2000年代の日本のヒップホップ/ポップスシーンを牽引し、数々の金字塔を打ち立てた「RIP SLYME」。そのメロディアスなフロウと卓越したトラックメイキングで中核を担っていたのがMCのPESです。しかし、グループの活動休止と事実上の分裂、そしてPESによるSNS上での告発は、音楽シーンに大きな衝撃を与えました。
かつて絶妙なマイクリレーを見せていたメンバーの間に、一体何が起きていたのでしょうか。本稿では、PESがグループを脱退するに至った決定的な背景、SNSでの告発劇の顛末、メンバー間の現在の関係性、そして2026年時点におけるそれぞれの動向をジャーナリスティックな視点で紐解きます。
【脱退の経緯】PESはいつRIP SLYMEを去ったのか?発表までの空白
RIP SLYMEは2018年10月に活動休止および公式サイトの閉鎖を発表しました。当時、ファンの間ではSUの不倫騒動が引き金になったと受け止められていましたが、水面下ではそれ以前から決定的な亀裂が入っていました。
事態が明るみに出たのは2021年11月のことです。PESは自身の公式ウェブサイトおよびSNSを通じて、「2017年9月にグループを脱退し、所属事務所も退社していた」という事実を公表しました。つまり、グループが公式に活動休止をアナウンスする1年以上も前に、PESはすでにRIP SLYMEを離れていたことになります。
なぜ4年もの間、脱退の事実が伏せられていたのか。PES側のコメントによると、グループ側からの公式発表を待っていたものの公表される気配がなく、関係者やファンからの問い合わせに対して自らの言葉で真実を伝える必要性に迫られたためだと説明されています。
【告発の真相】インスタグラムで明かされた確執といじめ疑惑の背景
ファンの間に激震が走ったのは、脱退発表と前後してPESが自身のインスタグラム等で発信した告白でした。そこには、華やかなステージの裏側にあった過酷な人間関係が赤裸々に綴られていました。
PESは投稿の中で、「メンバーからの度重なる嫌がらせやいじめのような扱い」「精神的に追い詰められ、グループ内で孤立していた状況」を示唆する言葉を連ねました。具体的には、自身の意見が無視される環境や、執拗な人格否定、仕事の場における疎外感などが長年にわたって蓄積していたと明かしています。
単なる「音楽性の違い」という定型句では片付けられない生々しい告白は、ネット上でも激しい議論を呼びました。RIP SLYMEの持つポップで陽気なイメージとのギャップがあまりにも大きかったため、ファンコミュニティに走ったショックは計り知れないものがありました。
【RYO-Z・ILMARIとの関係】すれ違いはなぜ修復不能となったのか
告発を受け、残されたメンバーであるRYO-ZとILMARI、DJ FUMIYAはYouTubeの公式チャンネルで謝罪動画を公開しました。PESに対して直接の対話や謝罪を申し入れたことを明かしつつも、PES側からは「対話を拒否された」旨が語られるなど、双方の主張と感情のすれ違いが浮き彫りとなりました。
これに対しPESは、「事態が公になる前には対話の機会を何度も求めたが拒絶され、自分たちが活動を再開する段階になってから一方的に連絡を取ろうとしてきた」と反論。長年の不信感が積み重なった結果、もはや形式的な話し合いで解決できる次元を超えていたことが露呈しました。
小学生時代からの幼馴染や旧知の友人同士で結成されたグループだからこそ、一度こじれたプライベートとプロフェッショナルの境界線は、修復不可能なレベルまで深く傷口を広げてしまったと分析されています。
【活動休止と再始動の裏側】3人体制のRIP SLYMEとPES不在の現実
2022年以降、RIP SLYMEはRYO-Z、ILMARI、DJ FUMIYAの3人体制で本格的に音楽活動を再開させました。新曲のリリースやフェスへの出演、精力的なツアーを展開し、往年のグルーヴを現代にアップデートする試みを続けています。
一方、ステージ上にPESとSUの姿はありません。特にPESが担当していた高音域のキャッチーなフックや独特のメロディラインは、RIP SLYMEのアイデンティティそのものでした。現在のライブでは、他のメンバーがパートを分担したりアレンジを変更したりしてパフォーマンスを行っていますが、古くからのリスナーの間では「5人時代のRIP SLYME」へのノスタルジーと、現在の3人体制の現実を受け止める葛藤が続いています。
【現在の活動と楽曲制作】PESのソロワークスと独自レーベルの歩み
RIP SLYMEを完全に離れたPESは、自身のクリエイティブを自由に発信できる環境を整え、ソロアーティストとしての活動を確立しています。自主レーベル「HOLON SOUNDS」を拠点に、洗練されたソロ楽曲のリリースを継続してきました。
PESの生み出すサウンドは、ヒップホップをベースにしつつも、サーフミュージック、ボサノバ、アコースティックポップなどをクロスオーバーさせたオーガニックな響きが特徴です。他アーティストへの楽曲提供やプロデュース業、さらにはアートワークのディレクションなど、マルチな才能を発揮しています。
巨大なグループの看板から解放されたことで、PES自身が本当に鳴らしたい音楽を純度の高い形で届ける現在のスタンスは、コアな音楽ファンから高い評価を獲得しています。
【2026年最新動向】PESを含めた「オリジナル編成」再結成の可能性
2026年現在においても、PESとRIP SLYMEメンバーとの間に公式な和解や接触があったという情報は入っていません。双方ともにそれぞれの音楽活動に専念しており、接点は完全に断たれた状態が続いています。
過去の経緯やPES本人が表明してきた強い意志を鑑みると、PESがRIP SLYMEへ電撃復帰する、あるいは一夜限りのオリジナル再結成を果たすといったシナリオは極めて非現実的と言わざるを得ません。
ファンにとっては切ない現実ではあるものの、それぞれが選んだフィールドで新しい表現を模索し続けている姿こそが、現在の彼らが示すプロフェッショナルとしての誠実さであるとも評価できます。
【リップスライムとPES】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:PESがRIP SLYMEを脱退した正式な時期と理由は?
A1:正式な脱退は2017年9月です。脱退の理由としては、グループ内での人間関係の悪化、精神的な孤立、意見の不一致などがPES本人から明かされています。公式発表が2021年まで遅れたのは、当時のグループ運営側の都合によるものです。
Q2:メンバー間での「いじめ」疑惑は事実だったのですか?
A2:PES自身がSNS上で「いじめのような扱いを受けた」「嫌がらせがあった」と発言しています。残されたメンバー側は謝罪と反省の意を示し対話を求めましたが、受け止め方の温度差や長年のわだかまりが解消されるには至りませんでした。
Q3:今後、PESがRIP SLYMEに復帰する可能性はありますか?
A3:2026年現在、復帰の可能性は限りなくゼロに近いと見られています。双方が完全に独立した活動基盤を持っており、PES自身もソロアーティストとして自身のレーベルで順調にキャリアを重ねているためです。
平成のミュージックシーンを鮮やかに彩ったRIP SLYMEの黄金期は、メンバー同士の絶妙なケミストリーによって成り立っていました。しかし、その裏でPESが抱えていた苦悩と、修復不能にまで至った関係性の崩壊は、グループという共同体が持つ難しさを浮き彫りにしました。
2026年の現在、3人で歩み続けるRIP SLYMEと、独自の音楽探求を続けるPES。彼らが残した名曲の数々は色褪せることなく残り続けますが、今はそれぞれのフィールドで生み出される新たな音楽表現をフラットに見守ることが、リスナーに求められている姿勢と言えそうです。