『少林寺』で鮮烈なデビューを飾り、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズやハリウッド大作『リーサル・ウェポン4』『エクスペンダブルズ』などで世界中を熱狂させてきた世界的アクションスター、ジェット・リー(李連杰 / リー・リンチェイ)。キレのある武術アクションで一時代を築いた彼ですが、近年はメディア露出の減少とともに「激やせして別人のようになった」「車椅子生活を余儀なくされている」といった不穏な噂が囁かれてきました。
かつてスクリーンで見せた超人的な動きからは想像もつかない姿がSNSで拡散され、一時は悪質な死亡説まで流れる事態に発展。ファンに大きな衝撃を与えた体調不安の背景には、長年抱えてきた持病や過去の過酷な撮影による後遺症がありました。本稿では、彼が公表した病気の詳細から噂の真相、そして気になる現在の健康状態と今後の動向まで、確かな情報をもとに掘り下げます。
【闘病の真相】ジェット・リーを苦しめた「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」の経緯

ジェット・リーが自身の体調異変を公に明かしたのは2013年のことでした。彼が患っている病名は甲状腺機能亢進症(一般的にバセドウ病などが知られる疾患)です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで代謝が異常に高まり、安静時でも心拍数が1分間に100回を超える動悸、極度の疲労感、急激な体重減少などの症状を引き起こします。
医師からは心拍数を過度に上げる激しい運動を厳禁とされ、アクション俳優としての生命線である肉体トレーニングを大幅に制限されました。加えて、ホルモンバランスを抑える投薬治療の副作用により、顔のむくみや体重の増減が激しくなり、メディアに登場するたびにビジュアルが変化。これがファンやメディアの動揺を招く大きな要因となりました。
「激やせ」「白髪の老人姿」写真の裏側|車椅子・死亡説デマの正体
2018年頃、チベットの寺院を訪れたジェット・リーを撮影した写真が世界中に拡散され、波紋を広げました。そこに写っていたのは、頭を丸刈りにして白髪が目立ち、背中を丸めて歩く痛々しい姿でした。ネット上では「まるで80歳の老人」「末期がんではないか」「車椅子なしでは移動できない」といった憶測が飛び交い、果ては海外メディア発の死亡説デマまで流れる騒動となったのです。
しかし、この写真は高地特有の強烈な逆光や不鮮明なアングル、そして当時の体調不良が重なった瞬間的な切り抜きに過ぎませんでした。後日、マネージャーや本人が笑顔で元気な姿を見せる動画を公開し、車椅子生活や重篤説をキッパリと否定。「私はただの50代の人間であり、スーパーヒーローではない。年を取れば白髪も生えるし、病気にもなる」とユーモアを交えて語り、過熱する報道を沈静化させました。
幾度もの骨折と脊椎損傷|過酷なアクション撮影が残した肉体の代償
甲状腺疾患だけでなく、長年のアクション俳優生活で蓄積された満身創痍の怪我も彼の肉体を蝕んでいました。若き日の武術大会時代から数々の骨折を経験し、映画の撮影現場でもスタントなしの過激なアクションをこなしてきた代償は極めて重いものでした。
特に脊椎の重い損傷や足首の複雑骨折は深刻で、一時は医師から「このままアクションを続ければ、将来は車椅子生活になる可能性がある」と強い警告を受けていました。晩年に見られた歩行の不自然さや姿勢の変化は、内科的な病気だけでなく、こうした過去の重傷による慢性的な神経痛や関節痛が影響していたのです。
表舞台からの後退と引退説|慈善活動とチベット仏教への傾倒
病気の発覚以降、ジェット・リーは映画出演を大幅にセーブしました。2020年公開のディズニー実写映画『ムーラン』で皇帝役を演じたものの、全盛期のような派手な立ち回りは見せていません。この劇的な露出減が「事実上の引退」と噂される理由となりました。
彼が選んだのは、ハリウッドの第一線から距離を置き、自身の立ち上げた慈善団体「ワン・ファウンデーション(壱基金)」を通じた災害支援や社会貢献活動へのシフトでした。2004年のスマトラ沖地震で家族とともに九死に一生を得た経験をきっかけに、彼はチベット仏教に深く帰依。名声や富への執着を手放し、瞑想や精神的な修行を通じて病と向き合う生活を選択しました。
【現在】ジェット・リーの最新健康状態と映画界復帰への期待
気になる現在の健康状態ですが、薬物治療と規則正しい生活、精神的な平穏を保つことで症状は安定しています。公の場に姿を見せる際の表情は非常に穏やかで、一時期の過度なやつれやむくみも改善。娘たちとともにSNSに登場する姿からは、家族との時間を慈しむ充実した日常がうかがえます。
本格的なカンフーアクションへの復帰は肉体的な負担を考慮すると現実的ではありませんが、映画界との繋がりが完全に切れたわけではありません。武術文化の継承や若手クリエイターの支援、ドキュメンタリーへの出演など、培ってきた経験を後進に伝えるメンターとしての役割を精力的に果たしています。
【ジェット・リーの病気】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ジェット・リーが患っている病気は何ですか?完治したのですか?
A1:2010年に診断された「甲状腺機能亢進症」です。完治というよりは、適切な服薬と無理のない生活習慣によってホルモン数値を安定させ、病気と上手に付き合いながらコントロールを続けています。
Q2:ネットで流れた「車椅子生活」や「死亡説」は本当ですか?
A2:すべて誇張や事実無根のデマです。車椅子の噂は過去の脊椎や足の古傷に対する医師の警告が誤認されたものであり、老人に見えた写真は悪条件下のスナップ写真が一人歩きした結果です。現在も自力で健やかに生活しています。
Q3:今後、映画でアクションを披露する可能性はありますか?
A3:心拍数を過度に上げる激しいアクションシーンへの出演は医師から止められているため、全盛期のような立ち回りは極めて困難です。ただし、演技派俳優としての出演や武術指導、プロデューサーとしての映像作品への関与には前向きな姿勢を保っています。
銀幕の中で無敵の強さを誇ったジェット・リーも、生身の人間として病や肉体の衰えという試練に直面しました。しかし、彼は病を悲観するのではなく、仏教の教えと慈善活動を通じて受け入れ、精神的な成長へと昇華させています。
過激なアクションスターから、人生の深みを体現する文化人・フィランソロピストへ。スクリーンの中のヒーロー像を超え、病と共生しながら穏やかに前を向く彼の生き方は、世界中のファンに今なお勇気を与え続けています。