「快適工房」や「サブリナ」といった肌着・ストッキングの代名詞として、世代を超えて親しまれてきたグンゼ株式会社。家庭にある下着のタグを見れば、誰もが一度はその名を目にしたことがあるはずです。しかし、近年の同社が単なるアパレルメーカーの枠を大きく飛び越え、高付加価値な素材メーカー・医療機器メーカーへと変貌を遂げている事実をご存知でしょうか。
創業から130年近い歴史を持つ老舗が、なぜ激変する市場環境の中で埋もれることなく、確固たる存在感を示し続けているのか。現在の収益構造の柱となっている先端事業の全貌から、投資家が注目する業績推移や配当利回り、求職者が気になる年収・社風のリアルまで、徹底取材をもとにその真相を紐解きます。
【事業変革の現在地】なぜ肌着のグンゼが「医療・高機能フィルム」で急成長しているのか?

グンゼの売上構成比を眺めると、従来のイメージを覆す事実に突き当たります。現在、同社の利益を力強く牽引しているのはアパレル事業だけではありません。祖業である生糸・繊維加工で培った高分子技術を応用した「機能ソリューション事業(高機能フィルムなど)」と「メディカル事業(医療機器)」が、高収益の柱として確固たる地位を築いています。
医療事業における最大の強みは、体内で自然に吸収される生体吸収性材料を用いた先端医療材料です。日本初となるコラーゲン使用の人工真皮「ペルナック」や、外科手術用の生体吸収性縫合補強材、骨接合材など、再生医療や低侵襲治療の現場で不可欠なデバイスを次々と開発。世界配給網の強化とともに、国内外の医療現場から絶大な信頼を獲得しています。
一方の機能ソリューション事業では、ペットボトルや食品包装に使われるシュリンクフィルム、さらには車載ディスプレイや光学機器向けの機能性フィルムを展開。高いバリア性能と薄肉化技術で環境負荷低減を実現し、グローバルニッチトップの地位を盤石にしています。「繊維で培ったコア技術を異分野へ展開する」というグンゼの強みと将来性は、他社が容易に追随できない参入障壁を生み出しています。
【歴史と原点】京都・綾部市で製糸業から創業した130年のDNAと会社概要
同社の歩みは、明治29年(1896年)に京都府何鹿郡(現在の京都府綾部市)で創業者・波多野鶴吉が立ち上げた「郡是製糸株式会社」に遡ります。地域の蚕糸業を振興し、品質向上を通じて国と地域社会に貢献するという「郡是(郡の基本方針)」を社名に掲げたことが、現在のグンゼ株式会社のルーツです。
現在、大阪市北区梅田(堂島)に本社を構え、東証プライム市場に上場。従業員数はグループ全体で5,000名を超える規模に成長しましたが、創業以来受け継がれてきた「誠実・共存共栄」の精神は今なお息づいています。綾部市には現在も同社の歴史を伝えるグンゼ記念館や研究施設が広がり、創業の原点を大切にしながら先端技術開発を続けています。
【定番の進化】キレイラボの口コミ高評価とサブリナ|おすすめインナーに見るモノづくり
ハイテク領域で躍進する一方で、祖業であるアパレル事業も徹底したイノベーションを継続しています。その象徴が、縫い目を完全になくした完全無縫製インナーブランド「KIREILABO(キレイラボ)」です。
肌トラブルや摩擦ストレスに悩む女性たちから寄せられた「一度着たら他のインナーに戻れない」「タグも縫い目もないためチクチクしない」という絶賛の口コミがSNSやレビューサイトで拡散。敏感肌向けインナーのデファクトスタンダードとしてロングセラーを記録しています。
また、1983年の誕生以来ストッキング市場を牽引してきた「サブリナ(SABRINA)」も、破れにくさと美しい透明感を両立させ、働く女性のマストアイテムとして改良が重ねられています。メンズ向けのおすすめインナー「YG」や「ボディワイルド(BODY WILD)」を含め、長年の人間工学研究に基づいた着心地へのこだわりが、世代を超えたブランドロイヤルティを強固に支えています。
【最新業績と財務】堅調な業績推移と株価動向・配当金利回りのリアル
