瀬戸内海に浮かび、無数の野生アナウサギと触れ合える癒やしの観光地として世界的な知名度を誇る広島県竹原市の「大久野島」。国内外から観光客が押し寄せる一方で、ここ数年はSNSを中心に「ウサギが激減した」「昔のような姿が見られない」といった懸念の声が囁かれてきました。
かつて900羽以上まで膨れ上がった島のウサギたちは、現在どのような状況にあるのでしょうか。2026年現在の生息実態をはじめ、島へ向かうフェリーのアクセス事情や現地で厳守すべきルール、そして島が抱える重厚な歴史的背景まで、現地取材を踏まえた最新情報を余すところなくレポートします。
【真相検証】「ウサギ激減」の噂は本当か?現在の大久野島の生息状況と理由
インターネット上で定期的に話題となる「大久野島のウサギ激減説」。結論から言えば、ピーク時と比較すると個体数は半減したものの、現在は環境に適した健全な頭数で推移しています。
大久野島のウサギは、2010年代半ばのブーム期に観光客が持ち込む過剰なエサによって爆発的に繁殖し、一時は900羽を超えていました。しかし、過密状態はウサギ同士の縄張り争いや感染症の蔓延、栄養過多による体調不良といった深刻な弊害を生んでいました。
その後、コロナ禍における観光客の急減に伴い給餌量が激減。自然淘汰と繁殖ペースの鈍化が重なり、生息数は一時的に300羽台まで落ち込みました。これが「ウサギがいなくなった」と騒がれた直接の背景です。
2026年現在の島内には約400羽から500羽前後が暮らしており、島本来のキャパシティに見合った数に落ち着いています。かつてのように桟橋周辺で足の踏み場もないほど群がる光景は見られなくなったものの、毛並みや体格が整ったウサギたちが、島のあちこちで本来ののんびりとした姿を見せています。
【アクセス完全版】忠海港フェリー時刻表と島へのスムーズな行き方
大久野島へ渡る唯一の交通手段は船です。本州側の玄関口となるのは、広島県竹原市にある忠海(ただのうみ)港です。
公共交通機関を利用する場合、JR呉線「忠海駅」から港までは徒歩約7分。新幹線停車駅のJR三原駅や広島駅からの乗り継ぎもスムーズです。車でアクセスする場合は、山陽自動車道の本郷ICや河内ICを利用し、忠海港の無料公共駐車場を利用するルートが一般的となっています。
忠海港から大久野島桟橋までは、大三島フェリーと休暇村の客船が運航しており、所要時間は約15分。日中は1時間に1〜2便程度が運航されていますが、潮位や天候によるダイヤ変更もあるため、事前に最新のフェリー時刻表をチェックしておくことが欠かせません。なお、大久野島内は一般車両の進入が制限されているため、車は忠海港に停めて渡航するのが基本です。
【必読ルール】餌やりマナーと「抱っこ禁止」など島内トラブルを防ぐ注意点
愛らしいウサギたちと安全に触れ合うためには、環境省および島が定めるルールの徹底が大切です。特に初めて訪れる方が犯しやすいのが「抱っこ」と「不適切なエサやり」です。
まず大久野島では、ウサギの抱っこ・追いかけ行為は完全に禁止されています。野生のアナウサギの骨は非常に繊細で、暴れて落下しただけで骨折し、命を落とすケースが後を絶ちません。また、鋭い爪や歯で人間側が怪我を負うリスクもあります。
エサやりに関しても明確な基準が存在します。
- 島内でエサは販売していない:忠海港の売店や近隣店舗で事前にラビットフード(ペレット)を購入して持参する。
- 与えてはいけない食べ物:ネギ類、タマネギ、ジャガイモ、パン、お菓子などは中毒や消化不良を引き起こすため厳禁。キャベツなどの生野菜も腐敗の原因になりやすいため、乾燥ペレットが推奨される。
