察官や自衛官のような公務員ではありません。

Q2:クマを駆除した場合、ハンターには1頭あたりいくらの報酬が入りますか?
A2:自治体の規定により大きく異なりますが、出動日当として5,000円〜1万5,000円程度、捕獲報奨金として1頭につき1万円〜3万円程度が支給されるのが一般的です。ただし、複数名で出動した場合は山分けになるケースも多く、準備にかかる実費を差し引くと手元に残る金額はわずかです。

Q3:なぜ警察や自衛隊が直接クマを射殺しないのですか?
A3:警察官が携行する拳銃は対人制圧用であり、ヒグマや大型ツキノワグマの分厚い筋肉や頭蓋骨を貫通して致命傷を与える威力がありません。また、自衛隊の小銃は跳弾や貫通による市街地での副次的被害のリスクが極めて高く、法律上も鳥獣捕獲を主任務とした即時出動が難しいため、専門の銃器と技術を持つ猟友会に頼らざるを得ない構造になっています。

猟友会によるクマ駆除の出動拒否は、決してハンターたちの職務放棄ではなく、不当な法的責任と低待遇を放置し続けてきた社会に対する切実な警告でした。

地域の安全を民間人の善意とボランティア精神に依存し続ける体制は完全に限界を迎えています。法改正による発砲リスクの軽減が進みつつある今、適正な報酬の支払い、公的補償の充実、そして専門人材を育てる恒久的な仕組みづくりが、人と野生動物が共存するための不可欠な前提となっています。

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トレンドリサーチャー 白石 ひなた
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芸能・エンタメ取材7年。一次情報は事務所の公式リリースと本人の公式SNSに限定し、報道だけの情報は複数媒体の一致を確認してから扱います。

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