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オフィスレディ(OL)はなぜ死語に?語源の歴史と現在の呼び方の真実

白石 ひなた 白石 ひなた • 更新: • 公開: • 読了約 8 分
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かつて職場に勤める女性会社員を指す代名詞として、テレビドラマや雑誌、日常会話で当たり前のように使われていた「オフィスレディ(OL)」。しかし、コンプライアンス意識やジェンダー平等への価値観が大きく進展した今のオフィス環境において、この言葉を耳にする機会は劇的に減少しました。

そもそも「オフィスレディ」とはどのような意味を持ち、どのような経緯で誕生したのでしょうか。昭和から平成、そして現在へと至る変遷を辿ると、単なる言葉の流行り廃りにとどまらず、日本社会における女性の労働環境や雇用制度の劇的な変化が浮かび上がってきます。

【基礎知識】オフィスレディ(OL)の意味とは?英語圏では通じない和製英語の真実

オフィスレディとは

オフィスレディ(Office Lady / 略称:OL)とは、主に企業などのオフィスで働く女性会社員を指す日本の造語(和製英語)です。昭和の高度経済成長期以降、一般事務やサポート業務を中心に担う未婚の若い女性社員を親しみやすく呼ぶ言葉として広く定着しました。

注意すべきなのは、英語圏で「Office Lady」という表現は使われないという点です。直訳すると貴婦人や身分の高い女性を連想させる不自然な響きとなり、海外では単に「office worker」「clerk」「corporate employee」などと表現されます。性別を限定して職務を呼ぶ文化自体が欧米にはなく、OLという概念そのものが極めて日本特有の企業文化から生まれたものといえます。

【歴史と語源】なぜ「BG」から「OL」へ?『女性自身』公募企画の舞台裏

オフィスレディという言葉が誕生する前、働く女性たちは「BG(ビジネスガール)」と呼ばれていました。1930年代頃から用いられていた呼称でしたが、1964年の東京オリンピックを控えた1963年、NHKが「BGは英語圏でBar Girl(酒場のホステス)や売春婦を意味する隠語と誤解される恐れがある」として放送での使用を中止したことが大きな転換点となります。

これを受け、光文社の週刊誌『女性自身』が1963年11月25日号で新たな愛称を読者公募しました。応募総数約3万通の中から選ばれたのが「オフィスレディ(OL)」です。東京五輪を前に国際的な視点を意識したメディアキャンペーンがきっかけとなり、当時の働く女性たちの間で洗練された新しい響きとして一気に普及していきました。

【時代の転換点】昭和・平成の「お茶くみ・制服」から多様性への変遷

昭和40年代からバブル期にかけての「OL」は、企業の顔としてオフィスの花形とされる一方で、定型業務やお茶くみ、コピー取り、制服の着用といった「男性社員を補助する役割」を期待されるケースが一般的でした。当時は「腰掛け就職」や「寿退社」が前提とされ、20代半ばで結婚・退職することが標準的なキャリアモデルとされていた時代背景があります。

しかし、1986年の男女雇用機会均等法施行を契機に風向きが変わり始めます。総合職と一般職というコース別雇用管理が導入され、女性のキャリア形成は「補助的な業務を行うOL」から「男性と同様に基幹業務を担う専門職・総合職」へと大きく広がりを見せました。制服廃止やオフィスカジュアルの浸透も手伝い、昭和型の画一的なOL像は急速に過去のものとなっていきました。

【なぜ死語に?】公の場から「OL」という呼称が姿を消した3つの理由

長らくメディアや日常で親しまれた「OL」が、なぜ現在では死語とみなされ、ビジネスの現場で避けられるようになったのでしょうか。その背景には3つの決定的な理由があります。

第1に、性別による職種・役割の固定化(ジェンダーバイアス)への批判です。「オフィスで働く女性=サポート職」というステレオタイプを助長するとして、公的機関やメディアでの使用が自粛されるようになりました。

第2に、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の企業浸透です。男性の事務職従事者や女性の管理職・エンジニアが増加し、性別によって働く人を区別・ラベリングする合理性が失われました。

第3に、コンプライアンスおよびハラスメント意識の高まりです。職場で女性社員だけを「うちのOLさんたち」などと呼ぶ行為は、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)やセクシャルハラスメント・ジェンダーハラスメントと受け取られるリスクが高くなっています。

【一般職・事務職との違い】職種定義とキャリアの現在地

かつて「OL=一般職・事務職」と同義で語られることが多くありましたが、人事管理上の職務定義としては明確な違いがあります。

「OL」が性別と勤務環境に着目した通俗的な愛称・カテゴリであるのに対し、「事務職」は業務内容(一般事務、営業事務、経理事務など)に基づく公式な職種名です。また、「一般職」は転勤の有無や職務範囲を規定する雇用管理上のコース区分を指します。

DXの進展やAIツールの普及により、従来のルーティン業務を中心とした一般事務の枠組み自体が再編されています。性別に関わらず、業務改善やデータ活用、プロジェクト推進など高い専門性と柔軟性を持つデスクワーカーとしての働き方が求められています。

【現代の言い換えとマナー】ビジネスシーンで使うべき適切な呼び方

取引先や社内のコミュニケーションにおいて、女性社員を呼称する際はビジネスマナーとして細心の配慮が必要です。かつての感覚で「OLさん」「女の子」といった表現を使うのは厳禁とされています。

文脈や状況に応じた適切な言い換え表現は以下の通りです。

・個別の社員を呼ぶ場合:役職や性別に関係なく「〇〇さん」「〇〇様」と呼ぶのが鉄則です。
・職種や属性を指す場合:「事務担当者」「デスクワーカー」「オフィスワーカー」「内勤スタッフ」など、業務内容に即した表現を用います。
・自社や他社の社員全体を指す場合:「社員」「従業員」「スタッフ」「メンバー」といったジェンダーニュートラルな呼称を使用します。

【オフィスレディとは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:履歴書や職務経歴書に「OL」と書いても問題ありませんか?
A1:避けるべきです。「OL」は公的な職種名ではないため、採用書類には「一般事務」「営業事務」「総務部スタッフ」など、担当していた具体的な職務名称を記載してください。

Q2:ファッション雑誌などで使われる「OLコーデ」「OL向けコスメ」という言葉も見なくなりますか?
A2:徐々に減少しつつあります。現在では「オフィスカジュアル」「通勤コーデ」「働く女性向け」「お仕事服」といった、職場のドレスコードやライフスタイルに焦点を当てた表現への移行が進んでいます。

Q3:男性のオフィスワーカーを指す「OM(オフィスマン)」という言葉は存在したのですか?
A3:過去に一部メディアで対比として造語されたことはありましたが、定着しませんでした。男性の会社員には長年「サラリーマン」という呼称が使われていましたが、こちらも現在では「ビジネスパーソン」「会社員」への言い換えが推奨されています。

昭和の高度成長期に「BG」から生まれ変わり、働く女性のアイコンとして一時代を築いた「オフィスレディ(OL)」。その言葉が役割を終えつつある現実は、性別や固定観念に縛られず、誰もが個々の能力と専門性で評価されるフラットな職場環境へと日本が前進している証左でもあります。

言葉の変化は社会の変化そのものです。過去の歴史や言葉の背景を正しく理解しつつ、現在のビジネススタンダードに即した適切なコミュニケーションを心がけることが、プロフェッショナルとしての信頼につながります。

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白石 ひなた
トレンドリサーチャー 白石 ひなた
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芸能・エンタメ取材7年。一次情報は事務所の公式リリースと本人の公式SNSに限定し、報道だけの情報は複数媒体の一致を確認してから扱います。

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