東京スカイツリーの足元に広がる墨田区向島。かつての花街の面影を残す路地裏に、一歩足を踏み入れた瞬間から時間を巻き戻したかのような錯覚に陥る伝説の喫茶店が存在します。それが、昭和レトロ建築と個性的な世界観で多くの文化人や純喫茶ファンを惹きつけてやまない「ラウンジ カド(季節の生ジュースとくるみパンの店 カド)」です。
創業から半世紀以上の歴史を紡ぎ、名物の緑色に輝く生ジュースや手作りのサンドイッチ、さらには映画のワンシーンを彷彿とさせる贅沢な洋風ラウンジで全国的な知名度を誇ります。メディア露出も多く、多くの旅人を惹きつける一方で、現在の営業体制や独特な空間のルールについて気になっている方も少なくありません。本稿では、向島カドの歴史から名物メニューの真髄、現在の利用状況までを徹底取材ベースで詳しく紐解きます。
【創業の歴史】墨田区向島の路地に佇む「カド」が放つ異様な存在感
墨田区向島の住宅街と旧花街が交差する角地に建つ「カド」。看板に刻まれた「季節の生ジュースとくるみパンの店」という飾らない言葉とは裏腹に、建物の外観からすでに並々ならぬオーラが漂っています。創業は1958年(昭和33年)。初代店主である志賀直邦氏は、志賀直哉の血筋を引く画家であり、自らの美学を注ぎ込んでこの空間を作り上げました。
店内は大きく分けて、テイクアウト用のジューススタンドカウンターと、奥に広がる重厚な「ラウンジスペース」で構成されています。一歩ラウンジに足を踏み入れると、外の東京下町の喧騒が嘘のように遮断され、クラシック音楽が静かに流れる異世界が広がります。壁一面を飾る油彩画、妖艶な光を放つステンドグラス、創業当時から大切に使い込まれた革張りのソファやシャンデリアなど、すべてが本物のアンティークで満たされています。
昭和の時代から文豪、芸術家、映画監督らが密かに通い詰めたサロンとしての背景を持ち、単なる飲食店を超えた「生きた昭和の文化遺産」として、令和の現在も熱烈な支持を集めています。
【名物グルメ検証】「活性生ジュース」と絶品「くるみパンサンドイッチ」の味
カドを語る上で欠かせないのが、看板メニューである「活性生ジュース」と「くるみパンのサンドイッチ」です。初訪問の客が必ずと言っていいほど注文するこの黄金コンビには、初代の健康へのこだわりと妥協なき素材選びが詰まっています。
鮮やかなエメラルドグリーンが目を引く「活性生ジュース」は、アロエ、セロリ、パセリ、リンゴ、レモン、ハチミツなどを絶妙な配合でブレンドした一杯です。青汁のような苦味を想像する人も多いですが、口に含むとリンゴとハチミツの自然な甘み、柑橘の爽快感が広がり、野菜特有のエグみは一切感じられません。身体の隅々に染み渡るようなフレッシュな口当たりは、まさに「活性」の名にふさわしい一杯です。
このジュースと抜群のペアリングを見せるのが、特製のくるみパンを使用したサンドイッチです。香ばしいくるみの食感がアクセントになった自家製パンに、ナスとモッツァレラチーズ、ハム、コンビーフなどを挟んだバリエーションが揃っています。特に「ナスとモッツァレラチーズのサンド」は、じっくりソテーされたナスのジューシーさと濃厚なチーズ、トマトソースのバランスが秀逸で、軽食の域を超えた本格的な洋食の深みを堪能できます。
【内装の噂とロケ地実績】まるで映画セット!昭和レトロな空間美の正体
向島のカドは、映画やテレビドラマ、アーティストのミュージックビデオ、ファッション誌の撮影ロケ地としても頻繁に起用されています。レトロ好きの間では「一度訪れたら脳裏に焼き付いて離れない空間」として知られ、映画監督やクリエイターからも指名を受け続けています。
深紅の絨毯に映える木製調度品、天井から吊り下げられた重厚な照明、そして壁面を埋め尽くす絵画の数々は、初代店主が自ら収集・制作したものです。計算された照明の陰影が独特の退廃美とクラシカルな気品を演出し、どこを切り取っても絵画的な構図が完成します。
近年ではSNSを通じて若い世代にもその存在が知れ渡り、昭和レトロブームの聖地として脚光を浴びています。ただし、空間の静寂と世界観を愛する常連客も多いため、店内での大声での会話や過度な撮影行為は控え、静かに雰囲気を味わうのがこの場所の暗黙のルールとなっています。
