書店やネット書店の旅行コーナーで圧倒的な存在感を放つ2大旅行ガイドブック、「るるぶ」と「マップル」。旅行の計画を立てる際、表紙のデザインや掲載エリアが似ているため、「結局どちらを買えばいいのか分からない」と頭を悩ませた経験を持つ読者は少なくないはずです。
一見すると双子のように似通った両誌ですが、出版社の生い立ちや編集思想を紐解くと、誌面のビジュアル構成から地図の正確性、さらには付属するデジタルアプリの使い勝手に至るまで、明確なコンセプトの違いが存在します。旅先で後悔しないためにも、両者の決定的な差を詳しく比較・検証していきましょう。
【出版社のDNA】JTBパブリッシングと昭文社が生んだ2大巨頭のルーツ
両誌の個性を決定づけているのは、発行元である出版社の成り立ちです。「るるぶ」は国内最大手旅行会社JTBグループ傘下のJTBパブリッシングが発行しており、その誌名は「見る・食べる・遊ぶ」の語尾を組み合わせた言葉に由来します。旅行代理店としての長年のノウハウと現地の観光トレンドを凝縮し、エンターテインメント性を前面に押し出した誌面作りが得意です。
対する「マップル」は、道路地図や都市地図のトップランナーである昭文社が手掛けています。地図調製のプロフェッショナル集団が作っているため、すべての情報が「正確な位置情報とルートの分かりやすさ」を基軸に構築されているのが最大の特徴です。この生い立ちの違いが、そのまま誌面の構成や読書体験の差へと直結しています。
【誌面と地図の比較】写真で見せる「るるぶ」vs 地図で魅せる「マップル」
実際に2冊を並べて開くと、視覚的なアプローチの差は一目瞭然です。るるぶは、圧倒的な写真点数とカラフルなレイアウトが特徴で、ご当地グルメの断面や最新スイーツ、テーマパークのハイライトが誌面いっぱいに飛び込んできます。「ここに行きたい!これを食べたい!」という旅のモチベーションを一気に高めてくれるビジュアルマガジンとしての完成度が際立ちます。
一方のマップルは、見開き全体の情報整理が非常に整然としており、何よりも地図の読みやすさにおいて他を圧倒します。縮尺の正確さはもちろんのこと、交差点の目印、一方通行や高低差の配慮など、現地で歩きながら、あるいは車を運転しながらでも迷わない工夫が随所に施されています。るるぶが「目的地の魅力」を伝えるのに対し、マップルは「目的地への行き方と周辺環境」を立体的に伝える設計になっていると言えます。
【電子版・アプリの決定打】「まっぷるリンク」と「るるぶ情報版」の機能差とクーポン事情
近年、ガイドブック選びの重要な決め手となっているのが、紙の書籍を購入すると無料で利用できるデジタル特典です。両誌ともにスマートフォンでの閲覧に対応していますが、その設計思想には明確な違いがあります。
マップルが提供する専用アプリ「まっぷるリンク」は、電子書籍の閲覧だけでなく、スマホのGPSと連動したオフラインマップ機能が極めて優秀です。電波の届きにくい山間部や地下街でも現在地をロストせず、本誌掲載スポットをピンポイントで確認できます。実用的なナビゲーションツールとしての完成度は非常に高い評価を得ています。
対するるるぶは、電子書籍版の軽快な閲覧性に加え、レジャー施設や宿泊予約で使える電子書籍限定クーポンや、JTBグループのネットワークを活かした独自特典の充実で強みを発揮しています。旅先でのナビ機能を重視するならマップル、お得な優待や直感的な情報収集を求めるならるるぶという棲み分けが鮮明です。
【ことりっぷとの住み分け】第三の選択肢を含めた旅行ガイドブックのポジショニング
旅行ガイドブックを選ぶ際、同じく昭文社が展開する大人気シリーズ「ことりっぷ」との違いが気になる方も多いでしょう。ことりっぷは、働く大人の女性をターゲットに絞り込み、軽くてコンパクトなA5変型判と落ち着いたデザインを採用したガイドブックです。
網羅型の「るるぶ」「マップル」がエリア内の観光スポットを漏れなくカタログ化しているのに対し、「ことりっぷ」は編集部が厳選したカフェや雑貨店、上質な宿だけをセレクトして掲載しています。家族旅行やグループ旅行で全員の希望を叶えたい場合はるるぶやマップル、1人旅や気心知れた友人とのんびり街歩きを楽しむならことりっぷという使い分けが定着しています。
【年代・旅行スタイル別】あなたにぴったりの1冊はどっち?国内旅行ガイドブックの選び方
旅の成功率を高めるためには、同行者や移動手段に応じた最適な1冊を選ぶ視点が欠かせません。旅行スタイル別の推奨基準は以下の通りです。
【るるぶがおすすめのケース】
・家族連れや友人同士のグループ旅行(ビジュアルで意見をまとめやすい)
・テーマパーク、食べ歩き、SNS映えスポットが旅のメイン目的
・移動中や出発前に、雑誌感覚で眺めてテンションを上げたい
【マップルがおすすめのケース】
・レンタカーや自家用車を使ったドライブ旅行(道路情報と縮尺が正確)
・シニア層や一人旅など、現地でのスムーズな移動・迷子防止を最優先したい
・スマホの地図アプリと紙のガイドブックをストレスなく併用したい
【るるぶとマップルの違い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:紙の本を買わずに電子書籍版だけを購入する場合も違いはありますか?
A1:はい。電子書籍リーダー(Kindleや楽天Koboなど)で読む場合、固定レイアウトとなるため、文字や写真の配置は紙と同一です。ただし、まっぷるリンクのような「GPS連動地図機能」を使いたい場合は、紙書籍付属のコード認証が必要になるケースが多いため、アプリ機能をフル活用したいなら紙版の購入が推奨されます。
Q2:最新版は毎年どのタイミングで買い替えるべきですか?
A2:主要観光地(東京、京都、沖縄、北海道など)は毎年春から夏にかけて最新情報へ改訂されます。新名所のオープンや飲食店の入れ替わりが激しいエリアへ行く場合は、最新年度版の購入をおすすめします。自然観光や歴史散策が中心であれば、1〜2年前の版でも十分役立ちます。
Q3:サイズ展開(通常版とちいサイズ)に内容の差はありますか?
A3:掲載されている文字情報や写真、地図のデータ自体は原則として同じです。「ちいサイズ(コンパクト版)」はカバンに入れやすく持ち運びに便利ですが、その分文字や地図の縮尺が小さくなるため、老眼の方やじっくり地図を読み込みたい方は通常サイズが適しています。
「るるぶ」と「マップル」は、一見似たような旅行雑誌でありながら、徹底したビジュアル追求とエンタメ感を提供するJTBパブリッシングと、緻密な地図調製技術で確実な移動を支える昭文社という、全く異なる強みを持った名著です。
どちらが優れているかという単純な優劣ではなく、「旅先で何を一番楽しみたいか」「どんな手段で移動するか」に合わせて選ぶことこそが、失敗しない旅づくりの第一歩となります。次の休暇の計画には、自分の旅のスタイルに最も寄り添ってくれる最高の一冊を連れ出してみてはいかがでしょうか。