日本女子トラック&フィールドの歴史において、これほど劇的で示唆に富んだキャリアを歩んだアスリートは他に存在しないでしょう。高校時代からインターハイ3連覇を達成し、若くして日本選手権を制覇しながらも、23歳の若さで一度は陸上界を去った寺田明日香選手。その後、早稲田大学への進学、結婚と出産、さらには7人制ラグビーへの転向という異例の道のりを経て、彼女は再び陸上トラックへと帰還しました。
復帰後は女子100mハードルで日本人初となる12秒台の壁を破り、日本記録を樹立。2021年の東京オリンピックでは同種目日本人21年ぶりとなる準決勝進出を果たしました。2026年を迎えた現在、競技者としての知見を次世代へ還元しつつ、マルチな挑戦を続ける寺田明日香選手の足跡と現在の生活、そしてその驚くべきバイタリティの源泉を解き明かします。
【2026年最新】寺田明日香の現在と活動状況|母として指導者としての歩み

2026年現在、寺田明日香選手は現役アスリートとしての高い身体能力を維持しながら、指導者・コメンテーター・起業的な教育プロジェクトなど幅広い領域で精力的な活動を展開しています。身長168cm・体重約57kgという均整の取れたフィジカルは、厳しいトレーニングと徹底した栄養管理の賜物であり、30代後半を迎えてなお衰えを見せません。
特に近年は、自身が立ち上げた陸上イベントやジュニア育成プログラム「A-START」を通じて、未来のハードラー育成に力を注いでいます。単にタイムを競うだけでなく、「学ぶこととスポーツの両立」「自分の意志で競技を選択する力」を伝える姿勢は、多くの保護者や教育関係者からも高く評価されています。
電撃引退から7人制ラグビー転向へ|陸上界を去った本当の理由と経緯
寺田選手が2013年に23歳という若さで一度目の引退を決断した背景には、度重なる足の負傷だけでなく、摂食障害や無月経といった深刻な心身の不調がありました。「走ること=苦痛」という心理的バーンアウトに追い込まれた彼女は、静かにスパイクを脱ぐ選択をします。
転機となったのは2016年、2020年東京オリンピック追加種目となった7人制女子ラグビー(セブンズ)への転向宣言でした。未経験のコンタクトスポーツに飛び込んだ理由は、単なる競技転向ではなく「もう一度アスリートとして身体を動かす喜びを取り戻したい」という純粋な渇望でした。東京フェニックスに所属し、過酷なタックル練習や激しいフィジカルトレーニングを重ねたことで、陸上時代には使われていなかった体幹の筋肉群や爆発的な加速力が劇的に鍛え上げられました。
なぜ再びトラックへ?奇跡の「陸上復帰」を決意させた真相と早稲田大学での学び
ラグビーで右足腓骨骨折などの重傷を負いながらもリハビリを続けた寺田選手でしたが、走るスピードが以前より増していることに気づきます。その背中を押したのは、当時4歳に成長していた愛娘・果緒(かお)さんの「ママが走る足の速いところを見たい」という無邪気な一言でした。
加えて、引退後に進学した早稲田大学人間科学部(eスクール)での学びが、彼女の復帰を論理的に支えました。運動生理学やスポーツ心理学を体系的に修得したことで、かつての感覚頼りだったトレーニングから脱却。「なぜこの動きが必要なのか」「疲労をどう抜くべきか」を自ら科学的に分析できる知性を身につけたことが、30代での劇的なカムバックを可能にした真の要因です。
女子100mハードル日本記録更新とオリンピック代表の快挙
2018年12月に陸上復帰を正式表明すると、寺田選手は驚異的なスピードで進化を遂げました。2019年9月、実に19年間破られていなかった女子100mハードルの日本記録を更新する12秒97をマークし、日本人女子として初めて「13秒の壁」を突破しました。
その勢いは止まらず、2021年には自身の記録をさらに短縮する12秒87を叩き出し、堂々の日本新記録(当時)を樹立。同年の東京オリンピック代表に選出されると、世界の強豪がひしめく大舞台で予選を突破し、日本勢21年ぶりとなる準決勝進出を果たしました。一度競技を離れ、出産を経てからのこの偉業は、日本スポーツ界における「復帰劇の最高峰」として今も語り継がれています。
夫・佐藤駿介氏との絆と愛娘・果緒さん|家族で挑んだ「チーム寺田」の私生活
寺田選手の快進撃を語る上で欠かせないのが、夫である佐藤駿介(さとう しゅんすけ)氏の存在です。スポーツビジネスやマネジメントのプロフェッショナルである佐藤氏は、マネージャー兼参謀として「チーム寺田」を組成。スポンサー獲得から練習環境の整備、日々のスケジュール管理までを一手に引き受け、妻が競技に100%集中できる環境を整えました。
家庭内では家事や育児を完全にシェアし、娘の果緒さんもチームの一員として母を応援するカルチャーを構築。「母親だから競技を諦める」「アスリートだから家庭を犠牲にする」という二者択一を排し、家族全員で夢を追うライフスタイルは、現代の共働き世代にとって大きな共感を呼んでいます。
スポンサー契約・推定年収とインスタグラムでのリアルな評判
復帰後の寺田選手は、パソナグループをはじめとする複数の有力企業とスポンサー契約を結び、プロアスリートとして盤石な活動基盤を確立しました。競技賞金、スポンサー料、講演料、メディア出演などを合わせた推定年収は数千万円規模と見られており、実力と発信力を兼ね備えた女性アスリートビジネスの成功モデルとなっています。
公式Instagramでは、ハードな練習風景だけでなく、家族との飾らない日常やスタイリッシュな私服姿を公開。フォロワーからは「見ているだけでエネルギーをもらえる」「同年代のワーキングマザーとして尊敬しかない」といった温かい声が寄せられており、競技ファンにとどまらない幅広い層から支持を集めています。
【寺田明日香】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:寺田明日香選手の女子100mハードルの自己最高記録はいくつですか?
A1:2021年6月に記録した「12秒87」です。日本人女性として初めて13秒の壁を突破し、当時の日本記録を樹立しました。
Q2:夫の佐藤駿介さんはどんな人物ですか?
A2:スポーツビジネスやマーケティングを手掛ける経営者であり、寺田選手のマネジメントやブランディングを全面的に支える「チーム寺田」の代表的役割を担っています。
Q3:早稲田大学ではどのような分野を学んでいたのですか?
A3:早稲田大学人間科学部(eスクール)にて、スポーツ科学や心理学、コーチング理論などを専攻し、競技復帰における理論的アプローチの土台を築きました。
寺田明日香選手のこれまでの軌跡は、従来の「引退=選手生命の終わり」という固定観念を根底から覆すものでした。挫折や病気、競技転向、そして母となる経験のすべてを自らの成長エネルギーへと変換し、再び日本の頂点へと駆け上がった姿は、多くのアスリートや現代を生きる人々に勇気を与え続けています。
2026年を迎えた今もなお、彼女の歩みは止まりません。トラックの内外で新たな道を切り拓き続ける寺田明日香選手の次なる挑戦から、今後も目が離せません。