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うなぎの日(土用の丑)の真相!平賀源内の仕掛けと2026年日程

安藤 澪 安藤 澪 • 更新: • 公開: • 読了約 9 分
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夏の風物詩として定着している「土用の丑の日」――通称・うなぎの日。店頭から漂う香ばしい蒲焼きの煙と甘辛いタレの香りに誘われ、思わず足を止めてしまう人も多いはずです。しかし、そもそもなぜ「土用の丑」という特定の日に鰻を食べる習慣が生まれたのでしょうか。

通説として知られる江戸時代の奇才・平賀源内によるキャッチコピー説の裏側から、2026年の土用の丑の日カレンダー、さらには夏以外の知られざる丑の日まで、日本の食文化と歴史の真相を余すところなく解き明かします。

【2026年カレンダー】今年の「土用の丑の日」はいつ?一の丑・二の丑と日程詳細

うなぎの日

日本の暦において、季節の変わり目を示す約18日間の期間を「土用(どよう)」と呼びます。土用は立春・立夏・立秋・立冬の直前に年4回巡ってきますが、一般的に「うなぎの日」として親しまれているのは立秋前の「夏の土用」です。

干支(十二支)は年だけでなく日にも割り当てられており、12日周期で「丑の日」が訪れます。土用の期間(約18日間)の中に丑の日が1回だけ入る年と、2回巡ってくる年があり、1回目を「一の丑(いちのうし)」、2回目を「二の丑(にのうし)」と呼びます。

2026年における土用の丑の日一覧は以下の通りです。

・冬の土用の丑の日:1月24日(土)、2月5日(木)
・春の土用の丑の日:4月21日(火)、5月3日(日)
・夏の土用の丑の日:7月27日(月) ※2026年は「一の丑」のみ
・秋の土用の丑の日:10月20日(火)、11月1日(日)

2026年夏の土用期間は7月20日頃から8月6日頃までとなっており、丑の日は7月27日(月)の1日限りです。二の丑がない年は商戦が7月下旬に集中するため、名店や百貨店での予約は例年以上に早めの手配が肝心となります。

なぜ丑の日にうなぎを食べるのか?平賀源内が仕掛けた「日本最古の販促コピー」の真相

土用の丑の日に鰻を食べる最大のきっかけを作った人物として語り継がれているのが、江戸時代中期の蘭学者であり発明家、希代のマルチクリエイターでもあった平賀源内(ひらが げんない)です。

当時、鰻の旬は脂が乗る晩秋から冬とされており、脂っこい蒲焼きは「夏場に売れない閑散期の食べ物」として鰻屋を悩ませていました。困り果てた近所の鰻屋店主から相談を受けた源内は、店先に次のような張り紙を出すよう提案します。

『本日、土用丑の日』

この極めてシンプルな言葉が、江戸っ子の間で爆発的な話題を呼びました。当時の民間信仰では「土用の丑の日に『う』のつく食べ物を食べると夏負けしない」という言い伝えが浸透しており、源内はその大衆心理を見事に突いたのです。

貼り紙を出した鰻屋は大繁盛を極め、他の鰻屋もこぞって模倣した結果、「夏の土用の丑の日=鰻を食べる日」という図式が瞬く間に全国へ定着しました。これは現代でいう「日本最古のインフルエンサーマーケティング」であり、見事なプロモーションの成功事例と言えます。

うなぎだけじゃない?「うのつく食べ物」に込められた無病息災の風習

平賀源内の仕掛けが功を奏した背景には、室町時代や平安時代から続く陰陽五行思想に基づいた食の知恵がありました。

丑の方角(北北東)や丑の季節は五行で「水」や「黒」に通じるとされ、夏の盛りに弱りがちな身体を補うため、名前に「う」がつく食べ物や黒い食材を食べる厄除けの習わしがあったのです。

代表的な「うのつく食材」には以下のようなものがあります。

・梅干し(うめぼし):クエン酸が豊富で食欲増進と疲労回復をサポート。
・うどん:消化が良く、食欲減退時でもエネルギーを補給しやすい。
・瓜(うり/きゅうり・スイカ・冬瓜など):利尿作用のあるカリウムと水分を豊富に含み、体温を下げる。
・牛(うし/牛肉):良質なタンパク質と鉄分を補給。

また、「土用しじみ」や「土用卵」といった滋養強壮食材も重宝されてきました。鰻が高騰している最近では、こうした伝統的な「うのつく食べ物」を食卓に取り入れて季節の節目を祝うスタイルも理にかなっています。