【現在の営業状況】訪れる前に確認必須!営業時間・定休日と最新利用マナー
昭和から続く歴史ある個人店であるため、訪問前には最新の営業体制を把握しておく必要があります。遠方から訪れて休業だったという事態を避けるためにも、事前の下調べが不可欠です。
基本的な定休日は毎週月曜日・火曜日(祝日の場合は変動あり)となっており、営業時間は11:00〜17:00頃が目安です。ただし、仕込みの状況や季節、店主の体調等により営業時間が前後する場合や、テイクアウト販売のみの営業となる日もあります。最新の営業状況は、公式情報や現地の案内板、訪問直前の確認が推奨されます。
また、奥のラウンジ席を利用する際は、ワンオーダー制をはじめとする店舗ルールを遵守することが大切です。静謐な空間を保つため、入店人数に制限が設けられるケースもあるため、時間に余裕を持ったスケジュールで訪れるのが賢明です。
【口コミと評判】実際に訪れたファンが語る魅力とリアルな評価
WEB上のレビューやSNSでの口コミを見ると、カドに対する評価は非常に高く、とりわけ世界観への没入感を称賛する声が目立ちます。
ポジティブな口コミとしては、「重厚な扉を開けた瞬間に昭和のサロンにタイムスリップしたような感動を覚えた」「活性生ジュースの飲みやすさと美味しさに驚いた」「くるみパンのサンドイッチはパン自体が美味しく、具材との相性が最高」といった声が圧倒的です。空間と料理の双方が高いクオリティを保っている点が、長年の支持に繋がっています。
一方で、「人気店のためタイミングによっては待ち時間が発生する」「店内の静けさを楽しむ場所なので大人数でのワイワイした利用には向かない」といったリアルな意見も見受けられます。純喫茶としてのマナーを守り、非日常の静寂を味わう目的で訪れる人にとって、これ以上ない極上の体験が得られる場所と言えます。
【アクセスと行き方】曳舟・押上・とうきょうスカイツリー駅からのルート
向島ラウンジカドは、複数の駅から徒歩圏内に位置しており、下町散策を兼ねたアクセスが便利です。
最寄り駅の一つは、東武スカイツリーラインの「曳舟駅」(西口より徒歩約12〜15分)。また、都営浅草線・東京メトロ半蔵門線・京成押上線が乗り入れる「押上(スカイツリー前)駅」や東武線の「とうきょうスカイツリー駅」からも徒歩15分ほどでアクセス可能です。
下町の風情ある路地や言問橋周辺の景色を眺めながら歩くルートは、散策コースとしても非常に魅力的です。周辺には老舗の和菓子店や歴史ある神社仏閣も点在しており、スカイツリーエリアの近代的な観光と、向島の歴史情緒を組み合わせた散策プランを組み立てるのもおすすめです。
【ラウンジ カド】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:テイクアウトのみの利用は可能ですか?
A1:はい、可能です。店頭のジューススタンドカウンターから「活性生ジュース」や各種サンドイッチをテイクアウトで購入できます。散策のお供に購入する地元客や観光客も多く見られます。
Q2:店内の写真撮影は許可されていますか?
A2:手元の料理や自身の席からの撮影は基本的に可能ですが、他のお客様のプライバシーへの配慮や、立ち歩いての過度な撮影は厳禁です。お店の静かな雰囲気を壊さないようマナーを守って撮影しましょう。
Q3:予約は可能ですか?混雑する時間帯はいつですか?
A3:原則として座席の事前予約は受け付けていません。休日の午後(13:00〜15:00頃)はカフェ利用の混雑がピークとなるため、比較的落ち着いている開店直後や夕方前の時間帯を狙って訪れるのがスムーズです。
目まぐるしいスピードで再開発が進む東京において、墨田区向島の「カド」が放つクラシカルな光は、唯一無二の価値を持っています。創業者から受け継がれたアートと美学、身体を気遣うフレッシュな活性生ジュース、そして丹精込めて作られるくるみパンサンドイッチ。そのすべてが調和し、訪れる者に贅沢な安らぎとノスタルジーを提供してくれます。
古き良き昭和の純喫茶文化を五感で体感したい方は、ルールとマナーを大切にしながら、ぜひ向島の重厚な扉を開いてみてください。そこには、時代を超えて愛され続ける本物のサロン文化が静かに息づいています。