アンダーグラウンドのリアルな日常と煙に巻かれたアティテュードを吐き出し、日本のヒップホップシーンで熱狂的な支持を集める熊谷発のラップグループ・舐達麻(なめだるま)。彼らの名を全国的なニュースとして知らしめたのが、度重なる大麻取締法違反容疑によるメンバーの逮捕劇でした。リリックに描かれてきた過激なライフスタイルがそのまま現実の法執行機関と衝突した瞬間は、音楽業界のみならず社会全体に大きな衝撃を与えました。
「なぜ彼らは逮捕されたのか」「首謀者とされたメンバーの判決はどうなったのか」——ネット上では今なお事件の全貌を巡って様々な憶測が飛び交っています。本稿では、主犯格と目されたBADSAIKUSHやG-PLANTS、DELTA9KIDの個別の容疑内容から法的な処遇、そして釈放・活動再開を経て2026年現在に至る最新の動向まで、公判記録や報道事実に基づき克明に紐解いていきます。
【事件の真相】舐達麻メンバーが逮捕された理由と経緯とは?いつ何が起きたのか
世間を震撼させた舐達麻の大規模摘発は、2021年4月16日に口火を切りました。警視庁組織犯罪対策第5課(組対5課)が、大麻取締法違反(所持)の疑いでメンバーのG-PLANTS(本名・本多勇翔)とDELTA9KID(本名・広井大介)を含む男女9人を一斉に逮捕したのです。当局はグループの活動拠点となっていた埼玉県熊谷市の関係先など複数箇所を急襲し、乾燥大麻や計量器などを押収しました。
警察当局が舐達麻に強い照準を合わせた最大の逮捕理由は、彼らが発表する楽曲のミュージックビデオや歌詞において、大麻吸引や売買を想起させる描写が極めて露骨かつ公然と行われていた点にあります。ストリートカルチャーの枠を超えて若年層への影響力が肥大化したことで、法執行機関側も「見せしめ」を含めた組織壊滅的な取り締まりに踏み切らざるを得ない情勢となっていました。
さらに事態はそれにとどまらず、翌2022年10月4日にも再び組対5課が動きます。グループのリーダー格であるBADSAIKUSHの自宅敷地内から大麻が発見されたとして、BADSAIKUSHとG-PLANTSが再び大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕されました。2年連続で主要メンバーが身柄を拘束されたニュースは、シーンに「舐達麻はこれで完全に活動停止か」という決定的な絶望感を漂わせることとなりました。
【メンバー別の容疑と関与】BADSAIKUSH・G-PLANTS・DELTA9KIDそれぞれの処遇
一連の事件において特筆すべきは、メンバー3人の法的な処遇と容疑内容がそれぞれ異なっていた点です。警察と検察の執拗な追及に対し、各人がどのような立場で捜査を受け、どのような司法判断が下されたのかを精査する必要があります。
グループの顔でありリリックの核を担うBADSAIKUSH(バダサイクッシュ)は、2021年の第1波では家宅捜索や任意の取り調べを受け、尿検査が行われたものの、確固たる所持の証拠が立証できず逮捕を免れました。しかし2022年の第2波では自宅内から大麻が見つかり遂に逮捕。ファンに激震が走りましたが、勾留期限を迎えた後に嫌疑不十分による不起訴処分が決定し、身柄を釈放されています。押収場所と本人の直接的な占有権の立証が法的に困難であったことが決定打となりました。
一方、低音の効いたフロウで存在感を放つG-PLANTS(ジープランツ)は、2021年・2022年と2度にわたって逮捕される事態に陥りました。2021年の逮捕時は熊谷市内の自宅で乾燥大麻を所持していた現行犯であり、長期間の取り調べを受けましたが、最終的には起訴猶予または保釈を経て社会復帰を果たしています。続く2022年の逮捕でもBADSAIKUSHと同様に厳格な司法審査の末、最終的な実刑判決を回避する着地となりました。
そして独特のハイトーンボイスで知られるDELTA9KID(デルタナインキッド)は、2021年4月に都内などで大麻を所持していた疑いで逮捕されたものの、徹底した捜査の結果、大麻取締法違反の容疑については不起訴処分を勝ち取っています。所持の立証ハードルの高さと弁護活動が功を奏し、早期の釈放が実現しました。
【結成前の逮捕歴】DELTA9KIDの服役と舐達麻誕生にまつわる壮絶な原点
舐達麻を語る上で避けて通れないのが、大麻取締法違反の事件以前に存在するメンバーの壮絶な逮捕歴とグループ結成の悲劇的なルーツです。舐達麻という集合体は、単なる不良少年たちの集まりではなく、過酷な犯罪と死の痛みを背負って誕生した経緯があります。
彼らが10代後半だった2009年、金品を狙った金庫破り事件を起こし、警察との激しいカーチェイスの末にメンバーの親友であった1.0.4(トシ)が事故により命を落としました。この事件によって車に同乗していたDELTA9KIDは実刑判決を受けて刑務所に服役することになります。少年刑務所での過酷な日々を送ったDELTA9KIDの服役経験は、舐達麻のリリックの端々に滲む冷徹なリアリズムと哀愁の根源となっています。
