英語学習を進めるなかで、誰もが一度は目にする定番の重要構文が「it is no use -ing」です。教科書や参考書では「〜しても無駄だ」という決まり文句として機械的に暗記させられがちですが、実際の会話やTOEIC、大学入試の現場では、微妙なニュアンスの違いや多彩な書き換え表現の知識が試されます。
「There is no use -ingと何が違うのか」「It is useless to doとの使い分けはどこにあるのか」といった疑問を抱く学習者は少なくありません。本稿では、この構文が持つ本質的な構造から、動名詞が選ばれる文法的な理由、試験対策に直結する書き換えパターンまで、徹底的に解き明かします。
【基本解説】英語構文「it is no use -ing」の正しい意味とニュアンス
「it is no use -ing」は、「〜しても無駄である」「〜しても意味がない」という諦めや無意味さを表す動名詞の代表的な構文です。ここでの「use」は動詞「使う」ではなく、「効用」「価値」「役立ち」を意味する不可算名詞として機能しています。形式主語の「It」が導く真の主語が後ろの「-ing(動名詞)」であり、直訳すると「〜することは何の役立ちでもない」という論理展開になります。
実生活やビジネスシーンで使われる具体的な例文を確認してみましょう。
・It is no use arguing with him.(彼と議論しても無駄だ)
・It is no use worrying about things you cannot change.(自分で変えられないことを心配しても仕方がない)
・It is no use trying to fix this broken laptop.(この壊れたノートパソコンを直そうとしても無駄だ)
会話表現では「no use」の代わりに「no good」を用いた「It is no good -ing」も頻繁に登場します。「It is no good complaining now.(今さら文句を言っても無駄だよ)」のように、より口語的でフランクな響きを持ちます。
【書き換え比較】There is no useやIt is useless toとの決定的な違い
資格試験や英語テストで頻出するのが、類似構文への書き換え問題です。形は似ていても、前置詞の有無や「-ing(動名詞)」と「to不定詞」の使い分けによって構造が変化します。
代表的な書き換えパターンを整理したものが以下の対比です。
1. It is no use -ing(最も標準的)
2. There is no use (in) -ing(「〜することの中に有用性がない」という存在表現)
3. It is of no use to 不定詞(「of + 抽象名詞 = 形容詞」の原則による書き換え)
4. It is useless to 不定詞(形容詞 useless を使った形式主語構文)
5. There is no point in -ing(「〜する意味・目的がない」という現代英語の頻出形)
特に注意したいのが「of no use」の意味と構造です。「of + 抽象名詞」は形容詞と同じ働きをするため、「of no use = useless」と完全に一致します。そして形容詞「useless」が導く真主語には、原則として「to不定詞」が接続します。
「It is no use trying.」を書き換える場合、「It is of no use to try.」や「It is useless to try.」となり、動名詞から不定詞へと形が切り替わる点が試験での最大の引っかけポイントです。
【名言・ことわざ】「覆水盆に返らず」に学ぶit is no use crying over spilt milk
この構文を語る上で欠かせないのが、世界中で親しまれている英語のことわざ「It is no use crying over spilt milk.」です。日本語の「覆水盆に返らず(一度こぼれた水は元に戻らない)」に相当する教訓として知られています。
直訳は「こぼれてしまった牛乳の上で泣いても無駄だ」。すでに起きてしまった失敗や過去の不運をいつまでも悔やむ愚かしさを戒め、「起きてしまったことは割り切って前を向こう」という前向きなメッセージを伝えています。なお、アメリカ英語では「spilled milk」、イギリス英語では「spilt milk」の綴りが好まれる傾向があります。
日常会話でも「Well, it’s no use crying over spilt milk. Let's move on.(まあ、済んだことを悔やんでも仕方がない。次へ進もう)」のように、状況の切り替えを促すフレーズとして今なお多用されています。
【文法メカニズム】なぜ不定詞ではなく動名詞(-ing)なのか?識別の理由
「なぜ It is useless は to不定詞 なのに、It is no use は -ing なのか?」という疑問は、動名詞と不定詞の本質的なニュアンスの違い(識別理由)を知ることで明確に理解できます。