事業ポートフォリオの多角化は、財務基盤の安定性と収益力向上に直結しています。近年のグンゼ株式会社の業績推移を見ると、アパレル事業の採算性改善と、機能ソリューションおよび医療事業の伸長が噛み合い、連結売上高は1,300億〜1,400億円台、営業利益率は着実に改善傾向を示しています。
資本効率を意識した経営姿勢は株式市場でも高く評価されています。株主還元策として積極的な自社株買いや累進的な増配方針を打ち出しており、配当利回りは3%台半ばから後半の高水準で推移。安定した配当金とPBR(株価純資産倍率)1倍超えを目指す資本政策が、中長期保有を志向する個人投資家や機関投資家からの買い安心感につながっています。
【年収・採用・社風】現場の生の声から見る働きやすさとキャリア評判
就職・転職市場におけるグンゼの評価はどうでしょうか。有価証券報告書ベースの平均年間給与は約600万〜650万円前後。関西圏に本拠を置くメーカーとして手堅い水準であり、充実した住宅手当やカフェテリアプラン、企業年金制度などの福利厚生を考慮すると、実質的な待遇満足度は数字以上に高いといえます。
社員の口コミや採用評判を分析すると、以下のような特徴が浮かび上がります。
- 企業風土:法令遵守意識が極めて高く、真面目で穏やかな社員が多い「人を大切にする社風」。
- ワークライフバランス:有給休暇の取得率が高く、育児休業からの復職率も高水準。過度な残業は抑制されている。
- キャリア形成:医療・化学・繊維と複数ドメインを持つため、ジョブローテーションを通じて幅広い経験を積む機会がある。
アパレル志望の文系学生だけでなく、高分子化学やバイオマテリアルを専攻する理系学生からの人気が年々高まっており、中途採用でも異業種からの優秀な技術者獲得が進んでいます。
【中期経営計画と最新動向】2026年以降の成長戦略とグンゼの将来性
同社が推し進める中期経営計画では、「持続可能な社会への貢献と高収益体質への転換」が最重要テーマとして掲げられています。特に環境対応型モノづくりとグローバル展開の加速が注力ポイントです。
フィルム分野ではリサイクル原料比率を高めたサーキュラーエコノミー対応製品の量産化を推進し、医療分野では北米・欧州・アジアでの薬事承認取得と販売網の拡大を急ピッチで進めています。伝統の繊維事業で安定したキャッシュを生み出し、その資金を成長性の高い医療・フィルム領域へと集中投資するエコシステムが機能しており、老舗企業の枠に囚われない成長軌道を描いています。
【グンゼ株式会社】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:グンゼの医療事業では具体的にどのような製品を扱っていますか?
A1:人工真皮「ペルナック」をはじめ、胸部外科や消化器外科で用いられる生体吸収性縫合補強材「ネオベール」、骨折治療時に骨を固定し体内で自然吸収される「グランドフィックス」など、高分子生体材料を応用した高度医療機器を幅広く製造・販売しています。
Q2:株主還元や配当金の傾向はどうなっていますか?
A2:安定した配当の継続と業績に応じた利益還元を基本方針としており、配当性向の向上や自己株式取得を積極的に実施しています。配当利回りも例年3%台後半を意識した水準で推移しており、インカムゲイン狙いの投資家からも注目されています。
Q3:キレイラボ(KIREILABO)が女性層から圧倒的に支持される理由は?
A3:接着技術を駆使した「完全無縫製」により、縫い目や洗濯タグが肌に当たるストレスを徹底排除している点です。肌への摩擦や刺激を最小限に抑え、下着のラインがアウターに響かない設計が、敏感肌に悩む方や日常の快適さを求める幅広い年代の支持を集めています。
京都・綾部の小さな製糸工場から始まったグンゼは、時代ごとの社会課題と向き合いながら、肌着メーカーから先端マテリアル・医療機器企業へと鮮烈な進化を遂げました。130年の歴史で培った技術へのこだわりを失わず、それでいて過去の成功体験に固執しない柔軟な事業再編こそが、同社の真の強さと言えます。
消費者の日常を支えるインナーウェアから、人々の命を救う再生医療材料まで――。着実な業績拡大と積極的な株主還元、働きやすい企業環境を兼ね備えたグンゼ株式会社の今後の動向から目が離せません。