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イナイレ『アレスの天秤』ゲームはなぜ消えた?開発難航の真相と現在

安藤 澪 安藤 澪 • 更新: • 公開: • 読了約 8 分
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2018年のTVアニメ放映と連動し、社会現象を巻き起こした『イナズマイレブン』シリーズの復活作として華々しく発表されたゲーム『イナズマイレブン アレスの天秤』。当初はNintendo Switch、PlayStation 4、スマートフォン(iOS/Android)向けのマルチプラットフォーム展開としてファンの期待を一身に背負っていました。しかし、度重なる延期告知の末にそのタイトルは姿を消し、長らく「あのゲームはどうなったのか」と疑問を抱いていたファンも少なくありません。

プロジェクトの挫折から異例のタイトル変更、そしてシリーズ集大成となる最新作『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』へと至る道程には、ゲーム開発の現場における壮絶なドラマと苦断の決断がありました。本稿では、当時の発表データや日野晃博社長の肉声をもとに、開発難航の真相から現在の到達点までを余すところなく紐解きます。

【なぜ出なかったのか】『アレスの天秤』ゲームが直面した開発難航の真相と経緯

アレスの天秤ゲーム

プロジェクト発表当初、『アレスの天秤』は2018年夏の発売を予定していました。アニメ版の盛り上がりに合わせてゲームを同時展開するメディアミックスは、レベルファイブが得意とする王道のビジネスモデルです。しかし、2018年夏から「2018年秋」「2018年冬」「2019年発売予定」へと延期が繰り返され、アニメ本編が最終回を迎えてもゲームが手元に届かない異常事態に陥りました。

発売中止の噂が飛び交う中、開発が暗礁に乗り上げていた最大の要因は「開発規模の過小評価」と「外部委託先との連携不全」でした。据え置きゲーム機向けに刷新された美麗な3Dグラフィックと、サッカーアクションの高度なAI処理を両立させるハードルは予想以上に高く、従来の携帯機向け開発とはまったく異なる課題が現場を襲っていました。

日野社長が明かした異例の告白|外注トラブルから内製切り替えの舞台裏

2018年12月、レベルファイブ代表取締役社長の日野晃博氏は公式生放送番組を通じて、異例ともいえる開発実態の公表に踏み切りました。ファンに対して語られたのは、「社内リソース不足を補うために外部の開発会社へ委託していたものの、相手先が受託規模に見合う開発体制を構築できていなかった」という衝撃の事実でした。

本来進んでいるはずの開発工程がほとんど進行しておらず、納品された成果物も要求水準を大きく下回っていたことから、レベルファイブは委託先との契約を解除。社内スタッフ主導による完全内製体制への移行を決断しました。事実上の「ゼロからの作り直し」となったことで、アニメ放送期間中にゲームを届けるという青写真は完全に崩壊することとなったのです。

『英雄たちのグレートロード』へのタイトル変更と幾重の仕様見直し

アニメ『アレスの天秤』および続編『オリオンの刻印』の放送が終了した2019年9月、タイトルを『イナズマイレブン 英雄たちのグレートロード』へ変更することが正式発表されました。アニメのタイアップ作品という枠組みを外し、過去作のキャラクターも網羅したスタンドアローン型の大型RPGとして再スタートを切る方針が示された瞬間です。

しかし、方針転換後も試行錯誤は続きました。オンライン対戦のバランス調整や、タッチ操作とコントローラー操作の融合といったシステム設計の見直しが幾度となく行われ、エンジン自体の刷新も実施。日野社長自らが「ファンが本当に遊びたいイナイレとは何か」を徹底的に問い直すため、発売予定はさらに後ろ倒しとなっていきました。

対応機種の変遷とグラフィック・システムの大幅な進化

『アレスの天秤』時代に発表されていた対応プラットフォームはNintendo Switch、PS4、iOS、Androidでしたが、開発長期化に伴いハードウェア環境も大きく変化しました。最終的にタイトルは『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』へと再定義され、対応機種にはPlayStation 5やPC(Steam)が加わる形へと拡張されています。

単なる延期にとどまらず、試合演出のカメラワークや選手モデルの質感、必殺技発動時のエフェクトは初期構想とは比較にならないレベルへと昇華。かつて携帯機向けに見下ろし視点で行われていたタクティカルな操作感と、据え置き機ならではのダイナミックなアクション性の双方が高度に融合したシステムへと進化を遂げました。

結実した『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』の圧倒的クオリティ

『アレスの天秤』の発売断念という手痛い挫折から始まった再構築の旅路は、シリーズ過去最大ボリュームの超大作へと結実しました。最新作『英雄たちのヴィクトリーロード』では、長崎の新たな舞台で描かれる完全新作ストーリーモードに加え、過去作の枠を超えて歴代シリーズから4,500人以上の選手を仲間にできる「クロニクルモード」が実装されています。

ベータテスト体験版が配信された際には、かつて発売延期に落胆した古参ファンからも「これだけのクオリティに仕上がるなら待った甲斐があった」「サッカーRPGとしての完成度が桁違い」と絶賛の声が寄せられました。『アレスの天秤』という単一作品のゲーム化から退いた判断は、結果としてシリーズ全体の寿命を大きく延ばし、世界基準の競技対戦タイトルとして再生させる契機となったのです。

【アレスの天秤 ゲーム】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:『イナズマイレブン アレスの天秤』のゲームは完全に発売中止になったのですか?
A1:『アレスの天秤』という単体タイトルとしてのパッケージ発売は中止となりました。ただし、開発自体が完全に立ち消えたわけではなく、内容を全面的に刷新・拡大した『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』へと継承・統合されています。

Q2:なぜ開発会社を変更してまでゼロから作り直すことになったのですか?
A2:初期に開発を委託していた外部企業の開発体制が機能しておらず、計画通りのゲーム制作が進んでいなかったためです。レベルファイブが社内内製体制へ切り替えた際、既存のプログラムを破棄して根本から再構築する必要が生じました。

Q3:『アレスの天秤』や『オリオンの刻印』のキャラクターは最新作で使えますか?
A3:はい、使用可能です。『英雄たちのヴィクトリーロード』の「クロニクルモード」には、初代から『アレスの天秤』『オリオンの刻印』を含む歴代シリーズのほぼ全キャラクター(4,500人以上)が収録されています。

2016年の構想発表から数えれば、実に約8年もの月日を経てファンのもとへと届けられることとなった『イナズマイレブン』の完全新作ゲーム。発売延期の連発やタイトルの度重なる改称は、一見すると混迷の歴史に見える可能性があります。しかしその実態は、中途半端な完成度でのリリースを拒み、妥協なきクオリティを追求し続けた制作陣の執念の証でもありました。

手痛い開発トラブルを乗り越え、最新技術と熱い情熱によって再誕した『イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード』。かつて『アレスの天秤』の発売を待ち望んでいたすべてのプレイヤーにとって、その長い待機期間は決して無駄ではなかったと確信できる仕上がりとなっています。

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コンテンツディレクター 安藤 澪
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