映画の話題作が公開されるたび、ネット上で頻繁に検索される「東宝シネマズ甲府」。TOHOシネマズ限定の入場者特典や、独自規格である轟音シアター・IMAXなどの特別興行を目当てに、山梨県内の上映劇場を探す映画ファンは後を絶ちません。しかし、劇場の検索窓に名前を打ち込んでも、該当する館名はヒットしないのが現状です。
かつて甲府に存在した東宝系劇場の歴史から、なぜ現在に至るまで山梨県内にTOHOシネマズが存在しないのか。映画業界の構造的背景やささやかれる新規出店計画の真相、さらには県内で映画を満喫するための選択肢まで、徹底取材をもとにその全貌を解き明かします。
【真相究明】東宝シネマズ甲府は実在する?「グランパーク東宝」閉館の歴史
検索ワードとして定着しているTOHOシネマズ甲府ですが、結論から言うと、現在そのような名称の劇場は山梨県内に存在しません。それでも多くの人がこの名前を検索する背景には、過去の記憶と東宝ブランドへの強いニーズが複雑に絡み合っています。
かつて甲府市住吉のショッピングセンター「グランパーク」内に、1997年にオープンした8スクリーンのシネマコンプレックス「グランパーク東宝8」が存在しました。山梨県内初の本格的シネコンとして一世を風靡し、週末には多くの家族連れや映画ファンで賑わいを見せたものです。しかし、郊外型大型商業施設の台頭や競合施設の進出などによる商業施設全体の集客力低下に伴い、グランパーク東宝の閉館理由となった商業環境の激変を乗り越えられず、惜しまれつつも歴史の幕を下ろしました。
この劇場の記憶が地元住民の脳裏に焼き付いていること、そして「県庁所在地の甲府市であれば東宝シネマズがあるはずだ」という来訪者の思い込みが合わさり、「東宝シネマズ甲府」という実在しない劇場名が検索され続ける要因となっています。
山梨県にTOHOシネマズがない決定的な理由|映画興行ビジネスの構造
映画館ファンの間で長年議論の的となっているのが、山梨にTOHOシネマズがない理由です。国内映画興行でトップシェアを走る東宝グループが、なぜ甲府盆地を空白地帯のままにしているのか。そこには極めてシビアな商業的計算が働いています。
第1の要因は、商圏人口の限界です。山梨県の総人口は約80万人弱で推移しており、甲府市を中心とする盆地エリアに居住者が集中しています。複数の大型シネコンが並立して採算を合わせるには最低でも30万人から50万人規模の密密な独立商圏が複数必要とされますが、甲府エリアでそのパイを奪い合うのは興行会社にとって極めてリスクが高い判断となります。
第2の要因は、2011年に開業したイオンシネマ甲府昭和の盤石なドミナント体制です。中央自動車道の甲府昭和インターチェンジ至近に位置し、巨大な駐車場を備えたイオンモール甲府昭和内に8スクリーンを展開。甲府盆地全域のみならず県内広域からの映画需要をほぼ単独で吸収し尽くしており、後発として巨大シネコンを近隣に差し込む余地がありません。
加えて、映画配給の仕組みである「エリアブッキング(同一商圏内での競合館への上映権制限)」も影響します。同一の商業圏内で同じ大作映画を取り合えば、客数が分散して共倒れになりかねません。これらが障壁となり、新規参入のハードルを極限まで押し上げています。
【2026年最新】東宝シネマズ山梨出店計画の噂とシネコン最新事情
地元SNSやネット掲示板では定期的に「リニア新駅周辺にTOHOシネマズができる」「甲府駅前の再開発ビルに映画館が入る」といった東宝シネマズ山梨出店計画の噂が飛び交います。しかし、現時点で公式な事業計画として発表されたものは1件もありません。
取材を進めると、都市開発構想の初期段階で複合エンターテインメント施設の誘致案としてシネコンの名が挙がるケースはあるものの、実際の収益見通しやシネコン各社の出店基準を満たせず、具体的な契約締結には至っていない実態が浮き彫りになります。最近の山梨県シネコン最新ニュースを見渡しても、既存設備のデジタル刷新やシートのアップグレードが中心であり、莫大な初期投資を伴う新設シネコンの進出計画は凍結状態にあります。
ただし、甲府都市圏の交通インフラ再編や新たな大型複合拠点の整備次第では、将来的なエンタメ施設の再評価が行われる余地もゼロではありません。現段階では「出店計画の具体的な進展はない」というのが偽らざる真実です。
【山梨県映画館一覧】甲府エリアで映画を楽しむ2大拠点
