SNSやネット掲示板で日常的に目にする「竹書房=破壊される出版社」という強烈なミーム。マンガやアニメに詳しくない人からすれば、「なぜ特定の出版社がここまで執拗に爆破や解体の標的にされているのか」と不思議に思うのも無理はありません。
この破壊劇の発端は、鬼才・大川ぶくぶ氏が手がける不条理ギャグ漫画『ポプテピピック』です。連載開始から10年以上が経過した現在でも、その勢いは衰えるどころか出版業界屈指の「愛されネタ」として定着しています。本稿では、竹書房が破壊され続ける元ネタの背景から、現実の社屋移転・ビル解体劇の真相、そして版元である竹書房が見せた驚愕の公式対応までを解説します。
【元ネタ解説】なぜ竹書房は破壊されるのか?『ポプテピピック』誕生の経緯
竹書房が破壊されるようになった直接のきっかけは、竹書房のウェブコミック配信サイト『まんがライフWIN』で2014年に連載を開始した大川ぶくぶ氏の4コマ漫画『ポプテピピック』です。
作中において、主人公のポプ子とピピ美は、連載媒体の版元である竹書房をまったく敬うことなく、露骨な敵対心を剥き出しにします。原稿の没や連載の打ち切り危機、理不尽な出版システムへの八つ当たりとして、ポプ子が竹書房の本社ビルに殴り込みをかけ、素手でビルを粉砕したりダイナマイトで爆破したりする過激なオチが定番パターンとなりました。
通常、自社の連載陣が版元を罵倒・破壊する描写は編集部からストップがかかるものですが、同作では担当編集者すらネタに巻き込みながらエスカレートしていきました。この前代未聞の暴挙が読者に強いインパクトを与え、「竹書房=いつ破壊されてもおかしくないビル」という共通認識がネット上に浸透していったのです。
「指定暴力団竹書房」パワーワードの衝撃とポプ子の暴走
竹書房破壊ネタを語る上で外せないのが、作中に登場した「指定暴力団竹書房」というあまりにも物騒なパワーワードです。
ポプ子が竹書房ビルを指差して発したこのフレーズは、麻雀コミックや実話系実録コミックなどを多く手掛けてきた竹書房のリアルな出版カラーを絶妙にパロディ化したものでした。もちろん実際には指定暴力団などではなく健全な出版社ですが、言葉の圧倒的な語感の良さからTwitter(現X)をはじめとするSNSで爆発的に拡散される事態となります。
単行本第1巻のラストでは「竹書房を破壊したことで連載終了」というメタフィクション的なオチが描かれ、読者の度肝を抜きました。自らを掲載してくれている大元の会社を完膚なきまでに物理破壊してエンドを迎えるという前代未聞の手法は、サブカルチャー界隈に大きな爪痕を残しました。
現実がネタに追いついた?旧飯田橋ビルの解体・移転劇の真相
作中で何度も破壊されてきた竹書房ですが、ファンの間で最大の盛り上がりを見せたのが、現実の竹書房旧社屋ビルの移転および解体でした。
竹書房は長年、東京都千代田区飯田橋に自社ビルを構えていましたが、建物の耐震性や老朽化に伴い、近隣エリアへのオフィス移転が決定。これに伴い、長年親しまれた飯田橋の旧ビルが実際に解体されることになったのです。
このニュースが報じられるや否や、ネット上では「ついにポプ子に壊されたか」「現実が漫画に追いついてしまった」と大きな話題になりました。通常、企業の社屋解体は事務的なニュースに過ぎませんが、竹書房の場合は漫画のファンが現地を訪れて写真を撮影するなど、ひとつの観光名所のような盛り上がりを見せました。
【公式の反応】出版社とは思えない懐の深さ!乗っかり企画の裏側
竹書房がネット上でこれほど支持される理由は、過激な破壊ネタに対して怒るどころか、公式自ら全力で悪ノリに乗っかるプロモーション姿勢にあります。
旧社屋の解体時には、リアルイベントとして「旧社屋の壁をファンに破壊(ペンキで落書き・解体体験)させる企画」を実施するなど、自虐を最大の武器へと昇華させました。加えて、社屋ビルの破片をアクリルキーホルダーに封入してグッズ販売するという、常識破りの商品企画まで成立させています。
漫画家からの過激な煽りを受け止め、それを読者を楽しませるエンターテインメントへと変えていく竹書房編集部の柔軟なスタンスこそが、このミームを長期的な人気コンテンツへと押し上げた最大の要因です。
アニメ版でも完全再現された破壊描写とカルチャーの定着
2018年に放送されたTVアニメ版『ポプテピピック』でも、竹書房の破壊描写は余すところなく映像化されました。AパートとBパートで同じ内容を異なる声優陣が演じる斬新なシステムの中でも、竹書房破壊シーンは幾度となく登場し、豪華声優陣の熱演とともに視聴者のお腹を抱えさせました。
アニメ第1話のオープニング映像が始まったと思いきや、途中で映像が引き裂かれてポプ子が登場し、竹書房のキングレコード担当プロデューサーを威嚇する演出など、アニメ業界全体を巻き込んだスケールの大きなプロレスが展開されました。
作品の枠を超えて「コンテンツに不満があればとりあえず竹書房を爆破する」というスラングが定着したことは、デジタル時代におけるファンコミュニティと公式の共創関係の象徴と言えます。
【竹書房の破壊ネタ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:竹書房は本当に作者の大川ぶくぶ氏と仲が悪いのですか?
A1:全くそんなことはなく、極めて良好なビジネスパートナー関係です。過激な破壊描写や煽りネタは、作者と編集部・公式の強固な信頼関係と計算されたプロレス展開の上で成り立っています。
Q2:竹書房の旧ビルは本当にポプテピピックが原因で壊されたのですか?
A2:物理的な原因はもちろん漫画ではなく、建物の老朽化と耐震基準への対応による計画的な解体・移転です。ただし、解体発表のタイミングで公式がポプテピピックに絡めたユーモラスな広報を行ったため、ネタとして定着しました。
Q3:竹書房の現在の新社屋はどこにありますか?
A3:移転後も同じく千代田区周辺の近代的なオフィスビルに拠点を構えています。新社屋に移転して以降も、作中やネット上では変わらず「破壊ターゲット」としてネタにされ続けています。
『ポプテピピック』から始まった竹書房の破壊ネタは、単なる一過性のギャグにとどまらず、現実のビル解体や公式のユニークな広報戦略と結びつくことで、現代のネットカルチャーを代表する伝説的ミームとなりました。
出版不況が叫ばれる時代において、自虐をポジティブな熱狂へと転換し、読者を巻き込んで楽しませる竹書房のエンタメ精神は今なお健在です。今後も新たな企画や連載の中で、竹書房がどのように「破壊」され、ファンを笑わせてくれるのか注目が集まります。