ヤマザキマリ原作の大ヒット映画『テルマエ・ロマエ』。古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)が現代日本の風呂へタイムスリップする痛快コメディは、公開から時を経た2026年現在も、国内外の温泉ファンや映画愛好家の旅情を刺激し続けています。
作中に登場した温泉宿や銭湯は、全国屈指の歴史を誇る秘湯から都内の登録有形文化財まで、実在する名所ばかりです。阿部寛をはじめとするキャスト陣が体を張って撮影に挑んだロケ地の最新状況、実際に泊まれる名旅館、知られざる撮影裏話を現場目線で詳しく紐解いていきます。
【栃木・那須】ルシウスが最初に浮上した原点の秘湯「北温泉旅館 天狗の湯」
ルシウスが古代ローマから現代日本へタイムスリップし、ヒロイン・山越真実(上戸彩)の実家温泉として登場したのが、栃木県那須町に佇む北温泉旅館です。奥那須の山奥に位置し、携帯電話の電波も届きにくい静寂に包まれた一軒宿は、木造3階建ての重厚な佇まいが今も往時の面影を色濃く残しています。
作中で特に印象的だったのが、巨大な天狗の面が壁面に掲げられた名物風呂「天狗の湯」。阿部寛演じるルシウスが湯船からぬっと顔を出し、周囲の「平たい顔族(日本人)」を呆然と見つめたあの名シーンの舞台です。泉質は単純温泉で、毎分泳げるほど豊富な湯量を誇り、プールのような巨大露天風呂「泳ぎ湯」も名物のひとつ。タイムスリップ気分を全身で味わいたい巡礼者にとって、外せない聖地となっています。
【東京・北区】平たい顔族の文化に驚愕!登録有形文化財「滝野川 稲荷湯」
ルシウスが日本の銭湯文化と出会い、蛇口やシャワー、フルーツ牛乳の存在に衝撃を受けたのが、東京都北区滝野川にある稲荷湯です。大正時代に創業し、国の登録有形文化財にも指定されている宮造り建築の銭湯で、浴槽の上に広がる壮大な富士山のペンキ絵が観客の目を奪いました。
脱衣所の高い格天井や木製ロッカー、中庭の風情など、古き良き昭和レトロの情緒が息づく空間は映画の空気感そのもの。熱湯好きの江戸っ子に愛されてきた肌触りの良い湯に入り、湯上がりにキンキンに冷えた瓶牛乳を飲む体験は、まさにルシウスの追体験と言えます。都心からのアクセスも良好で、都内屈指の人気巡礼スポットとして親しまれています。
【静岡・伊豆】巨大滝と混浴露天の絶景!『テルマエ・ロマエ』名場面「大滝温泉 天城荘」
映画中盤、雄大な滝をバックに繰り広げられるドラマティックな温泉シーンの舞台となったのが、伊豆半島・河津町に位置する大滝温泉 天城荘(LIBERTY RESORT AMAGISO)です。落差30メートルを誇る名瀑「大滝(おおだる)」を間近に臨む大露天風呂は、自然のエネルギーを肌で感じる圧巻のスケールを誇ります。
映画では、古代ローマの貴族たちが集う壮麗な湯治場のような迫力と日本庭園の美しさが見事に溶け合い、海外の映画祭でも大きな話題を呼びました。水着着用で入浴できるエリアが整っており、カップルや家族連れでも気軽に訪れることが可能です。マイナスイオンと源泉かけ流しの湯を同時に浴びる体験は、劇中さながらの異国情緒と癒やしをもたらしてくれます。
【群馬・長野】『テルマエ・ロマエII』を彩った「草津温泉 湯畑」「宝川温泉」「片倉館 千人風呂」
続編『テルマエ・ロマエII』では、スケールがさらに拡大し、日本屈指の温泉地がスクリーンを彩りました。なかでも圧巻の熱気を放ったのが、群馬県・草津温泉の湯畑です。もうもうと立ち込める湯けむりと木樋を流れる強酸性の源泉は、古代ローマの治癒温泉地を想起させる圧倒的な存在感を放ちました。
また、巨石が配された大露天風呂でグラビア級の迫力を見せたのが、水上温泉郷の宝川温泉 汪泉閣(群馬県みなかみ町)。約200畳もの広さを誇る大露天風呂「摩訶の湯」は、世界中の温泉ファンを魅了しています。加えて、長野県諏訪市にある片倉館の「千人風呂」は、大正ロマン漂う洋風建築と深さ1.1メートルの立ったまま入る石造り浴槽が特徴で、ルシウスが設計思想を刺激された西洋風風呂のモデルとして強い印象を残しました。
