日本列島を熱狂の渦に巻き込んだ2023年のプロ野球シーズン。阪神タイガースの38年ぶり日本一やオリックス・バファローズのリーグ3連覇など、記録にも記憶にも残る名勝負が繰り広げられました。その激闘を締めくくる栄誉として「NPB AWARDS 2023」にて発表されたのが、セ・パ両リーグの年間最強メンバーであるベストナインです。
満票選出となった圧倒的エースや初受賞のフレッシュな顔ぶれが並ぶ一方で、激戦区となったポジションでは得票数をめぐる熱い議論が巻き起こりました。当時の記者投票の内訳や、惜しくも選外となった有力選手へのファンの反響まで、2023年プロ野球の総決算となった選考結果を深掘り解説します。
【セ・パ受賞者一覧】2023年プロ野球ベストナインの顔ぶれ

2023年シーズンのベストナインは、長年チームを牽引してきた主軸から初タイトルを獲得したブレイク組まで、実力派が勢揃いする陣容となりました。セ・リーグ、パ・リーグそれぞれの選出選手は以下の通りです。
【セ・リーグ ベストナイン 2023 受賞者一覧】
・投手:東克樹(DeNA・初受賞)
・捕手:大城卓三(巨人・3年ぶり2度目)
・一塁手:大山悠輔(阪神・初受賞)
・二塁手:牧秀悟(DeNA・初受賞)
・三塁手:宮﨑敏郎(DeNA・5年ぶり3度目)
・遊撃手:木浪聖也(阪神・初受賞)
・外野手:近本光司(阪神・3年連続3度目)、西川龍馬(広島・初受賞)、岡林勇希(中日・2年連続2度目)
【パ・リーグ ベストナイン 2023 受賞者一覧】
・投手:山本由伸(オリックス・3年連続3度目)
・捕手:森友哉(オリックス・2年ぶり4度目)
・一塁手:頓宮裕真(オリックス・初受賞)
・二塁手:浅村栄斗(楽天・2年連続8度目)
・三塁手:宗佑磨(オリックス・3年連続3度目)
・遊撃手:紅林弘太郎(オリックス・初受賞)
・外野手:近藤健介(ソフトバンク・3年ぶり4度目)、万波中正(日本ハム・初受賞)、柳田悠岐(ソフトバンク・4年連続8度目)
・指名打者(DH):G.ポランコ(ロッテ・初受賞)
満票選出と初受賞ラッシュ!投票結果が示した2023年の主役たち
2023年の選考で最大のハイライトとなったのが、満票選出を果たした2名の選手です。パ・リーグの有効投票数267票すべてを獲得したのは、前人未到の3年連続投手4冠を達成したオリックスの山本由伸と、本塁打王・打点王の打撃2冠に輝いたソフトバンクの近藤健介でした。文句のつけようがない圧倒的な数字を残した両選手への評価は、記者投票においても完全一致を見る結果となりました。
また、世代交代や新たなスターの台頭を印象づけたのが「初受賞選手」の多さです。セ・リーグでは16勝3敗・最高勝率に輝いたDeNAのエース東克樹、最高出塁率のタイトルを獲得した阪神の主砲大山悠輔、打点王と最多安打の2冠を掴んだDeNAの牧秀悟、下位打線で驚異の勝負強さを誇った阪神の木浪聖也らが悲願の初受賞を果たしました。
パ・リーグでも、大ブレイクを果たして首位打者に輝いたオリックスの頓宮裕真、攻守で強烈なインパクトを残した日本ハムの万波中正、正遊撃手として定着した紅林弘太郎、ロッテの主砲として本塁打王を分け合ったポランコなど、フレッシュな顔触れが栄冠を手にしています。
【得票数の内訳公開】大激戦となったポジションと落選理由の真相
ファンの間で最も白熱した議論を呼んだのが、プロ野球ベストナイン得票数の内訳です。特にセ・リーグの捕手部門は大激戦となり、巨人の大城卓三(130票)が、阪神の日本一捕手である坂本誠志郎(114票)をわずか16票差でかわして選出されました。
坂本はリーグトップクラスのチーム防御率を支えたリード面が高く評価されたものの、大城が記録した「打率.281・16本塁打」という捕手として傑出した打撃成績が決め手となりました。ネット上では「日本一チームの正捕手である坂本が選ばれないのか」「打撃重視のベストナインなら大城の選出は妥当」と意見が真っ二つに分かれ、SNS上で大きなトレンドとなりました。
