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客が少ないのに潰れない?鷲羽山ハイランド驚異の経営戦略と現在

黒田 大河 黒田 大河 • 更新: • 公開: • 読了約 10 分
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瀬戸内海と瀬戸大橋を一望する岡山県倉敷市児島の高台にそびえ立つテーマパーク、「ブラジリアンパーク 鷲羽山ハイランド」。平日に訪れると人影がまばらで、ネット上では定期的に「経営難で閉園するのでは?」という根拠のない噂が飛び交います。大手テーマパークが次々と淘汰される厳しいレジャー業界にあって、一見すると閑散としているこの遊園地がなぜ半世紀以上も生き残れているのでしょうか。

取材を進めると、そこには大手資本には真似のできない極めて合理的で泥臭い経営戦略と、SNS時代を味方につけた独自のブランディングがありました。ネットの閉園説を払拭し、今なお強烈な存在感を放ち続ける鷲羽山ハイランドの経営のからくりを解き明かします。

【閉園の噂を検証】鷲羽山ハイランドは現在も元気に営業中!囁かれる誤解の正体

鷲羽山ハイランド潰れない理由

検索窓に施設名を入れると真っ先にサジェストされる不穏なキーワード。しかし断言しますが、ブラジリアンパーク 鷲羽山ハイランドは現在も年中無休で堂々と営業中です。火の無い所に煙は立たないと言いますが、なぜここまで閉園説がネット上に定着してしまったのでしょうか。

発端は、平日の極端な閑散風景を訪れたユーザーが「客よりスタッフの方が多い」「誰も並んでいない」と写真付きでSNSに投稿したことにあります。加えて、老朽化設備の計画的なメンテナンス休止や、コロナ禍に実施した時短営業などの断片的な情報が尾ひれをつけて拡散。「ついに閉園か」という憶測が独り歩きしてしまいました。

実際のところ、同園の週末や大型連休はファミリー層や若者グループで活況を呈しています。平日と休日のギャップの激しさが、ネット民の「潰れそう」という先入観を過剰に刺激しているのが真相です。

【なぜ客が少なくても黒字?】鷲羽山ハイランドが絶対に潰れない4つの経営秘密

客足がまばらに見える日があっても経営が破綻しない背景には、大手テーマパークとは根本的に異なる4つの強固なコスト構造とビジネスモデルが存在します。

第1に、広大な敷地が自社所有地であり、主要アトラクションの減価償却がほぼ終了している点です。東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのように莫大な借入金返済や地代家賃、最新設備の減価償却費に追われることがありません。日々の固定費が驚くほど低いため、損益分岐点となる入園者数のハードルが極めて低く設定されています。

第2に、徹底した人件費のコントロールです。平日訪れると実感しますが、1人のスタッフがアトラクションの運転、安全確認、時には売店の案内までマルチにこなす柔軟なオペレーション体制が敷かれています。無駄な人員配置を徹底的に削ぎ落とし、固定費の流出を最小限に抑えています。

第3に、倉敷市児島の観光テーマパークとしての地理的アドバンテージです。瀬戸大橋の開通以来、四国と本州を結ぶ観光黄金ルートの要所として定着しており、西日本一円の小中学校からの修学旅行や団体バスツアーの受け入れ先として手堅い売上を確保しています。個人客が少ない平日でも、午前中に大型バスが数台乗り入れるだけで一定の収益が確定する仕組みです。

第4に、物販や飲食での確実な利益率の確保です。入園とアトラクション利用が一体となったフリーパス料金を主軸としつつ、名物のブラジル料理やオリジナルグッズの販売で客単価を着実に底上げしています。

【世界一怖い自転車】SNSで世界的人気を誇る「スカイサイクル」の破壊力

鷲羽山ハイランドの知名度を全国区、ひいては世界規模へと押し上げた最大の功労者が、名物アトラクションの「スカイサイクル」です。

地上16メートル(ビル4階相当)のレール上を、むき出しの二人乗り自転車で自力で漕ぎ進むこのアトラクション。シートベルトは簡素な骨組みのみで、カーブに差し掛かるとレールが大きく瀬戸内海の断崖絶壁側へせり出します。「絶景だが足がすくんで漕げなくなる」「ある意味で世界一怖い絶叫マシン」としてテレビ番組や人気YouTuberに取り上げられ、その恐怖映像は海を越えて海外のSNSでも大バズりしました。

最新のCGやVR技術を駆使した数千億円規模のアトラクションではなく、昭和の骨格を活かした生身の恐怖体験だからこそ、唯一無二のフックとして若者を倉敷まで引き寄せる起爆剤になっています。