友の死と刑務所収容という最悪の結末を前に、残されたBADSAIKUSHたちは「音楽でしか生き直す道はない」と腹を括り、獄中のDELTA9KIDの出所を待って本格的に結成されたのが舐達麻でした。彼らの音楽に漂う退廃的でありながら神聖な空気感は、こうした法を犯した過去の代償と、亡き友への鎮魂歌としての覚悟が生み出している側面があります。
【判決と釈放の真相】実刑か執行猶予か?大麻取締法違反を巡る司法判断の結末
メディアで大々的に「現行犯逮捕」と報道された舐達麻のメンバーたちですが、結果として誰一人として今回の薬物事件で長期の実刑判決を受け、服役することはなかったという事実は世間を大いに驚かせました。
日本の刑事司法における大麻取締法違反(単純所持)は、初犯であれば執行猶予付き判決が下されるケースが一般的です。しかし、複数回にわたる捜査や著名人としての社会的影響力を踏まえれば、検察側が求刑を重くし、実刑を狙いに行くシナリオも十分に予想されていました。それでもメンバーが実刑を免れた背景には、徹底した黙秘や法廷闘争、そして確固たる物証の分離がありました。
共同生活や複数人が出入りするスタジオ環境では、「その薬物が誰の占有下にあったのか」を厳密に特定することが法律上極めて難しくなります。押収された大麻のグラム数や指紋、DNA鑑定の結果など、警察側の証拠構築が完全ではなかったことも手伝い、結果として不起訴処分や起訴猶予、あるいは執行猶予にとどまり、メンバー全員が法的な檻の外へと速やかに釈放される結末を迎えました。
【2026年最新】逮捕・活動休止からの復帰と「APHRODITE GANG」の現在地
度重なる逮捕劇による一時的な活動休止を乗り越え、2026年現在、舐達麻は再び日本のカルチャーシーンの最前線で圧倒的な存在感を放ち続けています。
司法の監視下に置かれながらも、彼らの音楽的クリエイティビティが衰えることはありませんでした。釈放後にドロップされた楽曲群は、事件の渦中で感じた警察組織への違和感や、裏切らない仲間への情義がより濃密な詩として昇華されており、YouTubeやストリーミングサービスで異次元の再生数を叩き出しています。国内の主要大型ヒップホップフェスや単独公演のチケットは瞬く間にソールドアウトを記録するなど、一度狂いかけたプロップスは以前にも増して強固なものとなりました。
また、彼らが主宰するアパレル・ライフスタイルブランド「APHRODITE GANG HOLDINGS(アフロディーテギャング)」のビジネスも驚異的な成功を維持しています。シンプルでありながらストリートの矜持を宿したウェアは、ポップアップを開催するたびに数百メートル規模の行列を作り、オンライン販売も数分で完売する事態が常態化しています。法廷での試練をくぐり抜けたことで、彼らが体現する「アンチヒーロー」としての物語性はより一層の説得力を獲得し、2026年を迎えた現在も熱烈なカルチャー信者を生み出し続けています。
【舐達麻の逮捕】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:BADSAIKUSH(バダサイ)は結局、刑務所に入ったのですか?
A1:いいえ、服役していません。2021年の家宅捜索では逮捕自体が見送られ、2022年の所持容疑での逮捕時も、検察の取り調べの末に嫌疑不十分等により不起訴処分となり釈放されました。そのため、大麻事件による実刑判決での服役歴はありません。
Q2:舐達麻の中で過去に実際に実刑で服役したことがあるメンバーは誰ですか?
A2:DELTA9KIDです。舐達麻結成以前の2009年に起きた金庫破り事件に伴い、数年間の実刑判決を受けて少年刑務所に服役していました。この服役体験と出所がグループ結成の大きな節目となっています。
Q3:舐達麻は現在も大麻取締法違反の疑いで活動休止中なのですか?
A3:いいえ、活動休止はすでに解かれており、2026年現在も活発に音楽制作やライブ出演を行っています。逮捕直後は捜査への対応や身柄拘束のため一時的に動きが止まりましたが、不起訴や保釈を経て本格復帰を果たし、主宰ブランド「APHRODITE GANG」とともにシーンを牽引しています。
大麻取締法違反という重大なスキャンダルに見舞われながらも、法的な追及を跳ね除け、シーンの頂点へと返り咲いた舐達麻。彼らの歩みは、日本のポピュラーカルチャーにおいて「アンダーグラウンドの表現の自由」と「法規範の遵守」という重いテーマを社会に突きつけ続けています。
当然ながら、日本の現行法下における薬物の所持・使用は決して許容される行為ではありません。今後も当局からの厳しい視線が注がれ続けることは明白であり、一歩間違えれば再びグループ存続の危機に瀕するリスクは常に隣り合わせです。しかし、そうした危うさすらも自らのアートへ昇華させ、ストリートの真実を刻み続ける彼らの動向から、2026年も目を離すことはできそうにありません。