大相撲の歴史において、端正な顔立ちと豪快な上手投げで「角界のプリンス」として絶大な人気を誇った元関脇・琴ノ若晴將。現役引退後は名門・佐渡ヶ嶽部屋を継承し、親方として角界を牽引し続けています。
2024年に愛息である二代目琴ノ若が大関へと昇進し、祖父の偉大な四股名「琴櫻」を襲名した出来事は、相撲界に新たな歴史を刻みました。師匠として、そして父親として相撲界の頂点を目指し続ける初代琴ノ若晴將の歩みと、名門部屋をめぐる熱き人間ドラマに迫ります。
【2026年現在】佐渡ヶ嶽親方としての活動と部屋の最新動向
現役引退から年月が経った現在、元関脇・琴ノ若晴將は第13代佐渡ヶ嶽親方として、千葉県松戸市に本拠を置く名門・佐渡ヶ嶽部屋の舵取りを一手に担っています。本場所の土俵下では審判委員などの重責を務めつつ、日々の稽古場では竹刀を手に弟子たちへ熱心な指導を続けています。
佐渡ヶ嶽部屋の最新ニュースとして特筆すべきは、看板力士である大関・琴櫻の円熟味を増した土俵ぶりと、それに続く関取衆の台頭です。親方は伝統的な猛稽古を土台に据えながらも、個々の体格や長所に合わせた近代的なフィジカルトレーニングや栄養管理を導入。名門の暖簾(のれん)を守るだけでなく、常に進化を続ける指導スタイルは角界内外から高く評価されています。
「角界の貴公子」と呼ばれた若い頃と現役時代の輝かしい成績
山形県尾花沢市出身の初代琴ノ若は、名門・佐渡ヶ嶽部屋に入門後、恵まれた体躯と甘いマスクで入門当初から大きな注目を集めました。若い頃は怪我に泣かされる時期もありましたが、右四つからの力強い寄りや豪快な上手投げ、そして土俵際での驚異的な粘りを武器に番付を駆け上がりました。
幕内在位は通算90場所、幕内通算勝利数は608勝を記録。最高位は東関脇まで登り詰め、三賞受賞歴は敢闘賞5回、殊勲賞2回、技能賞1回(計8回)を数えます。平成の大横綱である貴乃花や曙、若乃花、武蔵丸らとしのぎを削り、数々の金星(通算8個)を挙げた名勝負の数々は、今なおオールドファンの記憶に鮮烈に焼き付いています。
琴櫻の娘との結婚と名門・佐渡ヶ嶽部屋を継承した運命のドラマ
琴ノ若晴將の相撲人生において最大の転機となったのが、師匠である第53代横綱・琴櫻(12代佐渡ヶ嶽親方)の長女・真千子さんとの結婚です。師匠からの厚い信頼と人柄を見込まれて婿養子となり、名門・佐渡ヶ嶽の系譜を受け継ぐ後継者としての道が定まりました。
2005年11月場所、現役を引退すると同時に年寄「佐渡ヶ嶽」を襲名。先代師匠が心血を注いで築き上げた土俵と看板を引き継ぐプレッシャーは計り知れないものでしたが、持ち前の誠実さと包容力で部屋の一体感を保ち、琴欧洲(現・鳴戸親方)や琴奨菊(現・秀ノ山親方)、琴光喜といった大関陣を次々と育て上げました。
息子・二代目琴櫻の誕生と大関昇進|知られざる親子鷹エピソード
1997年、晴將氏と真千子さんの間に誕生したのが長男の将且(まさかつ)氏、現在の二代目琴櫻です。幼少期から部屋の力士たちに囲まれて育った息子は、埼玉栄高校を経て佐渡ヶ嶽部屋へ入門。「琴鎌谷」から父の四股名である「琴ノ若」を受け継ぎ、関取へと昇進しました。
稽古場において親方は、実の息子に対して誰よりも厳しい態度で接したと伝えられています。特別扱いを一切排除し、土俵の外では温かく見守るという「師弟であり親子」という複雑な関係性を乗り越えた末に、息子は2024年初場所後に大関昇進を達成。昇進伝達式で見せた親方夫妻の涙と笑顔は、多くの相撲ファンの胸を打ちました。
祖父・父・息子をつなぐ華麗なる家系図と「琴櫻襲名」の真相
佐渡ヶ嶽部屋における血脈と四股名の継承は、相撲界屈指のドラマティックな物語を持っています。
息子の二代目琴ノ若が大関昇進を果たした際、直後の2024年5月場所から祖父の四股名である「琴櫻」を襲名しました。この襲名には深い理由があります。生前、先代師匠(53代横綱・琴櫻)は「大関に上がったら琴櫻を名乗らせてやってほしい」という強い願いを遺していました。初代琴ノ若晴將はその遺志を尊重し、息子自身も祖父と父への敬意を胸に最高峰の四股名を背負う決意を固めたのです。
祖父が横綱・琴櫻、父が関脇・琴ノ若、そして息子が大関・琴櫻という華麗なる家系図は、まさに相撲界のサラブレッドの系譜であり、歴史のバトンが見事に繋がれた瞬間でした。
人情味あふれる人柄と師匠としての信念|弟子たちを育てる情熱
初代琴ノ若晴將を語る上で欠かせないのが、その温厚で誠実な人柄にまつわるエピソードです。現役時代からファンサービスを惜し最初に、誰に対しても礼儀正しい姿勢を崩さないことで知られていました。
師匠となった今も、弟子たちの怪我や体調面には細心の注意を払い、引退後のセカンドキャリアまで親身に相談に乗るなど、まるで父親のような深い愛情で接しています。「礼儀と感謝を忘れない力士であれ」という教えは、佐渡ヶ嶽部屋の所属力士全員に徹底されており、土俵態度や所作の美しさにもその精神が色濃く反映されています。
【琴ノ若晴將】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:初代琴ノ若晴將の最高位と現役時代の主な成績は?
A1:最高位は東関脇です。幕内通算90場所で608勝を挙げ、三賞を8度受賞(敢闘賞5、殊勲賞2、技能賞1)、横綱からの金星を8個獲得するなど、長年にわたり幕内上位で活躍しました。
Q2:息子の二代目琴ノ若が「琴櫻」を襲名した理由は?
A2:祖父である第53代横綱・琴櫻が生前に遺した「大関に上がったら琴櫻を名乗らせる」という約束を果たしたためです。大関昇進決定後の2024年5月場所より、正式に二代目琴櫻を名乗っています。
Q3:佐渡ヶ嶽親方(琴ノ若晴將)の現在の主な役職と活動は?
A3:佐渡ヶ嶽部屋の師匠として後進の指導・育成にあたるほか、日本相撲協会の役員・審判委員として本場所の運営や勝負審判を務めています。
元関脇・琴ノ若晴將が歩んできた道のりは、ひたむきな努力と名門の重責を背負い続けた誇り高き軌跡です。偉大な先代の教えを守り、自らの背中を見せながら育て上げた愛息・琴櫻が大関として土俵に君臨する今、その視線はさらなる高みである「横綱誕生」へと向けられています。
師匠として、父として、そして相撲道を愛する一人の武道家として。琴ノ若晴將が築く佐渡ヶ嶽部屋の黄金期は、これからも相撲界に燦然と輝く光を放ち続けるはずです。