さらにセ・リーグ二塁手部門でも、打撃2冠の牧秀悟(206票)に対し、全試合フルイニング出場で最多安打争いを演じた阪神の中野拓夢(92票)が落選。パ・リーグ捕手部門でも、森友哉(193票)の陰でオリックスのリーグ優勝に多大な貢献をした若月健矢(69票)が選外となるなど、守備やチーム貢献度を重視するファンからは惜しむ声が続出しました。
ゴールデングラブ賞との決定的な違いと記者投票の評価基準
ベストナインの選出結果を見る上で欠かせないのが、守備の名手に贈られる「三井ゴールデングラブ賞」との違いです。両賞はいずれも全国の新聞・通信・放送各社の現場記者による投票で選ばれますが、その選考基準には明確な性質の違いが存在します。
ゴールデングラブ賞が「純粋な守備力・守備指標」を対象とするのに対し、ベストナインは「打撃成績を含めた総合的なシーズン貢献度」を評価する賞です。そのため、2023年のセ・リーグ二塁手のように、ゴールデングラブ賞は中野拓夢が獲得し、ベストナインは牧秀悟が選ばれるといったねじれ現象が自然と発生します。
記者投票の現場では、打率・本塁打・打点・出塁率といった客観的な打撃スタッツが重視される傾向にあります。守備のスペシャリストであっても、打撃面でリーグ上位の数値を残したライバルがいる場合、ベストナインの投票では差をつけられやすいのが実情です。
阪神・オリックスが席巻!リーグ制覇チームが残した圧倒的インパクト
2023年の年間表彰を象徴したのは、関西対決の日本シリーズを演じた阪神タイガースとオリックス・バファローズの躍進でした。阪神タイガースはベストナインに3名(大山・木浪・近本)を送り込み、岡田彰布監督のもとで確立された盤石の布陣を証明しました。
一方のオリックス・バファローズは、パ・リーグにおいて実に5部門(山本・森・頓宮・宗・紅林)を独占。投打にわたって選手層の厚さを見せつけました。この両チームの圧倒的な充実ぶりは、同年の最優秀選手賞(MVP)にも直結しています。
セ・リーグのプロ野球MVPには、新人王とのダブル受賞を果たした阪神の村上頌樹が選出され、パ・リーグでは山本由伸が3年連続となるMVPを受賞しました。チームの勝敗と個人の卓越した成績が見事に融合した2023年は、両球団の歴史において黄金期と呼ぶにふさわしい足跡を残しました。
【プロ野球 ベストナイン 2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ベストナインの投票権を持っているのは誰ですか?
A1:新聞社、通信社、テレビ局、ラジオ局に所属し、プロ野球の取材経験が5年以上ある記者が投票資格を持っています。
Q2:満票選出(全票獲得)は過去にも例がありますか?
A2:はい、過去にも王貞治氏やイチロー氏をはじめ複数例があります。2023年は山本由伸投手と近藤健介選手の2名が満票(267票)を獲得する快挙を達成しました。
Q3:指名打者(DH)部門はセ・リーグにもありますか?
A3:いいえ、ベストナインにおける指名打者部門は、公式戦でDH制を採用しているパ・リーグのみに設けられています。
2023年のプロ野球ベストナインは、圧倒的な実力で満票を獲得したスーパースターの存在感と、初受賞を果たした新世代の躍進が美しく交錯する選考結果となりました。得票数をめぐる議論や落選した選手への注目も含めて、各選手が143試合のペナントレースで見せたハイレベルなプレーの証といえます。
タイトルホルダーとしての数字とチームを勝たせる献身性。その双方が高い次元でぶつかり合った2023年の記録は、球史に残るハイレベルな名勝負の記憶として色褪せることはありません。