- エサの放置禁止:地面に撒いたまま放置すると、カラスやイノシシなど外敵を引き寄せる原因になるため、食べ残しは必ず回収する。
【歴史の光と影】「地図から消された毒ガス島」の記憶と大久野島毒ガス資料館
ウサギの楽園として知られる大久野島ですが、近代日本史においては全く異なる顔を持っていました。戦時中、旧日本軍の化学兵器(毒ガス)を製造していた軍事拠点であり、その機密性の高さから当時の地図から島そのものが抹消されていた歴史があります。
島内の中央部にある大久野島毒ガス資料館では、当時の過酷な製造現場の実態や防護具、毒ガスの被害に関する貴重な資料が展示されており、平和の尊さを今に伝えています。
加えて、島内を散策すると「発電場跡」や「長浦毒ガス貯蔵庫跡」、巨大な砲台跡など、朽ちかけたコンクリートの遺構群がそのまま残されています。緑豊かな自然と遺構、そして足元を駆けるウサギたちが織りなす独特の景観は、大久野島ならではの深い学びの場となっています。
【宿泊・モデルコース】休暇村大久野島の評判と竹原市周辺の観光プラン
大久野島を存分に満喫するなら、日帰りだけでなく島内唯一の宿泊施設である「休暇村大久野島」の利用がおすすめです。
ウサギは夜行性に近い薄明薄暮性の動物であるため、本当に活発に動き回る姿が見られるのは「早朝」と「夕暮れ時」。宿泊客だけの特権として、観光客が引き揚げた静寂な島内でウサギたちと触れ合える点が、宿泊予約サイトでも高い評価を集めています。瀬戸内の新鮮な魚介を使ったビュッフェや天然温泉も人気です。
日帰りで巡る場合の所要時間は約3〜4時間が目安。島内は外周約4kmほどで、徒歩やレンタルサイクルで気軽に1周できます。
【広島・竹原エリアの1日観光モデルコース】
- 午前:忠海港から大久野島へ渡航。ウサギとの触れ合い&毒ガス資料館と遺構の見学
- 昼:休暇村のレストランでご当地グルメ(竹原キャンベルのスイーツや海鮮)を堪能
- 午後:フェリーで忠海港へ戻り、車や電車で竹原市中心部へ移動
- 夕方:「安芸の小京都」と称される竹原町並み保存地区を散策し、歴史ある酒蔵巡りやお土産選びを楽しむ
【うさぎの島(大久野島)】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ウサギのエサは島の中で買えますか?
A1:大久野島の中ではエサの販売は一切行われていません。船に乗る前に、忠海港の切符売り場・売店や周辺のスーパーなどでラビットフード(ウサギ用ペレット)をあらかじめ購入して持参してください。
Q2:雨の日でもウサギに出会うことはできますか?
A2:雨天時はウサギたちが巣穴や木陰、建物の軒下に避難するため、広場で見かける数は少なくなります。ただし、休暇村本館の周辺や屋根のある東屋付近などでは雨宿りをしているウサギに出会えるケースが多いです。
Q3:島内を回るのに最適な移動手段は何ですか?
A3:徒歩でも十分に一周可能(約1時間半)ですが、効率よく遺構や見どころを巡りたい場合は休暇村本館で貸し出されているレンタサイクル(普通自転車・電動アシスト自転車)の利用が便利です。また、桟橋と休暇村本館の間は無料送迎バスも運行しています。
ブームによる過剰な過密状態から、自然で持続可能なバランスを取り戻した大久野島。ウサギの激減という噂の背景には、生息環境の健全化という前向きな変化が存在していました。
訪れる観光客一人ひとりが「抱っこをしない」「適切なエサを持ち帰り管理する」といった基本ルールを守ることで、ウサギたちとの穏やかな共生関係が保たれます。風光明媚な瀬戸内の景色と歴史の重みを感じながら、マナーを守って心地よい島のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。