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完全試合とは?条件の厳しさやノーノーとの違い・歴代記録を徹底解説

黒田 大河 黒田 大河 • 更新: • 公開: • 読了約 8 分
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野球界における最高の栄誉であり、投手が登板するすべての試合で一度は夢見る究極のピッチング、それが「完全試合(パーフェクトゲーム)」です。相手打者を誰一人として一塁にすら踏ませないという離れ業は、長いプロ野球の歴史のなかでもごくわずかしか達成されていません。

2022年に当時千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が史上最年少で達成した際にも列島が熱狂の渦に包まれましたが、一体どのような条件を満たせば「完全試合」と認められるのでしょうか。ノーヒットノーランとの境界線や、あと一歩で偉業を逃した知られざるドラマ、歴代達成者の記録まで、その全貌を余すところなく紐解きます。

【基本ルール】完全試合(パーフェクトゲーム)の定義とノーヒットノーランとの決定的な違い

完全試合とは

野球ファンのみならずスポーツニュースでも頻繁に耳にする言葉ですが、プロ野球におけるパーフェクトゲームの定義は極めてシンプルかつ無慈悲です。公認野球規則において、完全試合とは「先頭打者から最後の打者に至るまで、相手チームの打者を1人も出塁させずに勝利した試合」を指します。つまり、9イニング制の試合であれば、相手打者27人を完全に打ち取る必要があります。

ここでよく疑問に挙がるのが「完全試合とノーヒットノーランの違い」です。ノーヒットノーラン(無安打無得点試合)は、ヒットを1本も打たれずに無失点で抑えれば成立するため、四球や死球、野手のエラー(失策)、振り逃げなどで走者を塁に出しても記録は有効です。一方で完全試合は、いかなる理由であっても走者が1人でも出た瞬間に権利が消滅します。「ノーヒットノーランのなかの最上位に位置する奇跡」と考えると分かりやすいでしょう。

出塁一切不可!完全試合の過酷な達成条件|エラー・四球・継投の公式ルール

投手がどれだけ完璧な球を投げていても、運や味方の守備ひとつで夢が断ち切られるのが完全試合の恐ろしさです。完全試合の成立条件を阻む要素には、以下のような厳しいルールが存在します。

最初に、エラーや四球による出塁です。投手が三振を奪い続けても、キャッチャーの後逸(パスボール)による振り逃げや、平凡な内野ゴロを味方野手がファンブルした時点で完全試合は消滅します。投手の実力だけでなく、守備陣全員の極限の集中力が不可欠となります。

また、近年議論を呼ぶことが多いのが完全試合における継投ルールです。先発投手が好投し、複数投手の継投で27人を完璧に抑えた場合、NPBやMLBでは「継投による完全試合(チーム記録)」として扱われますが、投手の「個人記録としての完全試合」は認められません。加えて、9回を完全に抑えても味方打線が無得点で延長戦に突入し、10回に走者を許した場合は完全試合の記録は残りません。完封勝利を収めることも絶対条件なのです。

【日本プロ野球】完全試合の歴代達成者一覧と佐々木朗希・槙原寛己の伝説

長い日本プロ野球(NPB)の歴史において、公認されている完全試合の歴代達成者は合計16名しか存在しません。昭和の時代から数々の名投手が名を連ねていますが、平成以降の達成者はわずか2人にとどまります。

平成唯一の達成者となったのが、1994年5月18日の読売ジャイアンツ・槙原寛己投手です。福岡ドームでの広島東洋カープ戦において、味方のファインプレーにも支えられながら102球で達成。槙原投手は直前の登板で調子を落としていたなかでの劇的な快挙であり、当時の野球界に大きな衝撃を与えました。

そして令和の時代に歴史の扉を開けたのが、2022年4月10日、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手です。オリックス・バファローズを相手に、13者連続奪三振という日本新記録と、1試合19奪三振の日本タイ記録を樹立しての完全試合達成でした。20歳5ヶ月での達成はNPB史上最年少であり、圧倒的な球速とフォークボールで相手打線をねじ伏せた投球は、まさに歴史に残る大記録として今なお語り継がれています。

紙一重で散った「完全試合未遂」のドラマと高校野球・メジャーリーグの記録

歓喜の裏には、あと1人で偉業を逃した完全試合未遂のドラマが数多く存在します。9回2死まで26人を完全に抑えながら、27人目の打者にヒットを許したり、味方の失策で記録が消えた例は枚挙にいとまがありません。2007年の日本シリーズ第5戦では、中日ドラゴンズの山井大介投手が8回までパーフェクトに抑えながら、9回に守護神・岩瀬仁紀投手へ交代した「完全試合リレーでの日本一」が大きな議論を呼びました。

舞台をメジャーリーグ(MLB)に移すと、150年以上の歴史で完全試合を達成した投手は2023年のドミンゴ・ヘルマン投手を含めて24名。MLBでも年間数十万球が投じられるなかで滅多にお目にかかれない至高の記録です。

一方、金属バットを使用する高校野球における完全試合は、甲子園大会の歴史でも春夏合わせて数例しかなく、地方大会を含めても極めて稀な快挙です。球数制限や選手の負担軽減が重要視される現代の高校野球では、ひとりの投手が最後まで完璧に投げ切る難易度はさらに高まっています。

天文学的な難易度と確率|完全試合達成時に巻き起こるネットの熱狂と社会的インパクト

統計学的に見ても、完全試合の難易度と確率は天文学的な数値を示します。NPBでこれまでに行われた数万試合のうち、わずか16試合。確率にして0.02%前後という極小の数字であり、1人の投手がプロ生活のなかで一度でも巡り合える確率は奇跡に近いと言えます。

そのため、試合が7回、8回とパーフェクトのまま進むと、SNSやネット上の反応は一気に過熱します。X(旧Twitter)では関連ワードがトレンドを独占し、「頼むから誰も邪魔しないでくれ」「味方のエラーだけは勘弁して」といった固唾を呑むファンの声が溢れ返ります。ひとつの投球、ひとつの打球に球場全体と視聴者が一体となって息を呑むあの独特の緊張感こそ、完全試合がスポーツ界で最もドラマチックとされる所以です。

【完全試合とは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:振り逃げでランナーが出た場合、完全試合はどうなりますか?
A1:振り逃げであっても打者走者が一塁へ生きて出塁したことになるため、その時点で完全試合は消滅します。ただし、安打ではないためノーヒットノーランの記録は継続します。

Q2:味方のエラー(失策)でランナーが出た場合はどう判定されますか?
A2:味方の失策によって相手走者が出塁した場合も、完全試合は途切れてしまいます。完全試合の達成には投手の能力だけでなく、野手陣のノーエラーが絶対条件となります。

Q3:9回裏にサヨナラ勝ちした場合でも完全試合になりますか?
A3:後攻チームの投手が9回表まで相手打者を完全に抑え、9回裏に味方がサヨナラ勝ちを収めた場合、9イニングを完璧に抑えて勝利したことになるため完全試合として公認されます。

完全試合とは、卓越したピッチング技術、鉄壁の守備力、強固な精神力、そして幾重もの幸運がすべて噛み合って初めて生まれる野球界の至宝です。1球の失投、1つのイレギュラーバウンドですべてが水泡に帰す過酷さがあるからこそ、達成された瞬間の感動は色褪せることがありません。

球速の高速化やデータの高度化が進む現代野球において、次にパーフェクトゲームの偉業を成し遂げるのは誰なのか。毎日の試合のなかで繰り広げられる一投一打のドラマから、今後も目が離せません。

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黒田 大河
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