【イタリア・ローマ】本場チネチッタ撮影所の巨大セットとキャストの過酷な撮影秘話
本作の説得力を決定づけたのは、日本の名湯ロケだけでなく、本場イタリア・ローマの名門映画撮影所「チネチッタ」に建設された超巨大オープンセットの存在です。映画『ベン・ハー』や『グラディエーター』の撮影でも知られる歴史的スタジオに古代ローマの街並みと壮大な公衆浴場を完全再現し、現地の外国人エキストラ数十人を動員して撮影が進められました。
当時、阿部寛や市村正親、北村一輝、宍戸開ら「濃い顔俳優陣」は、古代ローマ人に扮するためにストイックな筋力トレーニングと日焼けを敢行。阿部寛は撮影期間中、毎日のように古代ローマの衣装(トガ)一枚で現地スタッフと渡り合い、イタリア人監督やスタッフからも「本物の古代ローマ人が蘇った」と絶賛されたという裏話が残っています。リアルを追求した美術と役作りの熱量が、名作の根底を支えています。
【聖地巡礼マップ】週末に行ける!映画『テルマエ・ロマエ』ロケ地温泉一覧&宿泊ガイド
聖地巡礼を計画する読者に向けて、映画第1作および第2作に登場した主要ロケ地を整理しました。日帰り入浴に対応している施設も多く、週末のリフレッシュ旅行に最適です。
| 施設名・エリア | 作中の主なシーン | 日帰り / 宿泊 |
|---|---|---|
| 北温泉旅館(栃木県那須町) | ヒロイン真実の実家、ルシウス出現(天狗の湯) | 日帰り可 / 宿泊可 |
| 滝野川 稲荷湯(東京都北区) | 日本の銭湯文化に初遭遇、富士山ペンキ絵 | 日帰り入浴のみ |
| 大滝温泉 天城荘(静岡県河津町) | 巨大な滝を背にしたダイナミックな露天風呂シーン | 日帰り可 / 宿泊可 |
| 草津温泉 湯畑(群馬県草津町) | 『II』に登場、湯もみと巨大湯畑の迫力シーン | 観光自由 / 周辺宿多数 |
| 宝川温泉 汪泉閣(群馬県みなかみ町) | 『II』に登場、広大な渓流沿いの混浴大露天風呂 | 日帰り可 / 宿泊可 |
| 片倉館 千人風呂(長野県諏訪市) | 『II』に登場、ステンドグラスが輝く洋館風呂 | 日帰り入浴のみ |
【テルマエ・ロマエ ロケ地】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:阿部寛さんが浸かった温泉には、現在でも一般人が宿泊できますか?
A1:はい、宿泊可能です。那須の「北温泉旅館」や伊豆の「天城荘」、群馬の「宝川温泉 汪泉閣」などは現在も宿泊営業を行っており、映画と同じ湯船に浸かる贅沢な体験が楽しめます。歴史ある秘湯のため、連休や観光シーズンは早めの予約が推奨されます。
Q2:都内から電車で気軽に日帰り巡礼できる場所はありますか?
A2:北区滝野川の「稲荷湯」が最も手軽です。都営三田線「西巣鴨駅」やJR「板橋駅」から徒歩数分でアクセスでき、入浴料も一般的な都内銭湯料金で名建築の湯を楽しめます。
Q3:映画に出てくる古代ローマの街並みはすべて国内のCGですか?
A3:いいえ、CGだけでなくイタリア・ローマの映画撮影所「チネチッタ」に実物大の巨大オープンセットを建設して大規模な現地ロケが行われました。本場の建造物と日本の名湯が違和感なく繋がるよう、綿密な映像設計が施されています。
映画『テルマエ・ロマエ』が描き出したのは、単なるギャグコメディにとどまらず、湯を愛し、心身を癒やす人類共通の「風呂文化」への深い敬意でした。作中でルシウスを圧倒した日本の名湯は、長い年月を経た現在もその湯煙と風情を損なうことなく、訪れる人々を温かく迎え入れています。
那須の秘湯で天狗の面を見上げ、伊豆の滝の轟音に包まれ、草津の湯畑の熱気を感じる――。次の休日は映画のシーンを思い浮かべながら、ルシウスが愛した至極の湯めぐり旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。