江戸前の食文化を築いた「鰻の蒲焼き」の歴史とタレの進化

鰻と日本人の関わりは古く、『万葉集』のなかで大伴家持が「夏痩せに良し」と詠むほど長い歴史を持ちます。しかし、現在のような甘辛い醤油タレで香ばしく焼き上げる「蒲焼き」のスタイルが完成したのは、江戸時代後期(18世紀末〜19世紀初頭)のことです。

それ以前の鰻は、丸ごと串に刺して塩や味噌をつけて焼くのが主流でした。その形が植物の「蒲(がま)の穂」に似ていたことから「蒲焼き(がまやき→かばやき)」と呼ばれるようになったと伝えられています。

転換点となったのは、関東で濃口醤油やみりん、砂糖を使った甘辛いタレが開発されたことでした。加えて、武士の街・江戸では「切腹」を避けるために背開きにして蒸してから焼く関東風が発展し、商人の街・上方(関西)では「腹を割って話す」に通じる腹開きで直火焼きにする関西風(地焼き)が定着するなど、地域ごとの食文化として洗練されていきました。

科学的に見るうなぎの栄養効果|夏バテ予防と疲労回復に効く理由

マーケティング発祥の習慣とはいえ、鰻が持つ栄養価の高さは現代の生化学や栄養学の観点からも極めて合理的です。

鰻には、現代人の夏場の体調管理に欠かせない栄養素が凝縮されています。

・ビタミンA:粘膜や皮膚を健やかに保ち、免疫力の低下を防ぐ(蒲焼き1串で成人男性の数日分をカバー)。
・ビタミンB群(B1・B2):糖質や脂質をエネルギーに変換し、疲労物質の蓄積を抑える。
・ビタミンE:抗酸化作用により細胞の老化や紫外線ダメージから身体を守る。
・DHA・EPA:血流を促し、生活習慣の改善をサポートするオメガ3系脂肪酸。
・亜鉛・鉄分:発汗で失われやすい微量ミネラルを補給。

エアコンによる冷えや冷たい飲み物の摂りすぎで胃腸が弱り、代謝が落ちやすい夏場において、少量で効率よく良質なタンパク質と脂質、ビタミンを摂取できる鰻は、まさに理にかなったスタミナフードです。

実は夏以外が旬?四季それぞれの土用とうなぎの本当の食べ頃

「土用の丑=夏」というイメージが強烈ですが、天然鰻本来の本当の旬は10月〜12月の晩秋から初冬です。冬眠に向けて川魚や甲殻類をたっぷり食べ、体内に上質な脂を蓄えた冬の鰻は、身がふっくらと柔らかく深い旨味を持ちます。

一方、現代の流通を支える養殖鰻は高度な温度・水質管理によって育てられており、夏でも冬でも年間を通じて安定した最高品質の味わいが楽しめます。

立冬前の「秋の土用」や、寒さが厳しい1月〜2月の「冬の土用」に脂の乗った鰻を味わうのは、食通の間では知られた贅沢な楽しみ方です。年に4回巡る土用の季節ごとに、体調を整える契機として鰻を味わってみるのも一興です。

【うなぎの日】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:2026年夏の土用の丑の日はなぜ7月27日の1回だけなのですか?
A1:夏の土用期間(約18日間)の中で、十二支の「丑の日」が巡ってくるタイミングが7月27日(月)の1回のみだからです。土用期間の初日に近い時期に丑の日が重なると2回目(二の丑)が発生しますが、2026年は土用の中盤に1回目が訪れるため「一の丑」のみとなります。

Q2:鰻が苦手な場合や手に入らない場合、丑の日に何を食べるのが正解ですか?
A2:古来の風習に則り、「うどん」「梅干し」「牛肉」「瓜(きゅうり・スイカ)」など「う」のつく食材を選ぶのがおすすめです。また、夏バテ予防の意味合いでは「土用しじみ」の味噌汁なども定番の代替メニューです。

Q3:平賀源内の話は単なる都市伝説ではないのですか?
A3:平賀源内の逸話は当時の随筆や口伝として広く伝わっています。他にも狂歌師の大田南畝(蜀山人)が関わったとする説など諸説ありますが、当時の江戸で鰻屋の販促コピーとして「土用の丑の日」が使われ、大流行した史実自体は数々の歴史的資料で裏付けられています。

土用の丑の日に鰻を食べる文化は、「平賀源内による卓越した発想法」と「古来の厄除けの知恵」、そして「確かな栄養価」が見事に融合して生まれた日本独自の食の伝統です。

2026年夏の土用の丑の日は7月27日(月)。厳しい暑さが続く季節の変わり目に、先人たちが遺した食文化のストーリーに思いを馳せながら、香ばしい鰻料理で心と身体を整えてみてはいかがでしょうか。

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コンテンツディレクター 安藤 澪
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