英語において「to不定詞」は「これから向かう未来の動作・意図」を想起させやすい性質を持っています。一方で「-ing(動名詞)」は「すでに現前している状況・リアルな行為そのもの」を想起させます。
「〜しても無駄だ」と語る場面を想像してください。多くの場合、話し手は「すでに試みていること」や「現実に目の前にある行動」を頭に思い浮かべ、その行為そのものを指して「やっても意味がない」と評価しています。このリアルな行為のニュアンスを帯びるため、構文として動名詞「-ing」が定着しました。
歴史的には「There is no use (in) -ing」のように前置詞「in」が存在しており、前置詞の後ろには動名詞しか置けないという文法ルールが根底にあったことも、「-ing」をとる強力な要因です。
【実践対策】高校英語・大学入試やTOEICで頻出構文として狙われる背景
高校英語の文法テストや大学入学共通テスト、さらにはTOEIC Listening & ReadingテストのPart 5(短文穴埋め問題)において、この構文が狙われ続けるのには明確な理由があります。
TOEICをはじめとする実務英語テストでは、以下のような識別能力が瞬時に問われます。
・空欄の直前が「It is no use」なのか「It is useless」なのかを見極め、選択肢から「-ing」か「to do」かを正しく選べるか。
・「There is no point in -ing」や「It is no good -ing」との混同がないか。
・ビジネス文書における「〜しても成果が見込めない」という客観的な状況判断を素早く読み取れるか。
出題者は「なんとなく意味を知っている」だけの学習者をふるい落とすため、空欄前後の品詞構造を絶妙に変えて選択肢を配置します。構造の仕組みを体系立てて理解しておくことが、スコアアップへの最短ルートです。
「it is no use -ing」とセットで押さえておくべき動名詞の重要慣用表現をまとめました。いずれも試験対策・実用英語において必須の構文群です。
・It is no use [good] -ing:〜しても無駄だ
・There is no -ing:〜することはできない(= It is impossible to do)
・cannot help -ing:〜せずにはいられない(= cannot but do)
・feel like -ing:〜したい気がする(= feel inclined to do)
・be worth -ing:〜する価値がある
・It goes without saying that...:〜なのは言うまでもない
・make a point of -ing:〜することにしている(= make it a rule to do)
・look forward to -ing:〜することを楽しみに待つ(※toは前置詞)
・be used [accustomed] to -ing:〜することに慣れている(※toは前置詞)
これらは「to」の後に動詞の原形を置く不定詞のトラップ問題としても頻出するため、一覧で整理して定着させておくことが極めて効果的です。
【it is no use ing】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:現代の日常会話で「It is no use -ing」は本当によく使われますか?
A1:意味は通じますが、現代の口語英語では「There is no point in -ing」や「It's a waste of time to do」のほうがより自然で頻繁に使われます。「It is no use -ing」はやや格式ばった響きや、ことわざ・定型句としての印象が強くなっています。
Q2:「There is no use -ing」と「There is no use in -ing」のどちらが正しいですか?
A2:どちらも文法的に正解です。本来は「in」が存在していましたが、現代英語では前置詞「in」が省略されるのが一般的です。「There is no point (in) -ing」も同様に「in」の省略がよく起こります。
Q3:「It is useless to -ing」という形は使えないのですか?
A3:使えません。形容詞「useless」の後ろには「to不定詞(to do)」を置くのが文法規則です。「It is useless to try」が正しく、「It is useless trying」は誤用とみなされるため、試験では特に注意してください。
「it is no use -ing」は、一見すると単純な暗記構文のように見えますが、その背後には動名詞の意味的役割や、品詞の転換に伴う文法構造の精緻なルールが存在しています。
「There is no use」「It is useless to」「It is of no use to」といった関連表現をまとめて整理し、語工の成り立ちを理解することで、受験英語の穴埋め問題から実践的な英文読解まで迷わず対応できるようになります。知識を整理した上で、実際の英文作成やリスニングに活かしていきましょう。