【バンジーからサンバまで】ブラジリアンパークへ転身した尖りすぎの独自路線

1971年の開園当初は典型的な地方遊園地だった同園ですが、1992年に大きな転機を迎えました。突如として「ブラジリアンパーク」の冠を掲げ、園内全域をブラジル色に染め上げたのです。

バブル崩壊後の生き残り策として打ち出されたこのリブランディングは、当初は誰もが無謀と考えた奇策でした。しかし、本場ブラジルからプロのダンサーを招致した陽気なサンバショーを毎日開催し、ビンゴ大会ではダンサーが客席に飛び込んで踊り狂う超密着型のエンターテインメントを提供。瀬戸内海の美しい島々を眼下に見下ろしながら海抜170メートルから飛び降りるバンジージャンプとともに、「異国情緒と昭和レトロと絶叫がカオスに混ざり合うワンダーランド」としての地位を確立しました。

この徹底した差別化により、「どこにでもある地方の遊園地」から「一度は生で体験したいカルト的スポット」へと脱皮することに成功したのです。

【入園者数と料金設定のリアル】フリーパス改定と修学旅行需要が支える収益基盤

ピーク時の年間入園者数に比べれば市場の成熟化に伴い数字自体は落ち着いているものの、園の収益力は決して衰えていません。その中核にあるのが、明快なフリーパス料金体系です。

大人は入園とアトラクション乗り放題がセットになったフリーパス(昼からの入園割引やシニア向け料金も設定)が基本となっており、バンジージャンプなど一部の特殊アトラクションを除き、入園した段階で確実に一定額がプールされます。アトラクションの待ち時間がほぼゼロで乗り放題という体験価値は、混雑に疲弊した都会のテーマパークファンにとって「コスパ最強」と受け止められています。

加えて、修学旅行生にとっては「混まずに全員が思う存分遊べる」「安全管理の動線が把握しやすい」という理由から、教育旅行の手配業者からも手堅い評価を得ています。

【来場者の評判と口コミ】レトロかスリルか?賛否両論でもリピーターが絶えないワケ

口コミサイトやSNSでの評判を分析すると、訪問者の感想は綺麗に二極化しています。

ネガティブな意見としては「施設全体に昭和のサビや色褪せが目立つ」「アトラクションの運行間隔がのんびりしている」といった、ハード面の経年劣化に関する指摘が目立ちます。最新鋭のテーマパークのような洗練された接客やピカピカの設備を期待すると、カルチャーショックを受けることは否めません。

一方で、ポジティブな口コミは熱狂的です。「スタッフやブラジル人ダンサーの距離が近くて温かい」「スカイサイクルのスリルは人生で一番だった」「待ち時間ゼロでジェットコースターを連続周回できるのが最高」など、他では味わえない剥き出しのエンタメ性を絶賛する声が後を絶ちません。この濃密なファン層が、地方テーマパークの生命線であるリピート需要をガッチリ支えています。

【鷲羽山ハイランドが潰れない理由】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:鷲羽山ハイランドが本当に潰れない一番の要因は何ですか?
A1:土地を自社所有しており賃料が発生しないこと、主要アトラクションの減価償却がほぼ終了していること、そして複数業務を兼任するスタッフオペレーションによって固定維持費を極限まで低く抑えているためです。

Q2:現在もアトラクションやサンバショーは通常通り楽しめますか?
A2:はい、通常営業しています。名物のスカイサイクルや各種コースター、本場ブラジル人ダンサーによるサンバショーやビンゴ大会も連日開催されています(天候や定期点検による一時休止を除く)。

Q3:雨の日でも遊べるアトラクションはありますか?
A3:雨天時は屋外の絶叫系マシンやスカイサイクルが安全のため運休となる場合があります。ただし、屋内のインドアアトラクションやゲームコーナー、屋根付きステージでのサンバショーなどは天候に関わらず楽しめます。

「客が少ないのに潰れない」という世間の疑問の裏には、過剰な設備投資に走らず、自社の身の丈に合ったコスト構造を守り抜くという、極めて堅実な経営哲学がありました。加えて、SNSの普及によって「レトロなカオス空間」「世界一怖い自転車」という唯一無二の個性が再評価され、若い世代の新規ファンを着実に獲得しています。

巨大資本による寡占化が進むテーマパーク業界において、瀬戸内海の絶景をバックにサンバのリズムを響かせ続ける鷲羽山ハイランド。独自のサバイバル術で時代を生き抜くその姿は、地方創生と独自性ビジネスの象徴として、これからも訪れる人々に強烈な驚きと笑顔を届け続けるはずです。

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黒田 大河
デジタルマーケター 黒田 大河
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