現在、山梨県内で映画館を探す場合、選択肢は極めて明確です。最新の大作から名画座的な単館系作品まで、甲府周辺では主に以下の2拠点が文化の灯を守り続けています。
| 劇場名 | 所在地 | スクリーン数 | 特徴・主な上映傾向 |
|---|---|---|---|
| イオンシネマ甲府昭和 | 中巨摩郡昭和町 | 8スクリーン | 山梨唯一の大型シネコン。ハリウッド大作や邦画話題作、アニメを網羅。レイトショー充実。 |
| シアターセントラル甲府 | 甲府市中央 | 単館スタイル | 甲府中心街の老舗。ミニシアター系秀作、単館ドキュメンタリーなどこだわりのプログラムを提供。 |
仕事帰りや深夜に映画を楽しみたい場合、甲府レイトショー映画館としての役割を一手に担っているのがイオンシネマ甲府昭和です。平日常時20時以降のレイトショー枠が充実しており、週末は近隣市町村からも多くの観客が集まります。
一方、中心市街地で独自の存在感を放つシアターセントラル甲府は、大手シネコンでは掛からない作家性の高いインディペンデント作品やアート系フィルムを上映しており、映画ファンにとって欠かせないカルチャーの拠点として愛され続けています。最新の甲府市映画館上映スケジュールを確認する際は、この2館のウェブサイトを使い分けるのが最も効率的です。
山梨から行くTOHOシネマズ最寄り店舗は?南大沢など近郊劇場へのアクセス
「どうしてもTOHOシネマズ限定の舞台挨拶中継が見たい」「TCXの巨大画面やドルビーアトモスの音響を体験したい」という場合、県外の劇場へ遠征することになります。山梨から向かう場合、TOHOシネマズ山梨最寄り店舗として最も現実的な選択肢となるのが東京都八王子市にある劇場です。
筆頭候補となるTOHOシネマズ南大沢アクセスは、車と電車の双方でアクセスしやすい立地にあります。京王相模原線の南大沢駅前に位置し、アウトレットモールに隣接。中央自動車道を利用する場合、八王子インターチェンジや相模原方面からのルートが利用可能です。電車を利用する場合は、JR中央線で八王子駅へ向かい、そこから路線バスや横浜線・京王線を乗り継ぐ形でアクセスできます。
また、JR中央線の特急「あずさ」「かいじ」を活用すれば、立川駅で下車して多摩モノレールでアクセスできるTOHOシネマズ立川立飛や、特急停車駅すぐのTOHOシネマズ府中も十分な日帰り鑑賞圏内です。ドライブを兼ねるなら、御殿場方面を経由して静岡県内のシネコンへ足を延ばすルートも映画ファンの間で重宝されています。
【東宝シネマズ甲府】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:山梨県民がTOHOシネマズの映画マイルやシネマイレージカードを活用する方法はありますか?
A1:県内には利用店舗がないため、南大沢や立川立飛、府中など都内の劇場を訪れた際に利用するのが基本です。また、TOHOシネマズの公式アプリでマイレージを管理し、遠征時にポイント利用や先行予約を活用する映画ファンが多く見られます。
Q2:イオンシネマ甲府昭和とTOHOシネマズで、上映作品に大きな違いはありますか?
A2:全国一斉公開のメジャータイトルやメガヒットアニメ映画は、イオンシネマ甲府昭和でもほぼ網羅されています。ただし、TOHOシネマズ独自配給の企画上映、特定の限定版特典配布、一部のライブビューイングなどはTOHOシネマズ系列でしか実施されない場合があります。
Q3:甲府駅周辺から徒歩で行ける映画館はありますか?
A3:甲府駅南口から徒歩約15分ほどの中心街(中央1丁目)に、ミニシアター系の作品を中心に取り扱う「シアターセントラル甲府」があります。商業シネコンであるイオンシネマ甲府昭和へは、甲府駅からの路線バスまたは車でのアクセスが必要です。
「東宝シネマズ甲府」という幻のキーワードを掘り下げると、かつての映画館文化の栄枯盛衰と、地方都市におけるシネコン興行のシビアな経済合理性が見えてきます。山梨県内には現在TOHOシネマズが存在せず、短期的な新規出店計画の兆しも確認できません。
しかし、日常のエンターテインメントはメガヒット作を幅広くカバーするイオンシネマ甲府昭和が支え、深遠な映像文化はシアターセントラル甲府が守り抜いています。さらに特別な映画体験を求める際は、中央道や特急を活用して南大沢や立川などの近郊TOHOシネマズへ遠征する——このハイブリッドな鑑賞スタイルこそが、山梨で豊かなシネマライフを送るための最もスマートなアプローチです。